超名門貴族の次男、魔法を授かれず追放される~辺境の地でスローライフを送ろうとしたら、可愛い妹達が追いかけて来た件~

おさない

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第38話 三姉妹、成敗される1

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 吸血鬼のベラ、スライムのエミル、サキュバスのリーンは、魔族の国を治めるフェルゼンシュタイン家に生まれた三姉妹である。

 しかし、三人揃って素行にかなり問題があり、フェルゼンシュタイン家の当主にとってはそれが悩みの種だった。

 今回も、パルフィーネ神殿で行われる神託の儀式のためにこの国へ招かれていたのにも関わらず、勝手に持ち場を抜け出し、歓楽の町ルルディで遊び呆けていたのである。

 ルルディから町娘が姿を消し始めたのは、ほぼ同時期のことだ。

 この町に居た娘のほとんどが、現在はルルディにあるフェルゼンシュタイン家の別荘へと連れ込まれ、日夜三姉妹に美味しくいただかれている。

 挙げ句の果てに、三姉妹の護衛兼を任されていたオークの特別部隊は、皆彼女達に魅了されて操られてしまい、もはや三姉妹を止めることのできる存在はいなくなってしまった。

 ルルディは、魔族三姉妹が秘密裏に支配する町へと成り果てていたのである。

 メイベル達は、そこへまんまと誘い込まれてしまったのだ。

 *

「あんっ、いやっ、だめっ!」
「うふふふふ……!」

 女吸血鬼――ベラは相変わらず、メイベルのことを弄んで愉しんでいた。

「ここがいいのぉ? それともここかしらぁ? かぷっ」
「きゃんっ!」

 ――その時、何者かに背中を叩かれる。

「なによぉ? いまイイとこ――」
「……おはよう」
「ろ…………」

 そこに立っていたのは、ソフィアだった。

「え…………?」

 そこで漸《ようや》く、ベラは体を縛られているのが自分であることに気付く。

「ぶひぃん…………っ!」

 しかも、先程までメイベルだと思って噛みついていた存在が、オークへと姿を変えていた。

「えっ? えっ?!」

 わけがわからず困惑するベラ。

「ふ、ふひひ………………ぺろぺろしてあげますからねぇ……」
「これから、もっとすごいキスを……するのですから…………」

 彼女の両脇には、幸せそうな表情のまま身体のほとんどを氷漬けにされた女型スライム――エミルと、恍惚とした表情で縛られているサキュバス――リーンが転がっていた。

「……………………ッ!」
「……目は……覚めた?」

 ベラの顔を覗き込みながらそう問いかけるソフィア。

 刹那、寝室の壁に亀裂が走り、空間が音を立てて崩れ落ち始めた。

「な、なによぉ……なんなのこれぇ……!」

 ベラにかかっていた魔法が解け、もと居た酒場(女子《おなご》の狩り場)へと戻ってくる。

「……幻《まぼろし》」
「ま……まぼろしぃ?!」
「そう……幻惑魔法を使ったのはこれが初めてだから……食らった感想が聞きたい。……どんな幻を見たの? 教えて」

 ソフィアは、未だに状況が飲み込めていないベラに詰め寄った。

「随分と楽しそうだった……一体何を見ていたの……? 魔法が解けた後でもちゃんと覚えてる? 感触はどんな感じ……? 自分にかけたらおにーさまの幻を見れるかしら……?」

 ベラの頬を冷や汗が伝う。

 ――コイツはヤバい。自分達はとんでもない小娘に手を出してしまったのだ。

 そう気付いても、もう遅い。

「ふふ、ふふふふっ!」
「何がおかしいの……笑わないで……」
「なるほど……女のコをいただいてたつもりが、一杯食わされてた……ということかしらぁ?」
「意味が分からない……質問に答えて……」
「さあ、どうしましょうかねぇ……」

 ベラは適当にはぐらかしながら、この状況を打開する方法を考える。

「そ、そうだ! オークちゃん達っ! このコを縛り上げてちょうだいっ!」

 そして、咄嗟《とっさ》にそう叫んだ。

 すると、ソフィアの背後にいた一際《ひときわ》巨大なオークが立ち上がり、接近してくる。

「……答えてくれないなんて……ひどい……」
「ブヒ…………申し訳ありませんソフィア様……メイベル様とエリー様が目覚めるのには、もうすこしもう少し時間がかかりそうですわ……」
「二人とも、私と違って頑丈だから……大丈夫。……気に病まないで……」
「ブヒぃ……なんとお優しい方なのでしょうか…………それに引き換え、ベラ様とくれば……」

 オークはベラのことを睨みつける。

「あ、あれぇ……もしかして……リーンの魅了魔法……解けちゃってるぅ……?」
「まさか同性まで魅了できるとは思っていませんでしたよ。あんなことまでされてしまって……これでは私《わたくし》どもも、ご当主様に顔向けできませんわ……ブヒぃ……」

 そう言って、顔を赤らめるオーク。

 ちなみに、オークの特別部隊は全員女性で構成されている。

「……さて、ベラ様」
「ななな、何かしらぁ、オークちゃん?」
「私の名前はドレースです。そう呼んでくださいと言いましたよね?」
「は、はい…………ドレース……ちゃん」
「ブヒ……異国の罪なき町娘を大勢誑《たぶら》かし、ヴァレイユ家のご息女様にまで手を出そうとした落とし前、どのように付けるおつもりですか? 場合によっては死罪ですよ?」
「あ、あわわわわ…………!」

 ベラの顔が、みるみるうちに青ざめていった。
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