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プロローグ
神の御加護!
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神様は見てくれていた。これだけでこんなにも救われた気持ちになるんだ。なんて感動をしていたら・・・
『手にワシの手袋の加護を授けてやろう』
「手袋の加護?」
『ワシの手袋、とはいっても今はワシの権能の一部になっているが・・・ワシが下界にいた頃着けていた手袋は身につけた者の手を鉄のように頑丈にしてくれるのだ。雷を掴んでも火傷一つせんぞ』
掴まれていた両手が金色の光に包まれ、同時に熱を帯始めた。
「アチチチチッ!あづぅ!?熱っ!?」
『我慢せい!』
光が収まり手が離れても暫くは熱さが引かず転げ回る羽目に。
「うー・・・熱・・・」
『これでお前さんの手は鉄より固く熱に強くなったぞ』
「そうなんですか?!」
涙目なまま見上げるとトール様はにっこり。とはいえそれだと頑丈な手の女性になっただけなわけで。
「あのー、凄いとは思うんですが・・・」
『皆まで言うな、わかっておる』
そう言うとトール様は再び僕の両手を掴んだ。先ほどと違って片手で掴んでいるので釣り上げられるような格好だ。
「えーと、トール様?これはいったい?」
『その細っこい手足では戦う力もでまい、そこで次に力帯の加護だ』
「そうなんですか、ちょっと待って心の準備がウビバッ?!!」
振りかぶった腕に嫌な予感を感じたものの有無を言わせずトール様の手が無防備な僕のお腹にクリーンヒットした。
「・・・!~~~!ッッッッッ?!」
声にならない声を上げてゴロゴロ転がる。ハンマーで殴られたような衝撃と痛みに今度は涙目を通り越してマジ泣き。
「痛いよう、痛いよう・・・」
『ちょっと力加減を間違えたか?すまんな・・・』
痛みがなかなか引かず寝転がったまま三角座りでメソメソする羽目に。さすがに申し訳なく感じたのかトール様も困り顔だ。
『力帯の加護はワシの着けている力帯と同じ様にお前さんに怪力をもたらす加護だ』
「・・・」
怪力!凄いことだけどなんか趣旨からズレてるような。
「ふしゅふのほろはほうはへふ?」
『うむ、そこからはちょいと確認が必要なのでな・・・』
そう言うとトール様は僕をごろりと転がして額に手を当てた。手が大きすぎて顔が隠れる状態だ。
お腹の痛みが酷くて力も入らない状況で『うーむ』とか『うん?』とか何とも不安を掻き立てる言葉が落ちてくる。
『どういうわけか・・・お前さんには才能が全くない』
「はばっべばぶ」
『いや、向き不向きとかそう言うレベルではないぞ・・・お前さんは今までよく武を諦めなかったな』
大したものだ。とトール様は言う。
「が、頑張りました・・・」
今度こそ堪えきれなかった涙がこぼれて止まらなくなってしまった。
『挫けずよくここまで来た。その努力と運命に応えようぞ』
なんとか上体を起こしてトール様を見上げる。
『ワシの加護を受けるに当たってなんの才能もないお前さんはむしろ好都合!空の器に武神の才を注いでやろう!』
ふんす!と吹き飛ばされそうな鼻息とともにトール様は手を振り上げる。すると俄に空に黒雲が立ち込め、やがて稲光とともに僕たちの頭上に集まった。
『これよりは存分に励むといいぞ!』
その言葉と同時に穴だらけの天井を突き破るような轟音とともに僕の視界は光に包まれ、そこで僕の意識は再び途切れた。
「うーん・・・はっ!?」
目が覚めた。顔を上げて周囲を見渡すとそこはいつもの神殿だった。夢だったのかな・・・なんて思ったが
「うぅ、夢じゃない」
長くなった髪と膨らんだ胸が全てを物語っていた。
「家族にはどう言おうかな・・・」
家の前で僕はぽつんと立っていた。遅くなっただけでも怒られそうなのに今の自分を見てお父さんはどう思うだろうか。
泡吹いて倒れなきゃいいけど。
「とりあえずこっそり入るしかないよね・・・」
言い訳も何も浮かばないのでなに食わぬ顔で部屋に戻るしかない。説明しても信じてもらえるかも怪しいので極力顔を合わせないようにして・・・。自宅は大きな塀で囲まれた大きな屋敷なので建物の中に入れれば問題ない。問題があるとすればこの屋敷は元は砦を改修したもので、非常時には侵入者を迎え撃つ防衛拠点にもなる場所ということ。つまるところ何がいいたいかと言うとこっそりはいるのも至難の業なのだ。
「問題だらけだった・・・いっそのこと白状した方が良いんだろうか」
とは言いつつもやっぱり勇気がわかないので塀をよじ登ることにした。こういう時に備えてこっそり行き来できる場所を作っておいてよかった。
「よいしょっ・・・」
塀の側にある馬を繋いでおく所の屋根を利用しつつロープを掴んで登る。
「ただい・・・まっ?!」
暗がりから伸びてきた何かが僕の襟を引っ掛けた。あっ、と思う時間もなく僕は魚の様に一本釣りされた。景色がぐるりと一回転し、足が地面から離れた状態でぴたりととまった。
「無断で立ち入る狼藉者め、大人しく・・・ん?」
僕の体を引っ掛けて釣り上げたのは見上げるような大男。虎髭とギョロっとした目玉を血走らせて睨む姿はまるでトール様のよう。僕のよく知る人物だ。
「久しぶり、カーソン。帰ってたんだね」
「わ、若?!」
『手にワシの手袋の加護を授けてやろう』
「手袋の加護?」
『ワシの手袋、とはいっても今はワシの権能の一部になっているが・・・ワシが下界にいた頃着けていた手袋は身につけた者の手を鉄のように頑丈にしてくれるのだ。雷を掴んでも火傷一つせんぞ』
掴まれていた両手が金色の光に包まれ、同時に熱を帯始めた。
「アチチチチッ!あづぅ!?熱っ!?」
『我慢せい!』
光が収まり手が離れても暫くは熱さが引かず転げ回る羽目に。
「うー・・・熱・・・」
『これでお前さんの手は鉄より固く熱に強くなったぞ』
「そうなんですか?!」
涙目なまま見上げるとトール様はにっこり。とはいえそれだと頑丈な手の女性になっただけなわけで。
「あのー、凄いとは思うんですが・・・」
『皆まで言うな、わかっておる』
そう言うとトール様は再び僕の両手を掴んだ。先ほどと違って片手で掴んでいるので釣り上げられるような格好だ。
「えーと、トール様?これはいったい?」
『その細っこい手足では戦う力もでまい、そこで次に力帯の加護だ』
「そうなんですか、ちょっと待って心の準備がウビバッ?!!」
振りかぶった腕に嫌な予感を感じたものの有無を言わせずトール様の手が無防備な僕のお腹にクリーンヒットした。
「・・・!~~~!ッッッッッ?!」
声にならない声を上げてゴロゴロ転がる。ハンマーで殴られたような衝撃と痛みに今度は涙目を通り越してマジ泣き。
「痛いよう、痛いよう・・・」
『ちょっと力加減を間違えたか?すまんな・・・』
痛みがなかなか引かず寝転がったまま三角座りでメソメソする羽目に。さすがに申し訳なく感じたのかトール様も困り顔だ。
『力帯の加護はワシの着けている力帯と同じ様にお前さんに怪力をもたらす加護だ』
「・・・」
怪力!凄いことだけどなんか趣旨からズレてるような。
「ふしゅふのほろはほうはへふ?」
『うむ、そこからはちょいと確認が必要なのでな・・・』
そう言うとトール様は僕をごろりと転がして額に手を当てた。手が大きすぎて顔が隠れる状態だ。
お腹の痛みが酷くて力も入らない状況で『うーむ』とか『うん?』とか何とも不安を掻き立てる言葉が落ちてくる。
『どういうわけか・・・お前さんには才能が全くない』
「はばっべばぶ」
『いや、向き不向きとかそう言うレベルではないぞ・・・お前さんは今までよく武を諦めなかったな』
大したものだ。とトール様は言う。
「が、頑張りました・・・」
今度こそ堪えきれなかった涙がこぼれて止まらなくなってしまった。
『挫けずよくここまで来た。その努力と運命に応えようぞ』
なんとか上体を起こしてトール様を見上げる。
『ワシの加護を受けるに当たってなんの才能もないお前さんはむしろ好都合!空の器に武神の才を注いでやろう!』
ふんす!と吹き飛ばされそうな鼻息とともにトール様は手を振り上げる。すると俄に空に黒雲が立ち込め、やがて稲光とともに僕たちの頭上に集まった。
『これよりは存分に励むといいぞ!』
その言葉と同時に穴だらけの天井を突き破るような轟音とともに僕の視界は光に包まれ、そこで僕の意識は再び途切れた。
「うーん・・・はっ!?」
目が覚めた。顔を上げて周囲を見渡すとそこはいつもの神殿だった。夢だったのかな・・・なんて思ったが
「うぅ、夢じゃない」
長くなった髪と膨らんだ胸が全てを物語っていた。
「家族にはどう言おうかな・・・」
家の前で僕はぽつんと立っていた。遅くなっただけでも怒られそうなのに今の自分を見てお父さんはどう思うだろうか。
泡吹いて倒れなきゃいいけど。
「とりあえずこっそり入るしかないよね・・・」
言い訳も何も浮かばないのでなに食わぬ顔で部屋に戻るしかない。説明しても信じてもらえるかも怪しいので極力顔を合わせないようにして・・・。自宅は大きな塀で囲まれた大きな屋敷なので建物の中に入れれば問題ない。問題があるとすればこの屋敷は元は砦を改修したもので、非常時には侵入者を迎え撃つ防衛拠点にもなる場所ということ。つまるところ何がいいたいかと言うとこっそりはいるのも至難の業なのだ。
「問題だらけだった・・・いっそのこと白状した方が良いんだろうか」
とは言いつつもやっぱり勇気がわかないので塀をよじ登ることにした。こういう時に備えてこっそり行き来できる場所を作っておいてよかった。
「よいしょっ・・・」
塀の側にある馬を繋いでおく所の屋根を利用しつつロープを掴んで登る。
「ただい・・・まっ?!」
暗がりから伸びてきた何かが僕の襟を引っ掛けた。あっ、と思う時間もなく僕は魚の様に一本釣りされた。景色がぐるりと一回転し、足が地面から離れた状態でぴたりととまった。
「無断で立ち入る狼藉者め、大人しく・・・ん?」
僕の体を引っ掛けて釣り上げたのは見上げるような大男。虎髭とギョロっとした目玉を血走らせて睨む姿はまるでトール様のよう。僕のよく知る人物だ。
「久しぶり、カーソン。帰ってたんだね」
「わ、若?!」
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