異世界でドラゴニュートになってのんびり異世界満喫する!

ファウスト

文字の大きさ
48 / 98
ガルデンヘイム王国王都で

嫌なやつ~

しおりを挟む
近衛騎士隊の騎士さん達は悪戦苦闘しつつも練習を続けていたが青い騎士さん達が修練場に入ってきた事に気付くと嫌そうな顔をしている。

「仲があんまり良くなさそうだね」
「彼らは今回のパレードで近衛騎士隊ではなく自分達が華やかなパレードの主役を飾るのに相応しいのではと考えているのですよ」
「貴族とか、名家の血筋だから?」
「まぁそんなところですな、もっとも練度では話しになりませんがな」

そう言うとオジさんも鼻息を荒くして答える。どうやらオジさんもあんまり彼らの事は好きじゃないようだ。

「馬に乗るのに随分と苦労しているらしいな」
「平民は馬になど乗りませんからね」

視線を戻してなるだけ関わらないようにしようかなーと考えていると青い騎士さん達がわざわざ此方にやって来た。随分と嫌味たっぷりな物言いに近衛騎士隊はむっとした顔になりつつも馬の制御に専念しているようだ。

「おや、あなたたちはだれ?」
「ん~?・・・おや、これはこの様な場所にそぐわない方がいらっしゃいますね」

あえて知らない振りをして話しかけると青い騎士さんが此方を向いた。一瞬凄くウザそうな顔をしていたが私の顔を見るなり笑顔で礼してきた。うへ、なにコイツ。

「私はクロンスタット騎士団所属、百人長のグラハム・ロンベル伯爵です。お見知りおきを」
「ロンベル伯爵ね、私の名はスカサハ。故あって殿下の配下として王宮に参上しています」

爵位が如何こうの当たりに自信があるのか結構強調されたが私にとってはどうでもいいことだ。
そもそも彼がどれくらいの影響力を持っているかもしらないし。めんどくさい。

「ところで・・・彼らは随分と馬を駆るのに苦労されているが、こんな事でパレードの主役が務まるのでしょうかね?」
「そうだね・・・」

今のままだと結構厳しいかもしれない。パレードまではもうそんなに日数はないとかなんとか聞いた気がするし。ただだからといってクロンスタット騎士団の人には関係ないと思うけど。

「スカサハ嬢、貴女もパレードに参加されるのですか?」
「ええ、殿下の前を歩かせていただきますよ騎乗して前を歩くなどというのは初体験でして」
「・・・それはすばらしい」

ちょっと驚いた様子を見せたが直ぐに平静を装ってロンベル伯爵は直ぐに私に賛辞を贈る。しかしその表情には納得いかないといった不満がありありと見える。まぁ、成り上がり者が増えたんだから当然かな。

「それより、私としては一つクロンスタット騎士団のお手前を拝見したいですね」
「我等の騎乗をですか」
「ええ、先達を見て真似るのは古来より練達の上で欠かせないものですから」

とりあえずバカにしたような彼らの鼻を明かしたいのでこのロンベル伯爵に犠牲になってもらおう。

「とりあえず誰か彼に馬を」

そう言うと騎士さんの一人が降りて馬を引いて来てくれた。私の傍に来るなりビビリまくりだが私はあえてお馬さんと目を合わせないようにしておいてあげる。

「それでは伯爵、お手並みをお願いします」
「いいでしょう」

結構自信満々の伯爵、馬術は貴族の嗜みとかなんとか聞いた気がするしバカにしておいて自分は乗れませんなんてことは無いだろう。ただその自信は私がこれから打ち砕くわけなんだけども。

「それっ・・・どうでしょう、うわっ!」

飛び乗った瞬間に私はお馬さんとまっすぐ目を合わせる。するとお馬さんは途端に動揺して暴れ始める。自分でやっといてあれだけどかなり傷つくね。

「ぐっ・・・そんなはずは!」
「あれ、大丈夫かな?」
「くっ・・・バカな、うわっ!!」

私が近づくとそれにしたがってお馬さんの暴れ方が酷くなる。そしてついには振り落とされてしまった。

「ぐ・・・」
「伯爵!」
「大丈夫?」

お仲間さんが駆けつけてくれるが私は遠巻きに声を掛けておくだけに留める。早いトコこれに懲りて離れていってくれると助かるんだけどな。っていうか自信のわりにたいしたこと無かったね。
なんだかんだいって近衛隊の騎士さんは私が傍に寄ってもお馬さんから振り落とされるなんてこと無かったし。

「とりあえず怪我の治療をしに行った方がよくない?」
「う・・・うぅ」
「くそ、覚えておれ!」

私が治癒魔法を使えることは知っているかもしれないがあえて言わないでおく。だって治してくれとか言われたら面倒だし。そしてクロンスタット騎士団の騎士達は結局何しに来たのか良くわからないまま去っていってしまった。

「さすが龍巫女様だ!」
「あのいけ好かないロンベルをやっつけるなんて!」

クロンスタット騎士団が帰った後、なんとか馬を落ち着けることに成功した近衛隊の騎士さんから賞賛を浴びた。

「ふふふ、高慢な奴らの鼻柱もこれで少しは低くなるでしょうな」

オジさんも怒るどころか笑顔でそう言う辺り彼らの溝の深さを感じさせる。まあ、あんな人が大多数なら私も願い下げだけどね。

「さ、お邪魔虫は居なくなったんだからささっと済ませてね!」
「「「「「応っ!」」」」」

邪魔が居なくなったので私達はその後も日が暮れるまで騎乗訓練を続けるのだった。
しおりを挟む
感想 107

あなたにおすすめの小説

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ

シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。  だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。 かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。 だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。 「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。 国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。 そして、勇者は 死んだ。 ──はずだった。 十年後。 王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。 しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。 「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」 これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。 彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。

異世界転生旅日記〜生活魔法は無限大!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
 農家の四男に転生したルイ。   そんなルイは、五歳の高熱を出した闘病中に、前世の記憶を思い出し、ステータスを見れることに気付き、自分の能力を自覚した。  農家の四男には未来はないと、家族に隠れて金策を開始する。  十歳の時に行われたスキル鑑定の儀で、スキル【生活魔法 Lv.∞】と【鑑定 Lv.3】を授かったが、親父に「家の役には立たない」と、家を追い出される。   家を追い出されるきっかけとなった【生活魔法】だが、転生あるある?の思わぬ展開を迎えることになる。   ルイの安寧の地を求めた旅が、今始まる! 見切り発車。不定期更新。 カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。

もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。 異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。 ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。 残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、 同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、 追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、 清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

底辺から始まった俺の異世界冒険物語!

ちかっぱ雪比呂
ファンタジー
 40歳の真島光流(ましまみつる)は、ある日突然、他数人とともに異世界に召喚された。  しかし、彼自身は勇者召喚に巻き込まれた一般人にすぎず、ステータスも低かったため、利用価値がないと判断され、追放されてしまう。  おまけに、道を歩いているとチンピラに身ぐるみを剥がされる始末。いきなり異世界で路頭に迷う彼だったが、路上生活をしているらしき男、シオンと出会ったことで、少しだけ道が開けた。  漁れる残飯、眠れる舗道、そして裏ギルドで受けられる雑用仕事など――生きていく方法を、教えてくれたのだ。  この世界では『ミーツ』と名乗ることにし、安い賃金ながらも洗濯などの雑用をこなしていくうちに、金が貯まり余裕も生まれてきた。その頃、ミーツは気付く。自分の使っている魔法が、非常識なほどチートなことに――

ひっそり静かに生きていきたい 神様に同情されて異世界へ。頼みの綱はアイテムボックス

於田縫紀
ファンタジー
 雨宿りで立ち寄った神社の神様に境遇を同情され、私は異世界へと転移。  場所は山の中で周囲に村等の気配はない。あるのは木と草と崖、土と空気だけ。でもこれでいい。私は他人が怖いから。

処理中です...