初雪は聖夜に溶ける

成瀬瑛理

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二人の出会い

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 司は有名な若手の写真家だった。プロのカメラマンとしての実力もあり。何より彼は名前がモデル業界でも知れ渡っていた。その日は、セミヌード写真集の撮影だった。いつも撮っているカメラマンの人が、急用で来れなくなって、その代わりに来たのが司だった。

 周囲が慌てる中、彼は撮影スタジオにカメラ機材を持って堂々と現れた。はじめて彼にあった時の印象は強面の感じの雰囲気で、どこか野性的で、大人の魅力が溢れていた。そしてエネルギッシュに仕事をこなす姿勢はまさにプロのカメラマンだった。司はカメラを向けるとファンインダー越しで無言でシャッターを何枚か切った。そして、司は俺の作り笑いを一瞬で見抜いた。アイツは、どんなプロにも見抜けなかった俺の作り笑顔を簡単に見抜いた。たった僅かな数枚の写真で、俺のウソが暴かれた。その瞬間、自分の足下があっという間に崩れ去るような感覚に突如襲われた。

  きっと彼に見抜かれたのは俺自身が既にその時、精神的にも限界を感じていたからだと思う。俺と司の出会いは其処から始まった。最初はお互いに反発して衝突しあったりした。そして、意見の食い違いで2人して言い争ったりして、俺が司を困らせて色々な事が沢山あった。でも、彼にあの時に出会っていなければ今の俺はいなかったと思う。そして、いつの頃からか司はカメラのレンズ越しでモデルの「南瀬リョウ」と本当の俺「黒澤一希」を一緒にとらえていたんだ。

 その証拠に彼が撮った写真には南瀬リョウの時の俺ではなく、本当の俺が写し出されていた。きっと彼と一緒にいた時間が、俺の中の積もった雪を優しく溶かしてくれたんだと思う。そして、気がつけば俺はその頃から彼に夢中になっていた――。

 最初は凄く嫌な奴だと思ったけれども、最終的には俺は心から司に惹かれてた。それから彼が撮った俺のセミヌードの写真集はあのあと飛ぶように売れた。きっと司の名前が決めてだったのかも知れない。

 俺の写真集はテレビでも紹介されてあの転落だったモデル人生も、司のおかげて一躍人気モデルとして、また表舞台と脚光を浴びるようになった。でも今は、あの時の頃とは違う。俺には司がいるから……。


 司がいるから、俺は俺でいられる。


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