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第二章 《宝石の国》エメラ
第11話 危険
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「んっ……」
部屋の中に朝日が射し込み、その光で目を覚ます。
宿屋のベッドの上で、ゆっくりと体を起こした。
わずかに頭が痛い。
昨日はちょっと飲み過ぎたな。
俺よりエリスやシャイナの方が飲んでたけど。
「おお、今日も輝いてるわ」
カーテンを開けて窓の外を見ると、今日も街のど真ん中で宝石をちりばめた建物が輝いている。
まだまだ飽きが来ない美しさだな。
顔を洗って服を着替える。
そして廊下に出ると、ちょうど隣の部屋からエリスが出てきた。
流れるような金髪はしっかり整えられていて、顔もぱっちりしている。
まだ若干ぽやぽやしてる俺とは大違いだな。
めちゃくちゃ飲んだわりに、けろっとしてるし。
「おはようございます」
「おはよう。体調は大丈夫か?」
「はい。今日も元気です。クロさんは?」
「俺も大丈夫だ」
頭が痛いとは言っても、本当に少しだけだ。
日常生活には何の支障もない。
「それにしてもその服……やっぱり不審者みたいですね……」
俺の格好を見て、エリスが首を傾げる。
黒いパンツに、フード付きの黒いローブ。
確かに黒づくめだな。
サングラスとかけて歩こうもんなら、職質されそうだ。
元々そこまでファッションに興味がないゆえ、こういう感じになってしまった。
「まあいいだろ」
「着てしまったものは仕方ないですからね。朝食を食べに行きましょう。そして今日はいよいよ『七彩光の洞窟』を観光しますよ」
「ああ、楽しみだよ」
お待ちかねの観光名所『七彩光の洞窟』だ。
名前は聞いたけれど、どんな場所かまではエリスは教えてくれなかった。
何となくイメージしてるものはあるけど、きっとそれをはるかに超えてくるんだろうなぁ。
ルビの街も、《宝石の国》という名前から想像していたものを余裕で超える美しさだったし。
「出発です」
朝陽を浴びて金髪をきらめかせる美女1名と、全身黒ずくめの不審者1名というコンビで街に出る。
今日も朝早くから、鉄などの金属を打って加工する音が響いていた。
「わりと宝石以外の鉱石も産出されて、加工してるんだな」
「そうですよ。剣や盾のような武器が売られているエリアもありますし」
剣か……。
確か授かった技の中には、剣を用いて扱うスキルもあったはずだ。
武器は持っているだけでもある程度の威圧にはなるし、そもそも用心棒が素手じゃ甘く見て襲いかかってくる奴らもいるかもしれない。
無駄な争いは極力避けたいから、1本くらい持っておいてもいいかもしれないな。
あとで時間があったら、武器が売られているエリアを見に行ってみよう。
「さてさて、どこでご飯を食べましょうか……」
飲食店が並ぶ通りの中でも、朝から開いている店もあれば、営業は昼と夜のみという店もある。
選択肢はやや少なめだな。
「クロさんは何が食べたいとかありますか?」
「う~ん、エメラって名物料理とかないんだっけ?」
「観光名所はあるんですけどね~。特に有名な料理があるわけではないと思います」
「そっか。もしあったらそれが良かったんだけど、逆に悩むな」
あーでもないこーでもないと2人で言いながら歩いていると、後ろからドタドタドタッと足音が聞こえてきた。
何事かと思って振り返ると、そこには息を切らしたシャイナが立っている。
「ぜえ……はあ……」
「シャイナさん、どうしたんですか!?」
「一緒に朝ごはんが食べたかったのか?」
「ぜえ……はあ……ち……違います……」
「い、一旦落ち着きましょう!?」
エリスに促され、シャイナはとある店の前に置かれていたベンチに腰掛ける。
少し息を整える時間を取った後、落ち着きを取り戻したシャイナは言った。
「間に合って良かったです。朝食を食べるために、ここにいらしてるだろうと思ったので……。お2人に早急に伝えなきゃいけないことがありまして」
「何があったんですか?」
「エリス先輩たち、今日は『七彩光の洞窟』に観光に行くっておっしゃってましたよね? 申し訳ないんですが、それを取りやめていただけないかなと」
「えっ? どうしてですか?」
「実は『七彩光の洞窟』周辺のエリアに、大変危険なモンスターが出現したんです。今のところ、観光客や工夫たちに被害が出ることは何とか避けられていますが、非常に危ない状態でして。そういうわけなので、申し訳ありませんが観光は取りやめてください」
俺とエリスは、驚いて顔を見合わせる。
シャイナは慌てた素振りで立ち上がると、続けざまに言った。
「私は冒険者協会員としてやらなければいけないことがあるので、これで失礼します! エリス先輩たち、申し訳ありませんが他の場所をお楽しみください!」
そう言って走り去っていくシャイナ。
その背中を見つつ、エリスが俺に尋ねた。
「どうします?」
「どうするって何を?」
「行きますか?」
「話、聞いてた?」
「だって『七彩光の洞窟』が見られないのは残念じゃないですか。クロさんの実力なら、何とかできてしまうかもですよ」
「大騒ぎになってるんだろ? そんなところに行ってモンスターでも倒した日には、有名になってしまう……」
有名になってしまうけども。
ただ危険があり、困ってる人がいる。
そして自分なら何とか出来るかもしれない力がある。
ここで動かないのは、それはそれで間違っている気がした。
「ちょっと様子を見に行ってみるか……」
「クロさんならそう言うと思いました」
にっこり笑ったエリスと一緒に、俺はルビの出口へと歩き始めるのだった。
部屋の中に朝日が射し込み、その光で目を覚ます。
宿屋のベッドの上で、ゆっくりと体を起こした。
わずかに頭が痛い。
昨日はちょっと飲み過ぎたな。
俺よりエリスやシャイナの方が飲んでたけど。
「おお、今日も輝いてるわ」
カーテンを開けて窓の外を見ると、今日も街のど真ん中で宝石をちりばめた建物が輝いている。
まだまだ飽きが来ない美しさだな。
顔を洗って服を着替える。
そして廊下に出ると、ちょうど隣の部屋からエリスが出てきた。
流れるような金髪はしっかり整えられていて、顔もぱっちりしている。
まだ若干ぽやぽやしてる俺とは大違いだな。
めちゃくちゃ飲んだわりに、けろっとしてるし。
「おはようございます」
「おはよう。体調は大丈夫か?」
「はい。今日も元気です。クロさんは?」
「俺も大丈夫だ」
頭が痛いとは言っても、本当に少しだけだ。
日常生活には何の支障もない。
「それにしてもその服……やっぱり不審者みたいですね……」
俺の格好を見て、エリスが首を傾げる。
黒いパンツに、フード付きの黒いローブ。
確かに黒づくめだな。
サングラスとかけて歩こうもんなら、職質されそうだ。
元々そこまでファッションに興味がないゆえ、こういう感じになってしまった。
「まあいいだろ」
「着てしまったものは仕方ないですからね。朝食を食べに行きましょう。そして今日はいよいよ『七彩光の洞窟』を観光しますよ」
「ああ、楽しみだよ」
お待ちかねの観光名所『七彩光の洞窟』だ。
名前は聞いたけれど、どんな場所かまではエリスは教えてくれなかった。
何となくイメージしてるものはあるけど、きっとそれをはるかに超えてくるんだろうなぁ。
ルビの街も、《宝石の国》という名前から想像していたものを余裕で超える美しさだったし。
「出発です」
朝陽を浴びて金髪をきらめかせる美女1名と、全身黒ずくめの不審者1名というコンビで街に出る。
今日も朝早くから、鉄などの金属を打って加工する音が響いていた。
「わりと宝石以外の鉱石も産出されて、加工してるんだな」
「そうですよ。剣や盾のような武器が売られているエリアもありますし」
剣か……。
確か授かった技の中には、剣を用いて扱うスキルもあったはずだ。
武器は持っているだけでもある程度の威圧にはなるし、そもそも用心棒が素手じゃ甘く見て襲いかかってくる奴らもいるかもしれない。
無駄な争いは極力避けたいから、1本くらい持っておいてもいいかもしれないな。
あとで時間があったら、武器が売られているエリアを見に行ってみよう。
「さてさて、どこでご飯を食べましょうか……」
飲食店が並ぶ通りの中でも、朝から開いている店もあれば、営業は昼と夜のみという店もある。
選択肢はやや少なめだな。
「クロさんは何が食べたいとかありますか?」
「う~ん、エメラって名物料理とかないんだっけ?」
「観光名所はあるんですけどね~。特に有名な料理があるわけではないと思います」
「そっか。もしあったらそれが良かったんだけど、逆に悩むな」
あーでもないこーでもないと2人で言いながら歩いていると、後ろからドタドタドタッと足音が聞こえてきた。
何事かと思って振り返ると、そこには息を切らしたシャイナが立っている。
「ぜえ……はあ……」
「シャイナさん、どうしたんですか!?」
「一緒に朝ごはんが食べたかったのか?」
「ぜえ……はあ……ち……違います……」
「い、一旦落ち着きましょう!?」
エリスに促され、シャイナはとある店の前に置かれていたベンチに腰掛ける。
少し息を整える時間を取った後、落ち着きを取り戻したシャイナは言った。
「間に合って良かったです。朝食を食べるために、ここにいらしてるだろうと思ったので……。お2人に早急に伝えなきゃいけないことがありまして」
「何があったんですか?」
「エリス先輩たち、今日は『七彩光の洞窟』に観光に行くっておっしゃってましたよね? 申し訳ないんですが、それを取りやめていただけないかなと」
「えっ? どうしてですか?」
「実は『七彩光の洞窟』周辺のエリアに、大変危険なモンスターが出現したんです。今のところ、観光客や工夫たちに被害が出ることは何とか避けられていますが、非常に危ない状態でして。そういうわけなので、申し訳ありませんが観光は取りやめてください」
俺とエリスは、驚いて顔を見合わせる。
シャイナは慌てた素振りで立ち上がると、続けざまに言った。
「私は冒険者協会員としてやらなければいけないことがあるので、これで失礼します! エリス先輩たち、申し訳ありませんが他の場所をお楽しみください!」
そう言って走り去っていくシャイナ。
その背中を見つつ、エリスが俺に尋ねた。
「どうします?」
「どうするって何を?」
「行きますか?」
「話、聞いてた?」
「だって『七彩光の洞窟』が見られないのは残念じゃないですか。クロさんの実力なら、何とかできてしまうかもですよ」
「大騒ぎになってるんだろ? そんなところに行ってモンスターでも倒した日には、有名になってしまう……」
有名になってしまうけども。
ただ危険があり、困ってる人がいる。
そして自分なら何とか出来るかもしれない力がある。
ここで動かないのは、それはそれで間違っている気がした。
「ちょっと様子を見に行ってみるか……」
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にっこり笑ったエリスと一緒に、俺はルビの出口へと歩き始めるのだった。
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