少女は隣の部屋で兄を想う

成瀬瑛理

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お兄ちゃんの歯ブラシ

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私は小さい頃から兄に名前を呼ばれるのが嬉しかった｡

それは今も変わらず兄に名前を呼ばれると、私は嬉しくなる｡

タオルを渡してニコニコしていると、兄は私の顔を見て不意に聞いてきた｡

「どうした梨乃？」
「なんか朝から機嫌が良さそうだな」

　兄は私にそう言うと、青いタオルで顔を拭いていた｡

私はハッとすると胸が急に兄の前で、ドキドキした。

顔もいきなり赤くなりだして、私は兄から顔をそらした｡

兄は顔を拭き終わると肩にタオルをかけて私に言ってきた｡

「梨乃、洗面台空いたぞ」
「お前も顔洗えよ」

兄にそう言われると私は軽く返事をした｡

「うん！」

　私が顔を少し赤くしていると、兄は私に聞いてきた｡

「ん…？」

「梨乃かお赤いぞ？」

「ひょっとして熱か？」

兄はそう言うと私のオデコに触れてきた｡

　私はその瞬間、心臓の鼓動が高鳴ったのだった｡

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