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ガルデンヘイム王国王都で
騎士さん達と模擬戦
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「なんの!これからです!」
先ほどの一撃の重さに驚愕しながらクローゼは盾と槍を構えなおした。騎士達の大半は槍の一撃を真っ向から受けたように見えたが、実際はまるで大型の魔物の突進を想起させるような一撃に捌くことが敵わずモロに受けて後ずさったのだ。重さもさることながら速さも目を見張るもので軽量な獣の動きを思わせる。
(そうは言ったもののどうしたものか・・・)
一撃で左腕の感覚の大半を持っていかれた。刃引きをしている分純粋な鈍器と化した槍の一撃は固定している腕にダイレクトにダメージを与えている。そうなると盾をつかって相手の攻撃をいなすのは難しい。
「とりあえず一区切りをつけるまでは回復はしないからね」
「当然ですな、本当の戦いならあの一撃で下手したらやられていた」
あの一撃、名槍なら下手をすれば突き破っていたかもしれない。たらればを言えば訓練用でなければ金属板を貼り付けているので耐えられるかもしれないがその分重量が増すのでそもそも反応できなかったかもしれない。
「とりあえず次がつかえてるから最初の課題を貴方にだそうか・・・なっ!」
そう彼女が呟いた瞬間、クローゼの体に悪寒が走った。それと同時に槍の石突が盾と槍の隙間を縫って滑り込み、みぞおちを強打した。
「うぐっ!」
「次に番が回ってくるまでにこの一撃を凌げるようになってみてね」
衝撃が背中から抜け、二、三歩下がって膝を突くとクローゼはそのまま失神した。その一撃に周囲がどよめいた。
「今の一撃は一体?!」
「み、見えなかった・・・」
すかさず治癒魔法を掛けるとすぐに意識を取り戻したがクローゼはポカンとしたままで一同の下へと下がると首を傾げながら終わったばかりの模擬戦の内容を必死に思い出していた。
「さ、ドンドン行くよ!」
「お、おう!次は俺だ!」
クローゼが引っ込むと次にまた別の騎士が名乗りをあげ、由香と模擬戦を始める。しかしこれも瞬殺に終わり、課題と称してさまざまな技や攻め方を講じては騎士達を驚かせた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「いやぁ、スカサハ様との戦いは大変為になりました。機会があればまたやりたいです」
「そうかな、突然お願いしたのにそう言ってもらえると私も嬉しいよ」
結局騎士さん全員と模擬戦を行う事になった私は二週目を超えた辺りで集団戦に切り替えたり、武器を変えたりしてなるべく彼らが慣れない様に気を配りながら模擬戦を戦い抜いた。
結構な時間が掛かってしまったので公務のある騎士さんから順番に抜けて行き、最終的には数人が残るだけとなった。
「それでは隊長、我等も任務に戻ります」
「うむ、今回の経験をしっかりと次に活かすのだぞ」
そんな残った数人もオジさんに挨拶を済ませると律儀に私にも会釈してから修練場を後にした。
「さて、それでは我等も参りましょうか」
「ちょっとまって、ほら」
そう言って出口に向かおうとするオジさんに私は持っていた槍を投げ渡した。
「これは・・・?」
「騎士隊長殿とはまだやってないでしょ?」
「これは重畳!」
そう言うとオジさんは槍をぶんぶんと振り回して笑みを浮かべる。一番最後まで楽しみに待っていたのに結局部下の騎士さんに全部譲っちゃったもんね。こういう事が出来る人にはできるだけ報われて欲しい。
「さてと、それじゃあ一手ご教授願いましょうか」
「ふっふっふ、騎士隊長の手練をお見せしましょうぞ」
オジさんがそう言うと槍が薄っすらと魔力を帯びて微かに輝く。洞窟で見せた技の一つだろうか。
耐久度や威力が大きく向上する技らしいが騎士さん達が使わなかったのはおそらく使い手が要求される技量が大きいのだろう。
「それではいきますぞ!」
凄まじいスピードの突きが私に向かってくる。下手をすれば命ごと貫きかねない迷いのない一撃だ。当たらないと解っていて、それでもなお当ててやろうと想い繰り出した一撃。誠意のこもった一撃だ。
「ふっ!」
「おっとっと・・・凄いね」
あえて持っていた槍で受ける。突きを柄で弾いて身を翻すと掠った柄が粉みじんに弾け飛び、私の体を衝撃が掠めていった。衝撃のまま飛んで距離をとり、崩れた体勢を手を突いて立て直すと折れた槍をまじまじと見つめる。まるで砲弾でも掠ったかのような一撃だった。
「これじゃ槍がいくらあっても足りないね」
「ぬっふっふ・・・ならばいかがする御積りか?」
「普通の槍が壊れるなら、その槍を普通じゃなくせば良いだけのことだよん」
折れた槍の柄と穂先を手に魔力を流し込んで変質させていく。使う属性は地、数多の金属を扱う地属性には錬金術に欠かせないファクターがあるのだ。
「お・・・おおぉ・・・」
ピキピキとガラスがひび割れるような音とともに変質し、構築されていく槍の姿にオジさんは感嘆の声を上げる。
先ほどの一撃の重さに驚愕しながらクローゼは盾と槍を構えなおした。騎士達の大半は槍の一撃を真っ向から受けたように見えたが、実際はまるで大型の魔物の突進を想起させるような一撃に捌くことが敵わずモロに受けて後ずさったのだ。重さもさることながら速さも目を見張るもので軽量な獣の動きを思わせる。
(そうは言ったもののどうしたものか・・・)
一撃で左腕の感覚の大半を持っていかれた。刃引きをしている分純粋な鈍器と化した槍の一撃は固定している腕にダイレクトにダメージを与えている。そうなると盾をつかって相手の攻撃をいなすのは難しい。
「とりあえず一区切りをつけるまでは回復はしないからね」
「当然ですな、本当の戦いならあの一撃で下手したらやられていた」
あの一撃、名槍なら下手をすれば突き破っていたかもしれない。たらればを言えば訓練用でなければ金属板を貼り付けているので耐えられるかもしれないがその分重量が増すのでそもそも反応できなかったかもしれない。
「とりあえず次がつかえてるから最初の課題を貴方にだそうか・・・なっ!」
そう彼女が呟いた瞬間、クローゼの体に悪寒が走った。それと同時に槍の石突が盾と槍の隙間を縫って滑り込み、みぞおちを強打した。
「うぐっ!」
「次に番が回ってくるまでにこの一撃を凌げるようになってみてね」
衝撃が背中から抜け、二、三歩下がって膝を突くとクローゼはそのまま失神した。その一撃に周囲がどよめいた。
「今の一撃は一体?!」
「み、見えなかった・・・」
すかさず治癒魔法を掛けるとすぐに意識を取り戻したがクローゼはポカンとしたままで一同の下へと下がると首を傾げながら終わったばかりの模擬戦の内容を必死に思い出していた。
「さ、ドンドン行くよ!」
「お、おう!次は俺だ!」
クローゼが引っ込むと次にまた別の騎士が名乗りをあげ、由香と模擬戦を始める。しかしこれも瞬殺に終わり、課題と称してさまざまな技や攻め方を講じては騎士達を驚かせた。
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「いやぁ、スカサハ様との戦いは大変為になりました。機会があればまたやりたいです」
「そうかな、突然お願いしたのにそう言ってもらえると私も嬉しいよ」
結局騎士さん全員と模擬戦を行う事になった私は二週目を超えた辺りで集団戦に切り替えたり、武器を変えたりしてなるべく彼らが慣れない様に気を配りながら模擬戦を戦い抜いた。
結構な時間が掛かってしまったので公務のある騎士さんから順番に抜けて行き、最終的には数人が残るだけとなった。
「それでは隊長、我等も任務に戻ります」
「うむ、今回の経験をしっかりと次に活かすのだぞ」
そんな残った数人もオジさんに挨拶を済ませると律儀に私にも会釈してから修練場を後にした。
「さて、それでは我等も参りましょうか」
「ちょっとまって、ほら」
そう言って出口に向かおうとするオジさんに私は持っていた槍を投げ渡した。
「これは・・・?」
「騎士隊長殿とはまだやってないでしょ?」
「これは重畳!」
そう言うとオジさんは槍をぶんぶんと振り回して笑みを浮かべる。一番最後まで楽しみに待っていたのに結局部下の騎士さんに全部譲っちゃったもんね。こういう事が出来る人にはできるだけ報われて欲しい。
「さてと、それじゃあ一手ご教授願いましょうか」
「ふっふっふ、騎士隊長の手練をお見せしましょうぞ」
オジさんがそう言うと槍が薄っすらと魔力を帯びて微かに輝く。洞窟で見せた技の一つだろうか。
耐久度や威力が大きく向上する技らしいが騎士さん達が使わなかったのはおそらく使い手が要求される技量が大きいのだろう。
「それではいきますぞ!」
凄まじいスピードの突きが私に向かってくる。下手をすれば命ごと貫きかねない迷いのない一撃だ。当たらないと解っていて、それでもなお当ててやろうと想い繰り出した一撃。誠意のこもった一撃だ。
「ふっ!」
「おっとっと・・・凄いね」
あえて持っていた槍で受ける。突きを柄で弾いて身を翻すと掠った柄が粉みじんに弾け飛び、私の体を衝撃が掠めていった。衝撃のまま飛んで距離をとり、崩れた体勢を手を突いて立て直すと折れた槍をまじまじと見つめる。まるで砲弾でも掠ったかのような一撃だった。
「これじゃ槍がいくらあっても足りないね」
「ぬっふっふ・・・ならばいかがする御積りか?」
「普通の槍が壊れるなら、その槍を普通じゃなくせば良いだけのことだよん」
折れた槍の柄と穂先を手に魔力を流し込んで変質させていく。使う属性は地、数多の金属を扱う地属性には錬金術に欠かせないファクターがあるのだ。
「お・・・おおぉ・・・」
ピキピキとガラスがひび割れるような音とともに変質し、構築されていく槍の姿にオジさんは感嘆の声を上げる。
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