46 / 98
ガルデンヘイム王国王都で
王宮でまったり・・・できないのかな?
しおりを挟む
ルーンちゃんの事件から早くも三日経った。ピリピリしていた王宮も徐々に普段の生活に戻っていき、遅れを取り戻すようにイベントに向けて準備が始まった。
私としてはイベントで盛り上がり、美味しいものが食べられれば良かったのだが・・・。
「なんで私が騎乗訓練なんぞをしなきゃいけないの?」
「それはもちろん殿下の護衛を務めるとおっしゃられたからですな」
目の前にはお馬さんが・・・たしかにちょっと乗った事はあったけど・・・。
「何この子、ビビリすぎじゃない?」
目の前のお馬さんたちは私の顔を見て今にも逃げ出そうとしている。お馬さんは生来臆病な生き物とは思ってたけどこれは・・・?
「ガルデンヘイムで一般に騎乗されている種のカウルホースは魔力に敏感ですからね」
「やっぱり私のせいかぁ・・・」
「困りましたなぁ・・・徒歩で歩くというのは流石に・・・」
カウルホースというのがガルデンヘイムで主に飼育されている馬なのだそうだ。なんでも毛並みが美しく、温和で乗りやすいということから貴人の旅のお供や儀典用に乗り回すのにもってこいなのだとか。その代わりに強い魔力に敏感である一定の魔力を持つ人間・・・っていうか本来は魔物レベルの魔力を感じるとおびえてしまうのだという。ちなみに人形態のルーンちゃんはギリギリセーフだった、それでもちょっと厳しいっぽい。
「じゃあ私は何に乗るの?」
「軍馬か・・・それでもダメなら騎乗用に飼育された魔物を使うしかありませんな」
そう言うと今度は騎士さん達が所有する軍馬から何頭かが引っ張られてきたが私を前にするとやはり皆おびえて動かなくなってしまった。
「それではやはり魔物を・・・」
オジさんが呆れた様子で言う。規格外も此処までくるとどうしたものか・・・。ホッとした様子で畜舎に戻っていくお馬さんたちを眺めながらちょっと泣きたくなる。
ルーンちゃんに慰められながらしばらく修練場で待っていると今度はなにやら頑丈そうな鎧姿の四足の蜥蜴さんが歩いてきた。
「パレードにしては物々しくない?」
「ですが貴女に怯えないものとなりますとね」
魔物とウマではそもそもが違うのか蜥蜴さんは私を見つけると引き連れてきた騎士さんを振り切って私のところにやって来た。
「確かに・・・そうかもね」
『クルル・・・』
思ったよりも可愛らしい声に笑みがこぼれる。まるで戦車のように強靭な体格と鎧姿にも関わらず温和な性格のようだ。
「アーマーリザードの中でも特に頑健な鎧龍と呼ばれる種類です。剣はもちろん御者の能力次第で魔法にも良く耐えます、大きな音や痛みにも驚かないので軍用の騎獣としてはとてもいいでしょう」
「確かに頑丈そうだね、それに賢そう」
褒めてあげると言葉がわかるのか彼は嬉しそうに喉を鳴らして私に擦り寄ってくる。
「この鎧は彼の体の一部なの?」
「そうです、個体によってデザインが異なるのでそれによって値が変わることもありますが・・・こやつも含めて軍用なのでとにかく頑丈さを主眼に置いて育成しております」
「装飾だけならいくらでもできるものね、軍用と言えばどの国でもエリートだから・・・君もエリートと言うわけだ、凄いじゃん」
『クルゥ!』
鼻先を撫でて褒めて上げると自慢げに首を持ち上げ、足を踏み鳴らして鳴き声を上げる。
結構な重量があるのか足もとがぐらつく位の強さだ。
「それで、どうやって乗るの?」
「首の付け根にに鐙をつけて跨ぐか、背面に座席をつけて座るといったやり方もあります」
「背面に座席かぁ・・・それがいいかもね」
大きな体、全長だけなら変身したルーンちゃんに匹敵するのではという大きさの彼は首の太さも太く、私が跨ぐのはちょっと辛そう。背中はそれに比べて広く、鎧の上であるため人が数人乗っても大丈夫なくらいの大きさだから乗りやすい。試しに飛び上がって背中の上に立ってみると足場のようになっている所があって存外のりやすい。
「これなら席がなくてもいいかもね、彼が私の指示に従ってくれるならだけど」
『クルル!』
「お、いいの?」
言葉はわからないが師匠の教え・・・というより龍人としての種族としての性質なのだろうか、彼の言葉がなんとなく解る。彼は私の言うことを聞いてくれると言っているようだ。
「解るのですか?」
「なんとなくね、ところで彼の名前は?」
「主もまだ無く、軍功を上げておりませんので名前はありません。ですが今回の事を考えればスカサハ様がお付けになってもよろしいのでは?」
『クルル!グオッ!』
是非!と言わんばかりに声をあげ、擦り寄ってくる。かわいい。
なので私は彼の名前を考えることにする。
私としてはイベントで盛り上がり、美味しいものが食べられれば良かったのだが・・・。
「なんで私が騎乗訓練なんぞをしなきゃいけないの?」
「それはもちろん殿下の護衛を務めるとおっしゃられたからですな」
目の前にはお馬さんが・・・たしかにちょっと乗った事はあったけど・・・。
「何この子、ビビリすぎじゃない?」
目の前のお馬さんたちは私の顔を見て今にも逃げ出そうとしている。お馬さんは生来臆病な生き物とは思ってたけどこれは・・・?
「ガルデンヘイムで一般に騎乗されている種のカウルホースは魔力に敏感ですからね」
「やっぱり私のせいかぁ・・・」
「困りましたなぁ・・・徒歩で歩くというのは流石に・・・」
カウルホースというのがガルデンヘイムで主に飼育されている馬なのだそうだ。なんでも毛並みが美しく、温和で乗りやすいということから貴人の旅のお供や儀典用に乗り回すのにもってこいなのだとか。その代わりに強い魔力に敏感である一定の魔力を持つ人間・・・っていうか本来は魔物レベルの魔力を感じるとおびえてしまうのだという。ちなみに人形態のルーンちゃんはギリギリセーフだった、それでもちょっと厳しいっぽい。
「じゃあ私は何に乗るの?」
「軍馬か・・・それでもダメなら騎乗用に飼育された魔物を使うしかありませんな」
そう言うと今度は騎士さん達が所有する軍馬から何頭かが引っ張られてきたが私を前にするとやはり皆おびえて動かなくなってしまった。
「それではやはり魔物を・・・」
オジさんが呆れた様子で言う。規格外も此処までくるとどうしたものか・・・。ホッとした様子で畜舎に戻っていくお馬さんたちを眺めながらちょっと泣きたくなる。
ルーンちゃんに慰められながらしばらく修練場で待っていると今度はなにやら頑丈そうな鎧姿の四足の蜥蜴さんが歩いてきた。
「パレードにしては物々しくない?」
「ですが貴女に怯えないものとなりますとね」
魔物とウマではそもそもが違うのか蜥蜴さんは私を見つけると引き連れてきた騎士さんを振り切って私のところにやって来た。
「確かに・・・そうかもね」
『クルル・・・』
思ったよりも可愛らしい声に笑みがこぼれる。まるで戦車のように強靭な体格と鎧姿にも関わらず温和な性格のようだ。
「アーマーリザードの中でも特に頑健な鎧龍と呼ばれる種類です。剣はもちろん御者の能力次第で魔法にも良く耐えます、大きな音や痛みにも驚かないので軍用の騎獣としてはとてもいいでしょう」
「確かに頑丈そうだね、それに賢そう」
褒めてあげると言葉がわかるのか彼は嬉しそうに喉を鳴らして私に擦り寄ってくる。
「この鎧は彼の体の一部なの?」
「そうです、個体によってデザインが異なるのでそれによって値が変わることもありますが・・・こやつも含めて軍用なのでとにかく頑丈さを主眼に置いて育成しております」
「装飾だけならいくらでもできるものね、軍用と言えばどの国でもエリートだから・・・君もエリートと言うわけだ、凄いじゃん」
『クルゥ!』
鼻先を撫でて褒めて上げると自慢げに首を持ち上げ、足を踏み鳴らして鳴き声を上げる。
結構な重量があるのか足もとがぐらつく位の強さだ。
「それで、どうやって乗るの?」
「首の付け根にに鐙をつけて跨ぐか、背面に座席をつけて座るといったやり方もあります」
「背面に座席かぁ・・・それがいいかもね」
大きな体、全長だけなら変身したルーンちゃんに匹敵するのではという大きさの彼は首の太さも太く、私が跨ぐのはちょっと辛そう。背中はそれに比べて広く、鎧の上であるため人が数人乗っても大丈夫なくらいの大きさだから乗りやすい。試しに飛び上がって背中の上に立ってみると足場のようになっている所があって存外のりやすい。
「これなら席がなくてもいいかもね、彼が私の指示に従ってくれるならだけど」
『クルル!』
「お、いいの?」
言葉はわからないが師匠の教え・・・というより龍人としての種族としての性質なのだろうか、彼の言葉がなんとなく解る。彼は私の言うことを聞いてくれると言っているようだ。
「解るのですか?」
「なんとなくね、ところで彼の名前は?」
「主もまだ無く、軍功を上げておりませんので名前はありません。ですが今回の事を考えればスカサハ様がお付けになってもよろしいのでは?」
『クルル!グオッ!』
是非!と言わんばかりに声をあげ、擦り寄ってくる。かわいい。
なので私は彼の名前を考えることにする。
1
あなたにおすすめの小説
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました!
【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】
皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました!
本当に、本当にありがとうございます!
皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。
市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です!
【作品紹介】
欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。
だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。
彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。
【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc.
その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。
欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。
気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる!
【書誌情報】
タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』
著者: よっしぃ
イラスト: 市丸きすけ 先生
出版社: アルファポリス
ご購入はこちらから:
Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/
楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/
【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得
アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞
第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過
復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞
ファミ通文庫大賞 一次選考通過
処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ
シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。
だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。
かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。
だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。
「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。
国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。
そして、勇者は 死んだ。
──はずだった。
十年後。
王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。
しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。
「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」
これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。
彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。
異世界転生旅日記〜生活魔法は無限大!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
農家の四男に転生したルイ。
そんなルイは、五歳の高熱を出した闘病中に、前世の記憶を思い出し、ステータスを見れることに気付き、自分の能力を自覚した。
農家の四男には未来はないと、家族に隠れて金策を開始する。
十歳の時に行われたスキル鑑定の儀で、スキル【生活魔法 Lv.∞】と【鑑定 Lv.3】を授かったが、親父に「家の役には立たない」と、家を追い出される。
家を追い出されるきっかけとなった【生活魔法】だが、転生あるある?の思わぬ展開を迎えることになる。
ルイの安寧の地を求めた旅が、今始まる!
見切り発車。不定期更新。
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。
もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。
異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。
ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。
残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、
同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、
追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、
清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
底辺から始まった俺の異世界冒険物語!
ちかっぱ雪比呂
ファンタジー
40歳の真島光流(ましまみつる)は、ある日突然、他数人とともに異世界に召喚された。
しかし、彼自身は勇者召喚に巻き込まれた一般人にすぎず、ステータスも低かったため、利用価値がないと判断され、追放されてしまう。
おまけに、道を歩いているとチンピラに身ぐるみを剥がされる始末。いきなり異世界で路頭に迷う彼だったが、路上生活をしているらしき男、シオンと出会ったことで、少しだけ道が開けた。
漁れる残飯、眠れる舗道、そして裏ギルドで受けられる雑用仕事など――生きていく方法を、教えてくれたのだ。
この世界では『ミーツ』と名乗ることにし、安い賃金ながらも洗濯などの雑用をこなしていくうちに、金が貯まり余裕も生まれてきた。その頃、ミーツは気付く。自分の使っている魔法が、非常識なほどチートなことに――
ひっそり静かに生きていきたい 神様に同情されて異世界へ。頼みの綱はアイテムボックス
於田縫紀
ファンタジー
雨宿りで立ち寄った神社の神様に境遇を同情され、私は異世界へと転移。
場所は山の中で周囲に村等の気配はない。あるのは木と草と崖、土と空気だけ。でもこれでいい。私は他人が怖いから。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる