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★ルート分岐(ノエルエンド編)★
いつまでも ④ノエルエンド完結
帝国の女王になってから目が回るほど忙しい毎日を過ごしている。
そして気がつくとあっという間に十年以上もの年を重ねていた。
「そんな言い訳聞きたくないわ」
血筋を思い出させる長い黒髪を揺らして膨れっ面を見せるルルテラが可愛い。
「可愛いなんて言ってもダメ」
「言ってないけど。心を読むのやめてくれる?」
さすが聖女様と言うところか。
「お母様!怒っているのは私よ?」
「そうでした。本当にごめんね」
ぷんすかと腕組みをしているのは来月十五歳になる可愛い一人娘だ。実は彼女の誕生日に計画をしていた事があったのだがそれをすっかり本人に伝えるのを忘れていたのだ。
お陰で朝からかなりお冠の彼女にぎっちりと怒られている。
「兎に角まだ早いと思うの」
「そんな事ないよルルテラはもう立派にやっていける。今だってかなり表舞台で活躍してるじゃないか。この前、他の大陸から兵を差し向けられた時も魔法で馬一頭すら陸に上げなかったじゃないか」
「そう言うことを言ってるんじゃないの。気持ちの問題よ。お母様がいなくなったらどうしたらいいのか分からないわ」
しっかりしている様に見えてもまだ十五の女の子だ。僕と同じくらいの背丈になった彼女を優しく抱きしめて背中をポンポンと叩いた。
「遠くには行かないよ。療養を兼ねて少し田舎で過ごしたいだけだ。そろそろ休みを貰ってもいいだろ?」
僕の言葉にルルテラの瞳が曇る。
二年前に僕が突然大病を患った事を思い出したんだろう。宮廷医とルルテラの治癒で何とか持ち直したが正直自分でももう助からないと思った。
「その時に決めたんだ。ルルテラが十五になったら王座を譲って引退しようって」
「……お母様はずるいわ。そんなこと言われたら引き止められないじゃない」
みるみるうちに輝くピンクトパーズから涙が溢れる。ルルテラは僕にしがみついていつまでも泣いていた。
「アリス様どうでしたか?ルルテラ様の様子は」
夜、僕の自室でノエルと酒を酌み交わしながら過ごすのもすっかり日課になった。
「泣かれたよ。娘の涙は堪えるね」
「まだ心細くていらっしゃるんでしょう。当然です」
「でもいつまでも子供じゃない。十五になれば成人するんだ。困った時はいつでも駆けつけるし側にはアーロンも信頼できる部下もいる」
「それはそうですが……あまりに急なので」
急じゃない。二年間考え続けた。そしてその為にあらゆる準備をした。
病気をして分かったんだ。人生は有限だ。後悔のないように生きていきたい。
「ノエルにも付いて来てもらうからね」
「えっ?どこかに行かれるおつもりですか?」
「教会に身を寄せようと思って」
「ナツの元にですか?」
教会は寄付によって以前では考えられないくらい立派な建物になった。ルルテラが聖女だった事で女神フローレンスへの信仰が更に加熱したのだ。
すっかり様変わりした思い出の地だが、残されている以前の建物にまだ僕の部屋があるとナツに言われて里心がついた。リカルドの思い出が沢山あるあの家は僕の故郷だ。
「私もご一緒して宜しいんですか?」
「うん。嫌じゃなければ一緒に暮らそう」
「アリス様、それは」
ノエルの蒼い瞳が揺れる。
「うん。待たせたね。結婚しようノエル」
「アリス様……」
信じられないと言うような仕草で顔を覆う。あんなに好意を剥き出しにして来たくせに今更なんだよ。
「嫌なの?」
「嫌なわけありません!」
「ほんと?結局いつまで経ってもアリスって呼んでくれないし」
「それは……」
「もう僕は女王じゃなくなる。ノエルとただの夫婦になりたい」
「私もです。アリスさ……いや、アリス」
「ノエル」
力一杯抱きしめられて骨が軋んだ。けれどそれ以上にノエルの気持ちが伝わって嬉しかった。
「ナツに頼んで教会で二人きりで式を挙げよう」
「はい!」
「敬語は禁止」
「あ、うん」
くすりと笑う僕の顎を持ち上げ、ノエルが唇を重ねる。それは段々情熱的になりふわふわとした夢見ごごちを味わった。
「アリス」
「はい」
「今夜は一緒に寝てもいいか?」
ええっっ!!!
敬語じゃないだけでこんなに格好よく見えるなんて!いや格好いいのはいつもなんだけど。なんて言うか……胸がきゅんきゅんと音を立てる感じ?
「なんだか恥ずかしい」
「頬を染めるアリスも可愛いな」
耳元で囁くノエル。破壊力抜群の低音美声にグラグラする。
くつろげた胸元の色気もさる事ながら初めて見る臣下ではない男のノエルに僕も理性が崩壊寸前だ。
首筋に落ちるキス。全身を弄る綺麗な指。危うく服を全部脱がされる所でハッと我に返った。
「ノエル!だめ!結婚してから!」
「えっ……そんな」
危ない危ない。こう言うことはちゃんとけじめが大事なんだから。
「子供でも出来たらどうするの。ちゃんと結婚してからじゃないとダメ!」
「……はい」
肩をガックリ落として僕の服を整えるノエル。先程の彼とのあまりの落差にふふっと笑みが溢れた。
「アリス、明日教会に行って式を挙げよう」
「え?何言ってんの。忙しいんだから無理だよ。ルルテラの戴冠式まで待って」
「アリスー!」
ノエルが可愛い。
可愛くて思わず流されそうになるけどまだ今はルルテラの事をしっかり見てあげたい。
戴冠式が終わったら一緒に教会に帰ろう。
そして御伽話の結末のように二人でいつまでもいつまでも幸せに暮らすんだ。
そして気がつくとあっという間に十年以上もの年を重ねていた。
「そんな言い訳聞きたくないわ」
血筋を思い出させる長い黒髪を揺らして膨れっ面を見せるルルテラが可愛い。
「可愛いなんて言ってもダメ」
「言ってないけど。心を読むのやめてくれる?」
さすが聖女様と言うところか。
「お母様!怒っているのは私よ?」
「そうでした。本当にごめんね」
ぷんすかと腕組みをしているのは来月十五歳になる可愛い一人娘だ。実は彼女の誕生日に計画をしていた事があったのだがそれをすっかり本人に伝えるのを忘れていたのだ。
お陰で朝からかなりお冠の彼女にぎっちりと怒られている。
「兎に角まだ早いと思うの」
「そんな事ないよルルテラはもう立派にやっていける。今だってかなり表舞台で活躍してるじゃないか。この前、他の大陸から兵を差し向けられた時も魔法で馬一頭すら陸に上げなかったじゃないか」
「そう言うことを言ってるんじゃないの。気持ちの問題よ。お母様がいなくなったらどうしたらいいのか分からないわ」
しっかりしている様に見えてもまだ十五の女の子だ。僕と同じくらいの背丈になった彼女を優しく抱きしめて背中をポンポンと叩いた。
「遠くには行かないよ。療養を兼ねて少し田舎で過ごしたいだけだ。そろそろ休みを貰ってもいいだろ?」
僕の言葉にルルテラの瞳が曇る。
二年前に僕が突然大病を患った事を思い出したんだろう。宮廷医とルルテラの治癒で何とか持ち直したが正直自分でももう助からないと思った。
「その時に決めたんだ。ルルテラが十五になったら王座を譲って引退しようって」
「……お母様はずるいわ。そんなこと言われたら引き止められないじゃない」
みるみるうちに輝くピンクトパーズから涙が溢れる。ルルテラは僕にしがみついていつまでも泣いていた。
「アリス様どうでしたか?ルルテラ様の様子は」
夜、僕の自室でノエルと酒を酌み交わしながら過ごすのもすっかり日課になった。
「泣かれたよ。娘の涙は堪えるね」
「まだ心細くていらっしゃるんでしょう。当然です」
「でもいつまでも子供じゃない。十五になれば成人するんだ。困った時はいつでも駆けつけるし側にはアーロンも信頼できる部下もいる」
「それはそうですが……あまりに急なので」
急じゃない。二年間考え続けた。そしてその為にあらゆる準備をした。
病気をして分かったんだ。人生は有限だ。後悔のないように生きていきたい。
「ノエルにも付いて来てもらうからね」
「えっ?どこかに行かれるおつもりですか?」
「教会に身を寄せようと思って」
「ナツの元にですか?」
教会は寄付によって以前では考えられないくらい立派な建物になった。ルルテラが聖女だった事で女神フローレンスへの信仰が更に加熱したのだ。
すっかり様変わりした思い出の地だが、残されている以前の建物にまだ僕の部屋があるとナツに言われて里心がついた。リカルドの思い出が沢山あるあの家は僕の故郷だ。
「私もご一緒して宜しいんですか?」
「うん。嫌じゃなければ一緒に暮らそう」
「アリス様、それは」
ノエルの蒼い瞳が揺れる。
「うん。待たせたね。結婚しようノエル」
「アリス様……」
信じられないと言うような仕草で顔を覆う。あんなに好意を剥き出しにして来たくせに今更なんだよ。
「嫌なの?」
「嫌なわけありません!」
「ほんと?結局いつまで経ってもアリスって呼んでくれないし」
「それは……」
「もう僕は女王じゃなくなる。ノエルとただの夫婦になりたい」
「私もです。アリスさ……いや、アリス」
「ノエル」
力一杯抱きしめられて骨が軋んだ。けれどそれ以上にノエルの気持ちが伝わって嬉しかった。
「ナツに頼んで教会で二人きりで式を挙げよう」
「はい!」
「敬語は禁止」
「あ、うん」
くすりと笑う僕の顎を持ち上げ、ノエルが唇を重ねる。それは段々情熱的になりふわふわとした夢見ごごちを味わった。
「アリス」
「はい」
「今夜は一緒に寝てもいいか?」
ええっっ!!!
敬語じゃないだけでこんなに格好よく見えるなんて!いや格好いいのはいつもなんだけど。なんて言うか……胸がきゅんきゅんと音を立てる感じ?
「なんだか恥ずかしい」
「頬を染めるアリスも可愛いな」
耳元で囁くノエル。破壊力抜群の低音美声にグラグラする。
くつろげた胸元の色気もさる事ながら初めて見る臣下ではない男のノエルに僕も理性が崩壊寸前だ。
首筋に落ちるキス。全身を弄る綺麗な指。危うく服を全部脱がされる所でハッと我に返った。
「ノエル!だめ!結婚してから!」
「えっ……そんな」
危ない危ない。こう言うことはちゃんとけじめが大事なんだから。
「子供でも出来たらどうするの。ちゃんと結婚してからじゃないとダメ!」
「……はい」
肩をガックリ落として僕の服を整えるノエル。先程の彼とのあまりの落差にふふっと笑みが溢れた。
「アリス、明日教会に行って式を挙げよう」
「え?何言ってんの。忙しいんだから無理だよ。ルルテラの戴冠式まで待って」
「アリスー!」
ノエルが可愛い。
可愛くて思わず流されそうになるけどまだ今はルルテラの事をしっかり見てあげたい。
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そして御伽話の結末のように二人でいつまでもいつまでも幸せに暮らすんだ。
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