17 / 35
第17話 構想と力こそパワーと鍵
しおりを挟む
「いろいろと考えたんですけど」
“エルフ殺し”による大騒動の翌日。
俺はエルダ村長とモンスター討伐について話していた。
「結局、パワーでごり押す以外には方法がないかなと」
「ふむ……。わしもいろいろ考えてはみたんじゃが、おぬしひとりとなれば方法は限られてくるからのう」
シェグさんの情報によれば、敵のモンスターは20~30体。
そしてクマゴローの戦いぶりを見る限り、強いぬいぐるみ1体が相手できるのは2、3体。
多くても4体といったところだろう。
そう考えると、ぬいぐるみをさらに10体近くは用意したいところだ。
「ぬいぐるみを新たにテイムするってことで、いいですか?」
「うむ。それでいくしかあるまい。食料に関しては、わしらが責任をもって面倒を見よう」
「その食料についてなんですけど、ちょっとした提案が」
「なんじゃ?」
「牧場を作るのはどうかと思うんです」
「牧場……。ふむ。そういえば、リルもそんなことを言っていたような……」
俺の考えたぬいぐるみ牧場の構想はこうだ。
ウシ、ニワトリなどを一定数テイムして、牧場のメンバーとして飼う。
主にエサは村の食料から供給することになるが、エルフや人間は食べない森の植物なども食べさせることで、村の食糧庫にかかる負担を低減。
また、今回のモンスターたちのような脅威が弱いぬいぐるみたちに襲うとしても、猛獣たちを護衛として付けておくことで、安全に飼育することができる。
普通はウシのそばにクマを野放しなんてしたら、あっさり食われちゃうけど、ぬいぐるみならその心配はない。
平和に共存共栄してくれる。
さらにウシからは牛乳、ニワトリからは卵がとれるため、うまくいけば食糧事情に貢献することすらできるわけだ。
「どうでしょう?」
「ふむ。悪くないのう」
俺の構想を聞き、村長は何度か深く頷いた。
「飼育していたらいたで、新たにぬいぐるみたちの力を活かせる分野も見つかるじゃろう。それに今は、おぬしとぬいぐるみたちの力を頼るほかない状況になっておる。あとのことは心配せず任せるんじゃ」
「分かりました。それなら、遠慮なくいかせてもらいます」
「うむ。よろしく頼んだぞ」
力こそパワー。
猛獣ぬいぐるみたちの力を借りて、押しに押してごり押すとしよう。
前回は逃げ帰るのみに終わってしまったけど、今回はそうはいかないぞ。
しっかりとリベンジしてやる。
「それじゃあ、ぬいぐるみをテイムして、準備ができしだい洞窟に向かいます」
「ああ、ちょっと待つんじゃ。ひとつ、参考になるかは分からんがアドバイスをしよう」
「何でしょう?」
「おそらくは、鍵となるのがフィエンデルカンミラじゃ」
「“エルフ殺し”が?」
「うむ」
村長はひとつ咳払いすると、おもむろに話し始めた。
「あくまでも推測に過ぎぬのじゃが、あの花がモンスターたちをおびき寄せ、さらには狂暴化させている可能性がある。報告を聞く限り、モンスターたちは花を囲むようにしておったそうじゃしな」
確かに、モンスターたちが寝そべっている中央にあの花があった覚えがある。
あの時は、ハンターたちの急激な体調変化に驚いて、モンスターと花の関係性を考えるまでの余裕はなかったけど。
「おぬしには重ね重ねで悪いが、あの花の処分も任せたい。完全に燃やしてしまえば、もう脅威はなくなるはずじゃ。戦闘の最中に燃やすことができれば、もしやすると戦況を有利にできるかもしれん」
「なるほど。覚えておきます」
「うむ。では、任せた」
「はい」
村長と握手を交わし、家をあとにする。
すると、そこにはミルが立っていた。
横にはクマゴローもいる。
肩をきれいに縫ってもらい、すっかり元気なようだ。
「直ったのか。良かったな、クマゴロー」
「がお~」
「ありがとう、ミル」
「どういたしまして! これから、モンスターやっつけにいくの?」
「そうだな。クマゴローたちと一緒にな」
「がんばって! わたし、なにもできないけど、おーえんしてる!」
「それだけで十分だよ。な、クマゴロー」
「がお~」
さてさて、この目の前のけなげな少女が安心して森を歩けるようにするため。
戦と行きましょう。
“エルフ殺し”による大騒動の翌日。
俺はエルダ村長とモンスター討伐について話していた。
「結局、パワーでごり押す以外には方法がないかなと」
「ふむ……。わしもいろいろ考えてはみたんじゃが、おぬしひとりとなれば方法は限られてくるからのう」
シェグさんの情報によれば、敵のモンスターは20~30体。
そしてクマゴローの戦いぶりを見る限り、強いぬいぐるみ1体が相手できるのは2、3体。
多くても4体といったところだろう。
そう考えると、ぬいぐるみをさらに10体近くは用意したいところだ。
「ぬいぐるみを新たにテイムするってことで、いいですか?」
「うむ。それでいくしかあるまい。食料に関しては、わしらが責任をもって面倒を見よう」
「その食料についてなんですけど、ちょっとした提案が」
「なんじゃ?」
「牧場を作るのはどうかと思うんです」
「牧場……。ふむ。そういえば、リルもそんなことを言っていたような……」
俺の考えたぬいぐるみ牧場の構想はこうだ。
ウシ、ニワトリなどを一定数テイムして、牧場のメンバーとして飼う。
主にエサは村の食料から供給することになるが、エルフや人間は食べない森の植物なども食べさせることで、村の食糧庫にかかる負担を低減。
また、今回のモンスターたちのような脅威が弱いぬいぐるみたちに襲うとしても、猛獣たちを護衛として付けておくことで、安全に飼育することができる。
普通はウシのそばにクマを野放しなんてしたら、あっさり食われちゃうけど、ぬいぐるみならその心配はない。
平和に共存共栄してくれる。
さらにウシからは牛乳、ニワトリからは卵がとれるため、うまくいけば食糧事情に貢献することすらできるわけだ。
「どうでしょう?」
「ふむ。悪くないのう」
俺の構想を聞き、村長は何度か深く頷いた。
「飼育していたらいたで、新たにぬいぐるみたちの力を活かせる分野も見つかるじゃろう。それに今は、おぬしとぬいぐるみたちの力を頼るほかない状況になっておる。あとのことは心配せず任せるんじゃ」
「分かりました。それなら、遠慮なくいかせてもらいます」
「うむ。よろしく頼んだぞ」
力こそパワー。
猛獣ぬいぐるみたちの力を借りて、押しに押してごり押すとしよう。
前回は逃げ帰るのみに終わってしまったけど、今回はそうはいかないぞ。
しっかりとリベンジしてやる。
「それじゃあ、ぬいぐるみをテイムして、準備ができしだい洞窟に向かいます」
「ああ、ちょっと待つんじゃ。ひとつ、参考になるかは分からんがアドバイスをしよう」
「何でしょう?」
「おそらくは、鍵となるのがフィエンデルカンミラじゃ」
「“エルフ殺し”が?」
「うむ」
村長はひとつ咳払いすると、おもむろに話し始めた。
「あくまでも推測に過ぎぬのじゃが、あの花がモンスターたちをおびき寄せ、さらには狂暴化させている可能性がある。報告を聞く限り、モンスターたちは花を囲むようにしておったそうじゃしな」
確かに、モンスターたちが寝そべっている中央にあの花があった覚えがある。
あの時は、ハンターたちの急激な体調変化に驚いて、モンスターと花の関係性を考えるまでの余裕はなかったけど。
「おぬしには重ね重ねで悪いが、あの花の処分も任せたい。完全に燃やしてしまえば、もう脅威はなくなるはずじゃ。戦闘の最中に燃やすことができれば、もしやすると戦況を有利にできるかもしれん」
「なるほど。覚えておきます」
「うむ。では、任せた」
「はい」
村長と握手を交わし、家をあとにする。
すると、そこにはミルが立っていた。
横にはクマゴローもいる。
肩をきれいに縫ってもらい、すっかり元気なようだ。
「直ったのか。良かったな、クマゴロー」
「がお~」
「ありがとう、ミル」
「どういたしまして! これから、モンスターやっつけにいくの?」
「そうだな。クマゴローたちと一緒にな」
「がんばって! わたし、なにもできないけど、おーえんしてる!」
「それだけで十分だよ。な、クマゴロー」
「がお~」
さてさて、この目の前のけなげな少女が安心して森を歩けるようにするため。
戦と行きましょう。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
391
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる