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第24話 疾走と“こわくない”とエリサの技術
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「オクリギャップ! そこをみぎだよ!」
「ひひ~ん!」
ミルの案内で、オクリギャップは森の中を疾走していく。
振り落とされてはいけないので、プヨタローとコジローとグレイはお留守番。
そして俺からすれば意外だったのだが、ミルの方がこのスピード感を楽しんでいるようだ。
きっとジェットコースターとかも喜んで乗るタイプだろう。
それに対してリルはといえば、ぎゅっと目をつむり、オクリギャップの背中に必死にしがみついている。
半ば無理矢理に乗せてしまったけど、ちょっとかわいそうだったかな。
「大丈夫か?」
「だ、だいじょうぶだし!」
何でちょっとツンデレヒロインっぽくなってるんだよ。
明らかに大丈夫ではなさそうなんだけど。
「本当に無理になったら、すぐに言ってくれよ」
そう声を掛けて、俺は俺でこのアトラクションを楽しむ。
何を隠そう、俺もジェットコースターとかが好きな類なのだ。
前にウマのぬいぐるみに乗ったのは、モンスターから逃げるためだった。
当然のことながら、乗馬を楽しむ余裕なんて微塵もありはしない。
でも今回は、次々に行き過ぎていく森の風景を眺めながら、気分良く爽快な風を受けている。
「ちなみにその秘密基地ってとこまでは、あとどれくらいなんだ?」
「もうすこしです! オクリギャップがはやいから、あっというまについちゃいます! あ、オクリギャップ、ここをひだりね」
「ひひ~ん」
「こわくないこわくないこわくないこわくないこわくないこわくない……」
リルも強がるなぁ。
彼女らしいといえばらしいけど。
何でもめんどくさそーに気怠そーにしてる割りに、変なところで強情さを発揮する。
楽しくて仕方がない様子の妹と、限界寸前の姉。
そんな2人と俺を乗せて、オクリギャップは森の中を走る走る。
そして5分が経った頃、ミルが声を掛けてジェットコースターは終了を迎えた。
「こわくないこわくないこわくないこわくないこわくないこわくない……」
「ああ、もう怖くないぞ。何せ止まってるからな」
完全に腰が抜けてしまったリルを抱えて降りると、そこは洞穴の入口だった。
どうしてもモンスターたちのアジトがフラッシュバックして、あんまり良い気分ではないんだよなぁ。
「ここが秘密基地なのか?」
「そうです!」
「こわくないこわくないこわくないこわくないこわくないこわくない……」
「おーい、いい加減に目を覚ませ~」
確かに子供の秘密基地にはもってこいの場所だ。
幼い冒険心がくすぐられるようなスポットであることは、まず間違いない。
「ここは……」
ようやく無限“こわくない”ループから抜け出したリルが、青い顔で洞穴の入口を指差す。
「ここは、エリサがつれてきてくれたばしょ。わたしたち、ここで、エリサとあそんだ」
「エリサとの思い出の場所なんだな。でも、その頃のリルとミルからしたら、この場所はちょっと遠くないか?」
ここに来るまで、オクリギャップの脚でそれなりの時間走った。
そしてエリサが村にいたのは、双子が3歳の時まで。
今もそうだが、その当時の2人の体力からしたらここまで来るだけで大冒険なはずだ。
「エリサさんは、“そらとぶのりもの”をつくったんです! すごいんですよ! オクリギャップにまけないくらい、はやくとぶんです!」
「そのうえ、エリサのうんてん、すごくあらい……。わたし、いつもよってた……」
「えー、たのしかったじゃん」
「ミルはおかしい」
なるほど。
本当にちっちゃい頃から、速い乗り物に対する2人の耐性は変わらないらしい。
というより、エリサによってリルは速い乗り物がトラウマになったという可能性もあるけど。
それにしても“空飛ぶ乗り物”か。
魔法の絨毯とか、キントウンとかそんな感じかな。
ハイエルフなだけあって、エリサの技術は本当にすごいみたいだ。
うーん、ますます会ってみたくなってきたな。
「さあ、いきましょう!」
「なかには、エリサがのこしたものがいくつかある」
元気いっぱいのミルと、まだ少しグロッキーなリルに手を引かれ、俺は洞穴の中へと足を踏み入れるのだった。
「ひひ~ん!」
ミルの案内で、オクリギャップは森の中を疾走していく。
振り落とされてはいけないので、プヨタローとコジローとグレイはお留守番。
そして俺からすれば意外だったのだが、ミルの方がこのスピード感を楽しんでいるようだ。
きっとジェットコースターとかも喜んで乗るタイプだろう。
それに対してリルはといえば、ぎゅっと目をつむり、オクリギャップの背中に必死にしがみついている。
半ば無理矢理に乗せてしまったけど、ちょっとかわいそうだったかな。
「大丈夫か?」
「だ、だいじょうぶだし!」
何でちょっとツンデレヒロインっぽくなってるんだよ。
明らかに大丈夫ではなさそうなんだけど。
「本当に無理になったら、すぐに言ってくれよ」
そう声を掛けて、俺は俺でこのアトラクションを楽しむ。
何を隠そう、俺もジェットコースターとかが好きな類なのだ。
前にウマのぬいぐるみに乗ったのは、モンスターから逃げるためだった。
当然のことながら、乗馬を楽しむ余裕なんて微塵もありはしない。
でも今回は、次々に行き過ぎていく森の風景を眺めながら、気分良く爽快な風を受けている。
「ちなみにその秘密基地ってとこまでは、あとどれくらいなんだ?」
「もうすこしです! オクリギャップがはやいから、あっというまについちゃいます! あ、オクリギャップ、ここをひだりね」
「ひひ~ん」
「こわくないこわくないこわくないこわくないこわくないこわくない……」
リルも強がるなぁ。
彼女らしいといえばらしいけど。
何でもめんどくさそーに気怠そーにしてる割りに、変なところで強情さを発揮する。
楽しくて仕方がない様子の妹と、限界寸前の姉。
そんな2人と俺を乗せて、オクリギャップは森の中を走る走る。
そして5分が経った頃、ミルが声を掛けてジェットコースターは終了を迎えた。
「こわくないこわくないこわくないこわくないこわくないこわくない……」
「ああ、もう怖くないぞ。何せ止まってるからな」
完全に腰が抜けてしまったリルを抱えて降りると、そこは洞穴の入口だった。
どうしてもモンスターたちのアジトがフラッシュバックして、あんまり良い気分ではないんだよなぁ。
「ここが秘密基地なのか?」
「そうです!」
「こわくないこわくないこわくないこわくないこわくないこわくない……」
「おーい、いい加減に目を覚ませ~」
確かに子供の秘密基地にはもってこいの場所だ。
幼い冒険心がくすぐられるようなスポットであることは、まず間違いない。
「ここは……」
ようやく無限“こわくない”ループから抜け出したリルが、青い顔で洞穴の入口を指差す。
「ここは、エリサがつれてきてくれたばしょ。わたしたち、ここで、エリサとあそんだ」
「エリサとの思い出の場所なんだな。でも、その頃のリルとミルからしたら、この場所はちょっと遠くないか?」
ここに来るまで、オクリギャップの脚でそれなりの時間走った。
そしてエリサが村にいたのは、双子が3歳の時まで。
今もそうだが、その当時の2人の体力からしたらここまで来るだけで大冒険なはずだ。
「エリサさんは、“そらとぶのりもの”をつくったんです! すごいんですよ! オクリギャップにまけないくらい、はやくとぶんです!」
「そのうえ、エリサのうんてん、すごくあらい……。わたし、いつもよってた……」
「えー、たのしかったじゃん」
「ミルはおかしい」
なるほど。
本当にちっちゃい頃から、速い乗り物に対する2人の耐性は変わらないらしい。
というより、エリサによってリルは速い乗り物がトラウマになったという可能性もあるけど。
それにしても“空飛ぶ乗り物”か。
魔法の絨毯とか、キントウンとかそんな感じかな。
ハイエルフなだけあって、エリサの技術は本当にすごいみたいだ。
うーん、ますます会ってみたくなってきたな。
「さあ、いきましょう!」
「なかには、エリサがのこしたものがいくつかある」
元気いっぱいのミルと、まだ少しグロッキーなリルに手を引かれ、俺は洞穴の中へと足を踏み入れるのだった。
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