異世界でドラゴニュートになってのんびり異世界満喫する!

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アイゼンヘイムへ

地龍様!はしゃぐ!

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階段を登っていくとようやく地龍様に追いつく事が出来た。シシリアも後ろからついてきているが息も絶え絶えといった様子だ。

「地龍様、何故それほどに急がれるのです?」
「この国を荒らさせる訳にはいかぬのだ、旧友との約定も在る故に」
「旧友?」

私がそう尋ねると地龍様ははにかんだ様子で答える。

「この国の開祖だ、かの者と約束した。血脈が続く限りこの国を存続させるとな」
「なるほど」
「それにこの国は良い国だ、働く者は活気に満ち、希望を持っている。皇帝は時折愚鈍な者も出るが皆が民草を慮って政を行うのだ。神と崇められる立場故に放っておけまい?」
「それは良いのですが、王宮など何処にあるかご存知なのですか?」

そう言うと地龍様は豪快に笑うと振り返って私の頭を乱暴になでる。ちょ、髪型が乱れる!

「この国が更地の時代から見守ってきたのだぞ、知らぬ場所などない!」
「そうでしたか、それではこれからアイゼンヘイムの王宮へと向かうので?」
「うむ、そうなるな」
「ちょ、ちょっと待ってください・・・!」

シシリアの必死な呼びかけに漸く地龍様の足が止まる。正直しんどかったのでありがたい。
しかしその表情は嫌々といった様子である。

「なんだ、シシーリア、旦那の危機なのだぞ?時間が惜しいのだが?」
「まさにその事について聞きたいのです!夫は・・・私の子は無事なのですか?!」
「子は無事だが・・・夫の方は厳しいな。義理の母も命の危機に瀕している・・・貴様の弟が身に余る野望を抱いたが為にな」
「そ、そんな・・・わ、私はそうならない為に夫と・・・あの子とすら別れて国を出たというのに・・・」

双眸に涙を湛えながら彼女はそう零した。最愛の夫と子と別れてまで平穏を願ったというのにその行為は全てが無駄になってしまったようだ。

「この際、教会を抜けて還俗せい。わが子は我が手で守り育てるのだ、それが一番ぞ」
「・・・そう、します・・・」
「なに、幸い三人の命は尽きてはおらぬ。急げば間に合うだろうよ」

そう言うと地龍様はシシリアの体を抱き上げると私の額に触れる。

「王宮へと直行だ、遅れるでないぞ」
『了解しました』

有無を言わさず龍の姿へと変身させられたが文句を言っている場合ではない。アイゼンヘイムに一時も早い安寧をもたらし、主様に休息を取っていただきたい。そのためには彼女を一刻も早く王宮へと連れて行き、皇帝を癒す必要があるだろう。

「る、ルーン様が、りゅ・・・龍に?!」
『詳しい話は後!旦那様が待っていますよ!』
「は、はい!」

私の背に荷物のように乱暴に乗せられて混乱する彼女を宥め、私は地龍様を乗せて飛び立つ。
目指すは首都に位置するアイゼンヘイムの王宮である。

「さて、これより一目散に突貫する、邪魔立てする者は蹴散らせ!もっとも、空を飛べる者が居ればの話だがな!」

地龍様は嬉しそうに私の背で仁王立ちし、高らかに叫ぶ。随分とご機嫌な様子だが・・・、何故そうなのかは凡そ見当がつくのであえて考えない事にする。

「再び何者かの体に宿り偉業を為す・・・これほどの愉悦はあるまい・・・それも宿りし体が姫君とあればな、滾る!滾るぞ!フゥーハハハハ!」

っていうかそもそも考えるまでも無く思考が駄々漏れだった。五龍様は全員こんな感じなのだろうか。知りたくなかった・・・知りたくなかった!こんなのが世界の理を司っているなんて!

『地龍様、主様に尋ねられたら私はそれに真摯に答えねばなりません。迂闊な事を仰りませんようお願いいたします』
「む、それもそうか。さりとて姫君の偉業を讃える者が津波のように押し寄せる様を思い描くだけで私は・・・」
『地龍様、重ねて申し上げますが・・・はっきり言って今貴方の態度は威厳が損なわれ、尊敬に値しません。主様のお気持ちを裏切るような真似はどうか、どうかお控えください』
「そんなに今の私は大人気ないか?」
『はっきり申し上げましてそのとおりです。主様の苦笑いが目に浮かびますのでお控えください』
「そ・・・そうか・・・」

釘をしこたま刺し込んだのでとりあえずは大人しくしてくれるだろうか。主様の安寧の為にも私は世界の理にすら立ち向かうのだ。

「と、とりあえず常識的に行こうか・・・」
『そうです、それが一番です』

若干ブルーだがほっとこう、気持ちがわからないわけでも無いし。私にとってはもちろん、彼らにとっても彼女も待ち人であるのだから。それが分かるからこそ主様と五龍様には仲良く、互いに尊敬し合っていて欲しい。しかし、地龍様の言う事も一部でもっともだ。主様は平穏を望まれるが主様はあの国一つで収まる器ではない。世界にそれを示したいとは私も思う。
そのためにはこの国の動乱を主様の手によって治める事が最善だろう。善をなし、功徳を積み上げれば自然と主様の威光は五龍様の輝きを受けて世界に遍く轟くだろう。

『地龍様のお気持ちも分からないではないのだ・・・』
「何か言ったか?」
『いえ、何も』

王宮はもう目と鼻の先だな。そろそろ集中しよう。
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