転生スキル【ぬいぐるみテイム】でふかふかもふもふエルフの森スローライフ!~双子幼女エルフと動くふかふかぬいぐるみとのんびり暮らす~

メルメア

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第8話 収穫とトマトと家族みたいな何か

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 畑の場所を村の人に教わり、森の中を進んで行く。
 いつの間にか、グレイもやってきて隣を歩き始めた。
 このネコ、なかなかに自由気ままですぐにいなくなる。
 そんでもって、気付いたら戻ってきてたりするのだ。

「部屋に前に置いといたご飯は食べたか?」
「にゃ~」

 鳴き声で応えるグレイ。
 どうやら食べたみたいだ。

「プヨタローやコジローとは仲良くなれてたな」
「にゃ~」
「これからいく畑には、たぶんコジローがいるぞ」
「にゃ~」

 歩くこと5分くらい。
 森が拓け、地面が耕された畑が現われる。
 幾人かのエルフが、現在進行形で作業中だ。
 えーっと、ミルは……いたいた。

「ミル~」

 声を掛けると、屈みこんでせっせ働いていたミルが振り返った。
 ぱっと顔を輝かせると、こちらへやってくる。

「お疲れ様」
「おつかれさまです! はたけ、けんがくしにきたんですか?」
「見学っていうか、手伝いにな。リルの代打だ」
「えっ! おねえちゃん、またおサボりですかぁ……。かわりになんて、ごめんなさい」
「いやいや、どのみち村長に村の仕事手伝えって言われてるしな。ミルが謝るようなことじゃない」

 申し訳なさそうに頭を下げるミルをなだめて、畑に入らせてもらう。
 姉は姉で子供っぽくない一面があるけど、妹は妹で5歳児とは思えないよな。
 すごくしっかり者だ。

「それじゃあ、わたしといっしょに、しゅうかくをしましょう」
「収穫だな。分かった」
「きょうは……ここのトマト、それからニンジンがとれます!」
「オッケーだ。収穫できそうなのは、全て収穫しちゃっていいのか?」
「はい! だいじょーぶです!」
「りょーかい」

 畑仕事なんて、何年ぶりだろう。
 小学校の頃に、学校の菜園で野菜を育てていた記憶はある。
 でもそれ以降、畑に入った覚えはない。

「よし、これなんか良さそう」

 俺は真っ赤な大ぶりのトマトを掴むと、ぐいっともぎ取った。
 きゅっという皮の感触。
 果肉も水分もパンパンに詰まっているようで、大きさ以上にずっしりと重い。
 このままかぶりつくのもいいし、キンキンに冷やして食べるのも美味しいだろうなぁ。
 太陽の光を浴びて輝く姿は、まるで大きな宝石みたいだ。

「とったやさいは、このなかにどうぞ」
「ありがとう」

 ミルから受け取った箱に、次々トマトを収穫して入れていく。
 実の量はそこまで多くないが、何しろひとつひとつが大きく重い。
 あんま農業に詳しくはないけど、間引きとかして、量を減らす代わりにひとつに行き渡る栄養を増やしているのだろう。

「あれ? コジローがいない……」

 ミルが頭の上を触って、ふと気が付き言った。
 そういえば、グレイもまたいなくなっている。
 辺りを見回してみれば、畑の外側でまたしてもじゃれ合っていた。
 本当に仲が良いな。

「あそこにいるぞ」
「あ、ほんとうですね。なんか、ぬいぐるみたちがじゃれあってるの、えほんみたいでかわいいです」
「そうだな。癒されるよな」
「はい! ここからも、おしごとがんばれます!」

 ミルはふんすっと気合を入れて、ニンジンを引っこ抜いていく。
 元気だしよく働くし……働きアリみたいだな。
 それで姉がキリギリス。
 絵本だとキリギリスは最後に改心したけど、リルは何だかんだでぬるっと生き延びそうなのが怖い。
 どことなく、天才肌の雰囲気が漂っているんだよなぁ。



 ※ ※ ※ ※



 1時間ほど作業をして、決められた範囲のトマトとニンジンを収穫し終えた。
 ちょうどお昼をまわるくらいの時間帯。
 太陽が青空に高く昇って、容赦なく照り付けてくる。
 朝は優しく起こしてくれたのになぁ。

「あついですね~」
「暑いなぁ。休憩にしようか」
「そうしましょう。そうだ、ケントさんをいいところにつれてってあげます」
「いいところ?」
「はい。どんなとこかは、ついてのおたのしみです。コジロー! 行くよ~!」

 ミルが呼び寄せると、コジローはとてててっと走ってきて頭の上にひょいと乗った。
 それを見て、グレイも頭の上に登ろうとする。
 リスはまだしも、さすがにネコは重……くないな。
 ふわふわと軽い。
 重さもぬいぐるみ規格ってことだ。
 唯一の難点は、ふかふかもふもふなだけに暑さが倍増することだけど。

「いきましょ~」

 ミルの後について、畑をあとにする。
 森の中に入ってしまえば、それなりに陽射しが遮られて涼しい。
 風も適度に吹いていて、さわやかな気分になれる。
 森林浴って悪くないな。

「リルはいっつもサボってるのか?」
「う~ん、サボったりサボらなかったりです。でもでも、おねえちゃんはすごいんです! いろんなことをしってて、おもしろいものがつくれるんです! まあ、もうちょっと、はたらいてもいいとはおもうけど……」
「ミルはお姉ちゃんが大好きなんだな」
「はい! だいすきです!」

 大好きな家族がいるっていいな。
 元の世界で、俺が死んだことを悲しんでる人はいるだろうか。
 名前も知らないあの女の子と母親は、もしかしたら悲しんでくれたかもしれない。
 でも俺に、悲しんでくれる家族はいなかった。
 けれど、きっとリルがいなくなったらミルはすごく悲しむし、その逆もまたしかり。
 シェグさんだってメリナさんだって、村長はじめ村のみんなだって悲しむはずだ。
 あの村は、もうみんな家族かってくらい仲が良いからな。
 もし俺がいなくなったら……?

「わたし、ケントさんのこともだいすきですよ!」

 嘘偽りない顔で、まったくのお世辞抜きで、ミルはそう言って笑った。
 この子なら、悲しんでくれるのかな。
 いやいや、何で俺は異世界2日目にして早くも死ぬ時のことを考えてるんだよ。
 もっと楽しいことを考えろよ。
 でも、もしリルやミル、そしてエルフのみんなと家族みたくなれたなら、それはきっと素敵なことなんだろうな。
 異世界に来たことに、ひとつの大きな意味が加わるかもしれない。
 そんなことを考えながら歩いていると、ミルがピタッと足を止めた。
 そして俺の前にとてとてっと出ると、両手を広げて背後の森をアピールする。

「つきました! ようこそ! てんねんのジューススタンドへ!」
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