113 / 193
第6章―運命の選択―
24
しおりを挟む
「不沈空母……!? あのプロキオンかっ!? バカな、あのような戦艦が動くなど本来あり得ん話だ!」
バッツは驚愕しながらそう呟くと、深刻な表情で青ざめさせた。
「――あの船には随分とワシらの仲間も大勢やられた。その恨みを言えばきりがないがまさかあのプロキオンがこの様な戦場に出て来るとはなんて事だ……!」
そう言ってバッツは顔色を変えると、手もとが微かに震えた。
「ああ、そのまさかだ。俺もこの目でさっき確認したが、やはりあれはプロキオンだった。おまけに敵の自慢の主砲ヴァリトラの脅威の威力をこの目で拝ませてもらった。あれは間違いなく、あのプロキオン戦艦だ――!」
「なんだと、ヴァリトラだと!? あんなものをまともに喰らったらいくらお前達空戦部隊と言えでも歯がたたないぞ! かえって死に行くようなものだ!」
恐れた表情で話すと再び体を震わせた。急に痛い所を突かれたケイニッフィは言い返すにも出来ずに下を向いた。
「――ああ。あんたの言う通りだ。あいつらは、バカだった。それも大バカだ。勝てる見込みもない敵に突っ込んであの有り様だ。宇宙で死んだら骨の1つも拾えないのに、あいつらはそんな事もわからずにプロキオンに戦いを挑んだんだ。俺が必死に引き止めても聞く耳を持たなかった。本当の大馬鹿達だ」
ケイニッフィは隣でそのことを呟くと、過ぎて決して戻らない過去と、死んでしまった仲間達の無念を胸の奥に秘めながら、やり場のない感情を抱いた。
「……そうか。どうやらそちらも、多くの犠牲が出たようじゃな。ワシらの所もあいつらに多くの仲間を殺られたわい。それに施設も次々に破壊された。この補給所だって、いつ敵に潰されるかもわからん状況だ」
「バッツじいさん…――」
「さあ、ついて来い。ワシが案内してやる」
彼はそう話すと乗っていた機体を置いて補給所へと案内した。高いフェンスに囲まれた施設は、敵の攻撃から身を守る為に。周辺一帯に防御壁が設置されていた。だが、戦いの激しさわー思わせるように辺りには敵の墜落した機体がいくつも燃えていた。バッツは前を歩きながら彼に話した。
「やつらは他の補給所にも攻撃を仕掛けて潰しに来てる。ここも4回近くはあいつらに襲われた。だが生憎こちらにはヘスティア7機とヘパイトスが3機ある。だからまずは簡単にやられる心配はない。来た所でやつらの弱点はわしらが既に把握している。敵の新型のアークⅡは改良されたが、フェニックスはまだ改良されてない。だから今は凌げる。今はな、だがこの戦いが長く続けば戦況は時期に傾く。もはや時間の問題だろう」
バッツがそう話すと彼は不意に尋ねた。
「敵が来ているってことは、じいさんの所にパイロットが何人かいるのか?」
「ああ、パイロットって言っても僅かぐらいだ。狙撃戦闘用のパイロットはヘスティアを動かせるのが5人。後はわしらみたいな老いぼれの整備員だけだ」
彼がそう話すとケイニッフィは思わず、プッと吹き出した。
バッツは驚愕しながらそう呟くと、深刻な表情で青ざめさせた。
「――あの船には随分とワシらの仲間も大勢やられた。その恨みを言えばきりがないがまさかあのプロキオンがこの様な戦場に出て来るとはなんて事だ……!」
そう言ってバッツは顔色を変えると、手もとが微かに震えた。
「ああ、そのまさかだ。俺もこの目でさっき確認したが、やはりあれはプロキオンだった。おまけに敵の自慢の主砲ヴァリトラの脅威の威力をこの目で拝ませてもらった。あれは間違いなく、あのプロキオン戦艦だ――!」
「なんだと、ヴァリトラだと!? あんなものをまともに喰らったらいくらお前達空戦部隊と言えでも歯がたたないぞ! かえって死に行くようなものだ!」
恐れた表情で話すと再び体を震わせた。急に痛い所を突かれたケイニッフィは言い返すにも出来ずに下を向いた。
「――ああ。あんたの言う通りだ。あいつらは、バカだった。それも大バカだ。勝てる見込みもない敵に突っ込んであの有り様だ。宇宙で死んだら骨の1つも拾えないのに、あいつらはそんな事もわからずにプロキオンに戦いを挑んだんだ。俺が必死に引き止めても聞く耳を持たなかった。本当の大馬鹿達だ」
ケイニッフィは隣でそのことを呟くと、過ぎて決して戻らない過去と、死んでしまった仲間達の無念を胸の奥に秘めながら、やり場のない感情を抱いた。
「……そうか。どうやらそちらも、多くの犠牲が出たようじゃな。ワシらの所もあいつらに多くの仲間を殺られたわい。それに施設も次々に破壊された。この補給所だって、いつ敵に潰されるかもわからん状況だ」
「バッツじいさん…――」
「さあ、ついて来い。ワシが案内してやる」
彼はそう話すと乗っていた機体を置いて補給所へと案内した。高いフェンスに囲まれた施設は、敵の攻撃から身を守る為に。周辺一帯に防御壁が設置されていた。だが、戦いの激しさわー思わせるように辺りには敵の墜落した機体がいくつも燃えていた。バッツは前を歩きながら彼に話した。
「やつらは他の補給所にも攻撃を仕掛けて潰しに来てる。ここも4回近くはあいつらに襲われた。だが生憎こちらにはヘスティア7機とヘパイトスが3機ある。だからまずは簡単にやられる心配はない。来た所でやつらの弱点はわしらが既に把握している。敵の新型のアークⅡは改良されたが、フェニックスはまだ改良されてない。だから今は凌げる。今はな、だがこの戦いが長く続けば戦況は時期に傾く。もはや時間の問題だろう」
バッツがそう話すと彼は不意に尋ねた。
「敵が来ているってことは、じいさんの所にパイロットが何人かいるのか?」
「ああ、パイロットって言っても僅かぐらいだ。狙撃戦闘用のパイロットはヘスティアを動かせるのが5人。後はわしらみたいな老いぼれの整備員だけだ」
彼がそう話すとケイニッフィは思わず、プッと吹き出した。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
【完結】姉は聖女? ええ、でも私は白魔導士なので支援するぐらいしか取り柄がありません。
猫屋敷 むぎ
ファンタジー
誰もが憧れる勇者と最強の騎士が恋したのは聖女。それは私ではなく、姉でした。
復活した魔王に侯爵領を奪われ没落した私たち姉妹。そして、誰からも愛される姉アリシアは神の祝福を受け聖女となり、私セレナは支援魔法しか取り柄のない白魔導士のまま。
やがてヴァルミエール国王の王命により結成された勇者パーティは、
勇者、騎士、聖女、エルフの弓使い――そして“おまけ”の私。
過去の恋、未来の恋、政略婚に揺れ動く姉を見つめながら、ようやく私の役割を自覚し始めた頃――。
魔王城へと北上する魔王討伐軍と共に歩む勇者パーティは、
四人の魔将との邂逅、秘められた真実、そしてそれぞれの試練を迎え――。
輝く三人の恋と友情を“すぐ隣で見つめるだけ”の「聖女の妹」でしかなかった私。
けれど魔王討伐の旅路の中で、“仲間を支えるとは何か”に気付き、
やがて――“本当の自分”を見つけていく――。
そんな、ちょっぴり切ない恋と友情と姉妹愛、そして私の成長の物語です。
※本作の章構成:
第一章:アカデミー&聖女覚醒編
第二章:勇者パーティ結成&魔王討伐軍北上編
第三章:帰郷&魔将・魔王決戦編
※「小説家になろう」にも掲載(異世界転生・恋愛12位)
※ アルファポリス完結ファンタジー8位。応援ありがとうございます。
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
『25歳独身、マイホームのクローゼットが異世界に繋がってた件』 ──†黒翼の夜叉†、異世界で伝説(レジェンド)になる!
風来坊
ファンタジー
25歳で夢のマイホームを手に入れた男・九条カケル。
185cmのモデル体型に彫刻のような顔立ち。街で振り返られるほどの美貌の持ち主――だがその正体は、重度のゲーム&コスプレオタク!
ある日、自宅のクローゼットを開けた瞬間、突如現れた異世界へのゲートに吸い込まれてしまう。
そこで彼は、伝説の職業《深淵の支配者(アビスロード)》として召喚され、
チートスキル「†黒翼召喚†」や「アビスコード」、
さらにはなぜか「女子からの好感度+999」まで付与されて――
「厨二病、発症したまま異世界転生とかマジで罰ゲームかよ!!」
オタク知識と美貌を武器に、異世界と現代を股にかけ、ハーレムと戦乱に巻き込まれながら、
†黒翼の夜叉†は“本物の伝説”になっていく!
異世界で農業を -異世界編-
半道海豚
SF
地球温暖化が進んだ近未来のお話しです。世界は食糧難に陥っていますが、日本はどうにか食糧の確保に成功しています。しかし、その裏で、食糧マフィアが暗躍。誰もが食費の高騰に悩み、危機に陥っています。
そんな世界で自給自足で乗り越えようとした男性がいました。彼は農地を作るため、祖先が残した管理されていない荒れた山に戻ります。そして、異世界への通路を発見するのです。異常気象の元世界ではなく、気候が安定した異世界での農業に活路を見出そうとしますが、異世界は理不尽な封建制社会でした。
サイレント・サブマリン ―虚構の海―
来栖とむ
SF
彼女が追った真実は、国家が仕組んだ最大の嘘だった。
科学技術雑誌の記者・前田香里奈は、謎の科学者失踪事件を追っていた。
電磁推進システムの研究者・水嶋総。彼の技術は、完全無音で航行できる革命的な潜水艦を可能にする。
小与島の秘密施設、広島の地下工事、呉の巨大な格納庫—— 断片的な情報を繋ぎ合わせ、前田は確信する。
「日本政府は、秘密裏に新型潜水艦を開発している」
しかし、その真実を暴こうとする前田に、次々と圧力がかかる。
謎の男・安藤。突然現れた協力者・森川。 彼らは敵か、味方か——
そして8月の夜、前田は目撃する。 海に下ろされる巨大な「何か」を。
記者が追った真実は、国家が仕組んだ壮大な虚構だった。 疑念こそが武器となり、嘘が現実を変える——
これは、情報戦の時代に問う、現代SF政治サスペンス。
【全17話完結】
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる