転生スキル【ぬいぐるみテイム】でふかふかもふもふエルフの森スローライフ!~双子幼女エルフと動くふかふかぬいぐるみとのんびり暮らす~

メルメア

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第10話 異変と時間とスマホ

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「なるほど……。森でモンスターに襲われたとな……」
「ええ。このクマゴローのおかげで助かりましたけど」
「がお~」

 村長は神妙な面持ちで俺たちの報告を聞いた。
 ちなみにクマゴローというのは、ミルがクマに付けた名前だ。
 相変わらず和風のネーミングセンスである。
 しかし、今回はすんでのところで助かったけど、これではリルやミルもおちおち森を歩けない。

「報告に感謝する。この辺りには、そういった類の生物が生息していないはずなんじゃがな。ここのところ、何件か出没したという報告が上がっておるのじゃ。これは一度、しっかり調査せねばならんのう」
「直近で急に増えてるなら、確かに調査が必要ですね」
「うむ。その時にはおぬしにも手伝ってもらうかもしれん」
「分かりました」

 会話が一段落したところで、村長の家のドアが開く。
 そしてゆっくりと、目を擦りながらリルが入ってきた。
 かなり眠そうだ。
 寝てたはずなのに。

「じょしゅー、どこいってたんだよー」
「リルに言われた畑仕事なんだが」
「そうだっけ。まあいいや、ちょっときて」
「どうせ、ろくなことじゃないだろ」
「そーでもない」

 リルに袖を引っ張られ、半ば強引に家から連れ出される。
 そしてやってきたのは、例によってリルの研究所だった。
 どうやらマジでずっと寝てたようで、部屋のものは俺が出た時のまんまだ。
 グレイはさっさとプヨタローの元に行くと、ベッドの上で遊び始める。
 お前ら本当に仲良いな。

「それにしても、リルはよくこれだけ寝れるよな」
「にんげんだって、じんせいの3ぶんの1ねてる。だからわたしだって、すくなくとも300ねんいじょーはねる」
「理屈になってないぞ。その計算だと、お前は人生の後半をほぼ寝ないことになるが」
「こまかいことはいいの」

 3分の1で300年以上。
 つまりエルフは最低でも900~1000年は生きるということになる。
 村長は1300歳超えだし、やっぱ長寿の種族だよな。

「そんなことより、ききたいことがある」
「何だ?」
「にんげん、いろんなものをはつめーしてる。にんげんのアイデアは、よんでるだけでおもしろい」
「確かにいろいろあるよな」
「どうして、にんげんはそんなにはつめーできる?」
「どうしてって……」

 真面目で難しい質問が来た。
 何で人間はたくさんのものを発明できるのか。
 なんだかちょっと哲学じみてる。

「正解かどうかは分からないけど」
「それでいい」
「エルフと人間の差で言うなら、時間が短いからじゃないか?」
「じかん?」
「そう。エルフは1000年、人間は長生きの人でせいぜい100年。圧倒的に時間が短い。でもその限られた時間の中で、できるだけたくさんのこと、それも楽しいことがしたいだろ?」
「ふむふむ」
「だからあんまり楽しくないこととか、時間がかかることは、代わりにやってくれるものを発明するんじゃないかな。きっと他にも理由はあるし、あくまでも俺の考えだけど」

 徒歩の移動は自動車に。
 洗濯は手洗いから洗濯機に。
 直筆の手紙はメッセージアプリに。
 考えてみれば、発明品の多くは時短に大きく貢献している。
 手洗い中はそれしかできないけど、洗濯機なら勝手にやってくれるから、代わりに他のことができるという感じだ。

「ケントのかんがえ、おもしろい。それに、まとをえてる」
「なら良かった」
「それじゃあ、ほんだい。ケントがしってる、にんげんのはつめーおしえてほしい」
「別に構わないけど……作り方までは知らないものがほとんどだぞ?」
「それでも、なにかアイデアのもとになるかもしれない」
「それなら……スマホってのはどうだ?」
「すまほ……? きいたことない。ほんでも、よんだことない」

 リルは興味ありげに身を乗り出す。
 好奇心旺盛な子だ。
 そういえば、発明の源が好奇心ってケースも多いよな。
 なんかわけ分からんことしてたら、偶然すごいものができちゃったみたいなやつ。

「スマホっていうのは、薄い長方形の板なんだ。でも木の板とかじゃないぞ。金属とかで出来てるんだ」
「それでなにができる?」
「うーん、写真を撮ったり……ああ、写真っていうのは、絵みたいなものだな。その瞬間の景色を、そのまんま絵にして保存できるんだ」
「ぬぬっ!? すごい!」
「すごいだろ? あとはゲームとか……通話もできるな」
「つーわ?」
「そう。遠くにいる人と会話できるんだ。それもとんでもなく遠く……何て言ったらいいんだろうな。歩いて行ったら何年もかかるくらい遠くにいる人と、動かないままお話しできるんだよ」
「うぉぉ! スマホすごい!!!」

 今までで一番、リルのテンションが上がっている。
 ぐいぐい身を乗り出して、目はキラッキラに輝きっぱなしだ。
 まぶたが半開きなのは変わらずだけど、けだるげな印象は受けない。

「もっと! もっときかせて!」
「うーんと、じゃあ次は自動車の話をしようか」
「じどうしゃ……? ききたい!」
「自動車ってのはな……」

 俺は次々に、元の世界にあった便利なものの話をしていく。
 そんな俺の話を、もう半分俺の膝の上に乗って、ワクワクした顔で聞くリルだった。
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