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ドラゴンと独立宣言の章
部隊編成についてのあれこれ
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ちょっと名残惜しいが香水については脇に置いておいて部隊編成に戻る。
「警察隊の中から能力のある者と警察学校の開設を完了させたいな。軍からの出向にしてもいいがやはり専門化する方が効率的だろうし」
今のところ軍と警察は扶桑で人気の職業だ。農地には限りがあるし、工場も今は人手が足りている。
貧乏人や農家の次男坊でも衣食と勉学を学べる場所である軍学校は彼らの最後の受け皿だからだ。頭はともかく体が強靭なら入れる軍学校は獣人にとって天職ともいえる。
「わかりました、責任者にそう伝えておきます」
タケクラは歩兵連隊の精鋭『黒狼隊』のリーダー。そして警察隊にはニーミツを長官に据えて対応させている。ザンナル跡地にも必要なので本来ならザンナル出身の獣人達にやらせたかったが彼らの感情としてよろしくないという報告が出たのでザンナルの獣人達には扶桑の首都であるフィゼラー大森林内で働いてもらう事にしている。
「いくら解放されたとはいえ彼らも奴隷でしたからね」
総じてザンナル出身の獣人達は故郷の人族に対して良い感情をもっていない。農村部出身者はそうでもないが都市部の獣人は肩身の狭い想いをしていた為か非常に人族に対して嫌悪を感じているようだ。
農村部では獣人は労働力であるだけでなく獣人故の能力で多岐に渡る能力をもっていた為人気があり、飢饉の際に助け合って生きていた事もあって連帯感があるようだ。しかしながらそういった獣人達は農村部に残って農地開発に戻ってしまった為軍や警察には来ないのだ。
次男坊や食い詰め者があればとも思ったがザンナルは農地が余っている状況で顔見知りの農民達が挙って彼らに農地を譲ってしまい、人手が足りていない状況だ。屯田兵達が出動して農地を渡り歩いているので扶桑寄りの農地に漸く人手が足り始めた状態で困っている。
医療も心配だが狐人族の中から物分りの良いやつを選んで講師に招いたり、聞き出した薬の作り方を教科書にして普及させるように努めているので警察や軍を中心に簡単な医療行為を行えるようにしている。
傷口を消毒したり、生水に気をつけるなどを教えるだけでも大分と違うものだ。
「サマルに行く連中にはザンナル出身者を採用するのは難しいか」
「いえ、サマルとリットリオは大丈夫だとおもいますよ」
俺の呟きに書類をまとめていたアウロラが答える。
「なぜだ?」
「何故って、旦那様がどの国の出身かお忘れですか?」
「なに・・・あ、そうか」
自分達を奴隷から解放した国王の出身国ともなれば悪い感情は湧き難いか。
「それに貿易の人足に駆り出されていた獣人達は奴隷制度を禁止しているサマルに好印象でしたし、リットリオはザンナルの敵でしたから」
リットリオは大義名分に奴隷制度の廃止を訴えて戦争を起こした事もあるそうだ。まあ、死刑レベルの犯罪が他国とは言え公然とまかり通っている訳だから自分達のアイデンティティー的に許せなかったのだろう。サマルもそうだ。亜人が全体的に受け入れられていないのは単純に知らないだけで差別的な意思は無い。
「最近ではリットリオとサマルの両方から移住の受け入れが打診されておりますよ」
「難民としてか?」
「そうですね、此方のご機嫌伺いという側面もあるのでしょうが労働力としても戦力としても十二分に使えますし、皆此方で読み書きを終えてますので教育水準の高さもあるようです」
獣人達は基本的に肉体的に強靭で犬型は規律に従順で牛型は力が強く温和。猫型は気侭だがすばしっこく頭が切れる。鳥型は数が少ないが鳥型ゆえに空を飛ぶ事が出来、和を重んじる。中にはプライドの高い者もいるが仕事に関しても完璧主義なので悪いところばかりではない。
ちょっと苦労したが狼人族や狐人族の協力で読み書きを覚えさせているので読み書き専門の私塾に近い物も開設されているし奨励もしている。なので今となっては簡単な読み書きを教える獣人達も居るくらいだ。
「時折技術の漏洩を狙っている者も居るようですが・・・」
「そう言う奴がいたら即座にお帰り願え、権威を振りかざすようなら潰せ」
「方法はいかがしましょうか?」
「サマルなら国王陛下に密告しろ、リットリオなら孤児院の伝を使ってそんな奴は干せ。技術はこの国の宝であり生命線だ。その代わり利益を独占するような真似はするなよ、揉め事の元だ」
サマルにもリットリオにもそのため多額の金銭や物を運んでいる。その為表立って反抗してくる奴は居ないと思いたいがその分商人達が利益をむさぼってる感じも否めないが・・・。
どちらにも好かれるというのは無理だから俺は俺の仲間が儲かるように考え、できることならその仲間が増えるように行動していけばいいのだ。
「警察隊の中から能力のある者と警察学校の開設を完了させたいな。軍からの出向にしてもいいがやはり専門化する方が効率的だろうし」
今のところ軍と警察は扶桑で人気の職業だ。農地には限りがあるし、工場も今は人手が足りている。
貧乏人や農家の次男坊でも衣食と勉学を学べる場所である軍学校は彼らの最後の受け皿だからだ。頭はともかく体が強靭なら入れる軍学校は獣人にとって天職ともいえる。
「わかりました、責任者にそう伝えておきます」
タケクラは歩兵連隊の精鋭『黒狼隊』のリーダー。そして警察隊にはニーミツを長官に据えて対応させている。ザンナル跡地にも必要なので本来ならザンナル出身の獣人達にやらせたかったが彼らの感情としてよろしくないという報告が出たのでザンナルの獣人達には扶桑の首都であるフィゼラー大森林内で働いてもらう事にしている。
「いくら解放されたとはいえ彼らも奴隷でしたからね」
総じてザンナル出身の獣人達は故郷の人族に対して良い感情をもっていない。農村部出身者はそうでもないが都市部の獣人は肩身の狭い想いをしていた為か非常に人族に対して嫌悪を感じているようだ。
農村部では獣人は労働力であるだけでなく獣人故の能力で多岐に渡る能力をもっていた為人気があり、飢饉の際に助け合って生きていた事もあって連帯感があるようだ。しかしながらそういった獣人達は農村部に残って農地開発に戻ってしまった為軍や警察には来ないのだ。
次男坊や食い詰め者があればとも思ったがザンナルは農地が余っている状況で顔見知りの農民達が挙って彼らに農地を譲ってしまい、人手が足りていない状況だ。屯田兵達が出動して農地を渡り歩いているので扶桑寄りの農地に漸く人手が足り始めた状態で困っている。
医療も心配だが狐人族の中から物分りの良いやつを選んで講師に招いたり、聞き出した薬の作り方を教科書にして普及させるように努めているので警察や軍を中心に簡単な医療行為を行えるようにしている。
傷口を消毒したり、生水に気をつけるなどを教えるだけでも大分と違うものだ。
「サマルに行く連中にはザンナル出身者を採用するのは難しいか」
「いえ、サマルとリットリオは大丈夫だとおもいますよ」
俺の呟きに書類をまとめていたアウロラが答える。
「なぜだ?」
「何故って、旦那様がどの国の出身かお忘れですか?」
「なに・・・あ、そうか」
自分達を奴隷から解放した国王の出身国ともなれば悪い感情は湧き難いか。
「それに貿易の人足に駆り出されていた獣人達は奴隷制度を禁止しているサマルに好印象でしたし、リットリオはザンナルの敵でしたから」
リットリオは大義名分に奴隷制度の廃止を訴えて戦争を起こした事もあるそうだ。まあ、死刑レベルの犯罪が他国とは言え公然とまかり通っている訳だから自分達のアイデンティティー的に許せなかったのだろう。サマルもそうだ。亜人が全体的に受け入れられていないのは単純に知らないだけで差別的な意思は無い。
「最近ではリットリオとサマルの両方から移住の受け入れが打診されておりますよ」
「難民としてか?」
「そうですね、此方のご機嫌伺いという側面もあるのでしょうが労働力としても戦力としても十二分に使えますし、皆此方で読み書きを終えてますので教育水準の高さもあるようです」
獣人達は基本的に肉体的に強靭で犬型は規律に従順で牛型は力が強く温和。猫型は気侭だがすばしっこく頭が切れる。鳥型は数が少ないが鳥型ゆえに空を飛ぶ事が出来、和を重んじる。中にはプライドの高い者もいるが仕事に関しても完璧主義なので悪いところばかりではない。
ちょっと苦労したが狼人族や狐人族の協力で読み書きを覚えさせているので読み書き専門の私塾に近い物も開設されているし奨励もしている。なので今となっては簡単な読み書きを教える獣人達も居るくらいだ。
「時折技術の漏洩を狙っている者も居るようですが・・・」
「そう言う奴がいたら即座にお帰り願え、権威を振りかざすようなら潰せ」
「方法はいかがしましょうか?」
「サマルなら国王陛下に密告しろ、リットリオなら孤児院の伝を使ってそんな奴は干せ。技術はこの国の宝であり生命線だ。その代わり利益を独占するような真似はするなよ、揉め事の元だ」
サマルにもリットリオにもそのため多額の金銭や物を運んでいる。その為表立って反抗してくる奴は居ないと思いたいがその分商人達が利益をむさぼってる感じも否めないが・・・。
どちらにも好かれるというのは無理だから俺は俺の仲間が儲かるように考え、できることならその仲間が増えるように行動していけばいいのだ。
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