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アイゼンヘイムへ
北の国、アイゼンヘイム
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「その昔・・・アイゼンへイムと我が祖国ガルデンヘイムは永らく同盟関係にあった。今でこそアイゼンへイムは武力に優れ、豊富な鉱物資源を活かした質の高い武器や金属器の生産を行っているが当時のアイゼンヘイムは兵力が微弱でな・・・」
なんでもアイゼンへイムは開拓の指揮を執った高名な冒険者が起こした国であったらしく、兵士とか騎士とかそういった組織だったものは皆無に等しく自警団レベルでしかなかったが産業が活発化するに至って近隣諸国からの侵攻と略奪の対象となるのは時間の問題であった。その為各国に頭を下げて当時の代表者がお願いしたが周辺諸国の対応は冷たく、服従か滅亡の二択を迫ったのだ。
「そんな時に立ち上がったのが曽祖父たる三代前の国王、そしてその子であり当時から常勝の騎士として知られていたまだ年若い頃の祖母様だった」
最初に身軽なエーリカが国に一番乗りし、手勢を駆ってアイゼンへイムへと攻め上る北方の国を撃退し、周囲を威圧した。その際の兵力差は十倍に近く、その際から彼女の武力と言うのは化け物染みていたようだ。そして武鍛の王と名高い彼女の父が騎士団の編成を命じ、彼女がそれを実行したのだ。数年に至る戦いと鍛錬の結果精強な騎士と高品質な武装を装備する騎士団が誕生し、国軍として国境と国内の防備に務めるようになるとその頃にはアイゼンへイムは一人前の独立国としてガルデンヘイムの庇護の下、ついに皇帝が誕生した。
「つまり、ガルデンヘイムの戦乙女はアイゼンへイムにとって救国の英雄なんだ」
「そう、そして我が曽祖父こそがアイゼンへイムが誇る最大の騎士団『ローゼンリッター』の父であるわけだ」
ローゼンリッター、バラの騎士とは随分と気障な名前だがこれにもちゃんと由来がある。
それはエーリカがアイゼンへイムの国境で戦っているときの事であった。その当時、わずかな手勢で大立ち回りをしていた彼女とその部下達は度重なる戦闘による疲労から窮地に立たされた。
都市部のある美しいバラの庭園で敵方に囲まれてしまい、火をかけられたのだ。
その時にエーリカは見事な庭園が部下共々焼け落ちるのは忍びないと降伏を決意し、自らの身に残るありったけの魔力を使って豪雨と見紛う程の水を呼び起こして火を消し止めた。
その際に彼女はもはや抵抗もままならなくなり、踏み込んだ敵兵の剣にかかるかと思われたときだった。バラの紋章を背負った騎士が颯爽と現れ、仲間らしき人物を引き連れて助勢に来たのだ。敵方は突然の来襲に動揺し、罠にかけられたかと慌てて退散していった。
「助勢感謝する・・・高名な騎士とお見受けするが・・・」
「なに、恩を返したまでの事」
尋ねるエーリカに騎士達は笑顔でそう答えるとその身をそのままバラに変えてしまったという。
エーリカを救ったのはほかならぬ庭園のバラだったのだ。
御伽噺として語り継がれるその出来事は演劇にもなっているらしくアイゼンへイムでは『バラの騎士が来た』というのは窮地を救う人物や出来事が起こった事のことわざにもなっているほどだ。
「へえ、良い話だね」
「そうであろう、ワシも祖母様から聞いた時は心躍ったものよ」
ローゼンリッターは解り易くいうと国防軍なのだそうだ。騎士団では広く門扉をひらいており、ガルデンヘイムほど歴史が無い事からしがらみも少ないのだろう。
「大事な貿易相手でもあるし、義理もある・・・が困ったのう」
「そういえば話が脱線してたかな、私に関係ある事って?」
「アイゼンへイムに行ってもらわんといけなくなった」
「随分と唐突な話だね」
そう言うとお父さんが差し出したのは一通の手紙だった。羊皮紙に綴られた内容によると・・・。
「つまり、先代国王が『もしもまた『ガルデンヘイムの戦乙女』生まれたらアイゼンヘイムに派遣しますって事?」
「そうだ、普通ならありえん話だが先代はそれに国を代表した署名で契約術を執り行っていた・・・そしてさらにありえん話だが祖母様の再来が現れた」
頭をガリガリと掻いて忌々しそうな表情を浮かべるお父さん。私に要らぬ仕事を押し付けてしまうという罪悪感と無力感を感じているのだろう。個人的な契約ならともかく『先代』が着くとはいえ国王として交わした契約だ。破るとどうなるか解らない。
「祖母様は生前から皇后としてはもちろんこの国の将軍としての地位を永久的に保障されておるからアイゼンヘイムでも客将として遇されるだろう、待遇は将軍クラスだろうて」
「うーん、正直雨風さえ凌げれば掘っ立て小屋でもいいんだけどな」
「まかり間違っても向こうでそんな事は言わんでくれよ。謙虚はいい事だがお前さんクラスがそう言う事言うと相手の好意を踏み躙りかねんぞ」
まあそうか、王宮でのおもてなしを受けるんだろうけど断ったらそれ即ち『王宮の持て成し』<『掘っ立て小屋での暮らし』になっちゃうんだろうし。さすがにそれは失礼だね。
なんでもアイゼンへイムは開拓の指揮を執った高名な冒険者が起こした国であったらしく、兵士とか騎士とかそういった組織だったものは皆無に等しく自警団レベルでしかなかったが産業が活発化するに至って近隣諸国からの侵攻と略奪の対象となるのは時間の問題であった。その為各国に頭を下げて当時の代表者がお願いしたが周辺諸国の対応は冷たく、服従か滅亡の二択を迫ったのだ。
「そんな時に立ち上がったのが曽祖父たる三代前の国王、そしてその子であり当時から常勝の騎士として知られていたまだ年若い頃の祖母様だった」
最初に身軽なエーリカが国に一番乗りし、手勢を駆ってアイゼンへイムへと攻め上る北方の国を撃退し、周囲を威圧した。その際の兵力差は十倍に近く、その際から彼女の武力と言うのは化け物染みていたようだ。そして武鍛の王と名高い彼女の父が騎士団の編成を命じ、彼女がそれを実行したのだ。数年に至る戦いと鍛錬の結果精強な騎士と高品質な武装を装備する騎士団が誕生し、国軍として国境と国内の防備に務めるようになるとその頃にはアイゼンへイムは一人前の独立国としてガルデンヘイムの庇護の下、ついに皇帝が誕生した。
「つまり、ガルデンヘイムの戦乙女はアイゼンへイムにとって救国の英雄なんだ」
「そう、そして我が曽祖父こそがアイゼンへイムが誇る最大の騎士団『ローゼンリッター』の父であるわけだ」
ローゼンリッター、バラの騎士とは随分と気障な名前だがこれにもちゃんと由来がある。
それはエーリカがアイゼンへイムの国境で戦っているときの事であった。その当時、わずかな手勢で大立ち回りをしていた彼女とその部下達は度重なる戦闘による疲労から窮地に立たされた。
都市部のある美しいバラの庭園で敵方に囲まれてしまい、火をかけられたのだ。
その時にエーリカは見事な庭園が部下共々焼け落ちるのは忍びないと降伏を決意し、自らの身に残るありったけの魔力を使って豪雨と見紛う程の水を呼び起こして火を消し止めた。
その際に彼女はもはや抵抗もままならなくなり、踏み込んだ敵兵の剣にかかるかと思われたときだった。バラの紋章を背負った騎士が颯爽と現れ、仲間らしき人物を引き連れて助勢に来たのだ。敵方は突然の来襲に動揺し、罠にかけられたかと慌てて退散していった。
「助勢感謝する・・・高名な騎士とお見受けするが・・・」
「なに、恩を返したまでの事」
尋ねるエーリカに騎士達は笑顔でそう答えるとその身をそのままバラに変えてしまったという。
エーリカを救ったのはほかならぬ庭園のバラだったのだ。
御伽噺として語り継がれるその出来事は演劇にもなっているらしくアイゼンへイムでは『バラの騎士が来た』というのは窮地を救う人物や出来事が起こった事のことわざにもなっているほどだ。
「へえ、良い話だね」
「そうであろう、ワシも祖母様から聞いた時は心躍ったものよ」
ローゼンリッターは解り易くいうと国防軍なのだそうだ。騎士団では広く門扉をひらいており、ガルデンヘイムほど歴史が無い事からしがらみも少ないのだろう。
「大事な貿易相手でもあるし、義理もある・・・が困ったのう」
「そういえば話が脱線してたかな、私に関係ある事って?」
「アイゼンへイムに行ってもらわんといけなくなった」
「随分と唐突な話だね」
そう言うとお父さんが差し出したのは一通の手紙だった。羊皮紙に綴られた内容によると・・・。
「つまり、先代国王が『もしもまた『ガルデンヘイムの戦乙女』生まれたらアイゼンヘイムに派遣しますって事?」
「そうだ、普通ならありえん話だが先代はそれに国を代表した署名で契約術を執り行っていた・・・そしてさらにありえん話だが祖母様の再来が現れた」
頭をガリガリと掻いて忌々しそうな表情を浮かべるお父さん。私に要らぬ仕事を押し付けてしまうという罪悪感と無力感を感じているのだろう。個人的な契約ならともかく『先代』が着くとはいえ国王として交わした契約だ。破るとどうなるか解らない。
「祖母様は生前から皇后としてはもちろんこの国の将軍としての地位を永久的に保障されておるからアイゼンヘイムでも客将として遇されるだろう、待遇は将軍クラスだろうて」
「うーん、正直雨風さえ凌げれば掘っ立て小屋でもいいんだけどな」
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