超名門貴族の次男、魔法を授かれず追放される~辺境の地でスローライフを送ろうとしたら、可愛い妹達が追いかけて来た件~

おさない

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第54話 アニ、もみくちゃにされる

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 家出した妹達をどうにか説得して帰そうとしたけど、僕には無理だった。

「デルフォス兄さんは本当は僕なんかよりもずっと心優しい人だから、きっとみんなのことを心配してるはずだよ?」と言ったけど、「おにーさまは、おにーさまなのに、おにーさまを見る目がなさすぎるわ……! おにーさまにおにーさまを語る資格はない……! 反省して……!」とソフィアから怒られてしまった。

 ……思わず謝ってしまったけど、あれどういう意味だったんだろう?

 考えても仕方ないけど……。

 そんなこんなで、説得に失敗した僕は今、危機的状況にあった。

 ベッドの上に腰掛けた状態のまま、身動きが一切取れないのだ。

「ああ……おにーさまの懐かしい匂い……っすううううううう! ふーっ、ふーっ……はぁ、はぁ、はぁ……っすううううううう!」
「す、すごい音がするんだけど……何してるの
 ……?」
「おにーさまを補給《ほきゅー》しているわ……」
「ごめん、意味が分からない」

 僕の背中に抱きつき、顔を埋めて何かを吸っているソフィア。

 ちなみに、膝はエリーの枕にされている。

「えへへ……やっと会えたね、おにーちゃん! ふふふっ、えへへへへ……おにーちゃんの膝枕……大好きぃ……!」
「エリーも一回落ち着こう?」
「ねえ、おにーちゃん。また頭なでて! いいでしょ? えいっ!」

 エリーは、僕の左手を持ち上げて自分の頭の上に乗せた。

「……………………」

 これで終わりではない。

 反対側の右腕には、メイベルが抱きついているのだ。

「ぐすっ、ひっぐ、お兄ちゃん……おにいちゃぁん……っ!」
「僕はもうどこにも行かないから……そろそろ泣き止んでよメイベル……」
「だっでぇ……だっでぇっ、あいだがっだんだからぁ、うえええええんっ!」

 メイベルは、大泣きしながら頬擦りしてくる。

「…………?」

 何を言っているのかは聞き取れないけど、しばらく泣き止んでくれないであろうことは分かった。

「みんなごめんね……もういいよ、気の済むまで好きにして……」

 諦めた僕は、ため息をつきながら言う。

 メイベルもソフィアもエリーもみんなしっかりしてるし、もう少し自立してると思ってたんだけど……。

 ――まあ、今まで散々ニアの相手をさせられてきたから、こういう状況には慣れている。

 ニアが三人居ると思えば…………良くないな。ニア一人でも手を焼いているのに、更に三人も増えてしまったら僕の身がもたない。

「すー、はー、すー、はー……あぁ、おにーさまぁ……私……ずっとおにーさまのことを考えていたわ……!」
「おにーちゃんだーいすきっ! おにーちゃんおにーちゃんおにーちゃん! うふふふふっ!」
「お兄ちゃんっ! ぐす、えっぐ、うええええええんっ! お兄ぢゃあああああああんっ!」
「…………た、たすけてオリヴィア」

 僕はそう言ってオリヴィアの方を見た。実は先ほどから、オリヴィアは僕を探してこの部屋までたどり着いていたのである。

「だめです……尊すぎて……近づけませんっ!」
「どういうことなの……」
「まさか、アニ様がここまで慕われていただなんて……! 知っていれば、私がもっと早く……皆様をお屋敷から連れ出したのに……!」
「そんなことしたらオリヴィアが誘拐犯になっちゃうよ……」

 ――しかし、オリヴィアはずっとこんな調子だ。

「ぶひっ! ぶひっ! 生き別れた兄妹の感動の再会……美しすぎて……涙が止まりませんわあああああっ!」

 ちなみに、ドレースさんも居る。見ての通り救援は期待できない。

 ……でもきっと、みんながこんなに甘えてくるのは、寂しい思いをさせてしまったということの表れなのだろう。

 だから、僕はみんなが満足するまで一緒に居ようと思う。妹達が何者かに狙われている以上、僕のそばに居てくれた方が護りやすいし。

 ――そういえば、最近はニアにも寂しい思いをさせてしまっている。

 だから、あんな風に僕に依存してくるのかもしれない。

 対価を支払う時意外にも、ちゃんと相手をしてあげないといけないな……。

 僕は妹達にもみくちゃにされながら、ふとそんなことを思うのだった。
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