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第94話 黒魔術(意味深)
しおりを挟む毛布が空中を舞い、火照りに火照ったルドガーの身体が露わになる。
「は…………?」
唐突に師匠の全裸を見せられたマルクは、困惑した表情で固まった。
「………………っ!」
刹那、ルドガーの頭は高速回転する。
――この状況を穏便に済ませ、師匠としての威厳を保つためにはどうすれば良いか。
ありとあらゆる言い訳を脳内で考え、シュミレーションを重ね、導き出された答えは……。
「わ、私は黒魔術の儀式をしていただけだ。とても気持ちがいいぞ! マルクも私と一緒に全裸になると良い☆! ベッドの中で黒魔術を行おう!」
開き直ることだった。
全裸のままベッドの上に立ち、マルクに堂々と全身を見せながらそんなことを言い出すルドガー。
「きゃああああああああああああっ!!!」
当然、逆効果である。マルクは悲鳴を上げて扉の前まで逃げ出した。
「ま、待ちたまえ、落ち着くんだマルク!」
「どうして服を着てないんですかっ! 師匠の変態っ!」
「誤解だ。謂《いわ》れなき中傷を受けている」
「ちっ、近寄らないでくださいっ!」
マルクは、ルドガーにそう言い放った。
既に船内をうろつく数多くの痴女に襲われ、色々と限界寸前なのである。このままでは色々と危ない。
「うぅ……どうして師匠までこんなことに……!」
「泣きたいのは私の方なんだが……☆」
そう言いつつも、一向に服を着る素振りすら見せないルドガー。動揺するあまり、判断力を失っているのだろう。
「わおーんッ!」
その時、部屋の外でリタの遠吠えが響いた。
「…………っ!」
どうやら、マルクがこの部屋の中にいることがバレてしまったらしい。
「おちんち●! ちん●ん! マルクのおち●ち●!」
扉を爪でガリガリと引っかきながら、卑猥な言葉を連呼するリタ。
マルクは、咄嗟に扉を背中で押さえつけた。
「おいおい、これは一体どういうことだい?」
「お願いだから入って来ないでくださいっ!」
「マルクっ! やっぱりそこに居るんだね! 見つけタァ!」
正面には全裸のルドガー、扉一枚を隔てた後ろには発情したリタ。
「ひいぃぃぃ……っ!」
まさに、絶対絶命の状況である。
「――落ち着きたまえマルク、こんな格好だが私は何もしない。君が危険な状況にあるというのなら、師匠として出来る限りの協力をしよう」
怯えるマルクに、ルドガーはいつになく優しい声の調子でそう告げた。
「ほ、本当ですか……?」
「ああ、私はもう大丈夫だよ」
「…………信じていいんですね?」
「もちろんさ」
服こそ着ていないが、いつもより落ち着きのある師匠を見て、マルクは少しだけ安心する。
「そ、それじゃあ、扉を押さえるのを手伝ってください! まずはおかしくなっちゃったリタお姉ちゃんをやり過ごして、みんなを元に戻す方法を考えないと……っ」
「わかったよマルク。君に師匠の力を見せてやろう」
ルドガーはそう言って、マルクの顔の横に両手をつく形で扉を押さえ込み始めた。
結果的に、マルクの眼前にはルドガーのやや貧相な胸が押し出される形となる。
「あ、あの、いくら何でもこの体勢は……」
「……………………」
「どうしたんですか師匠……?」
「はぁ、はぁ……ほらマルク、新鮮なお●ぱいだよ、吸いたまえ……」
結局、ルドガーも本能には抗えなかったた。
「そ、そんな……」
「――はっ! 私はなんてことをっ! くそっ……必死に我慢してたけどだめそうだ……! たのむ、私の理性が残っているうちに……なんとか私から逃げてくれ……っ!」
「師匠…………!」
「う、うぐぅぅぅっ、お、おっ……おち、お●ちん☆ おっぱ●☆」
「う、うわぁ」
理性の崩壊したルドガーを見て、思わずドン引きするマルク。
「しっ、しまった?!」
その拍子に力が抜け、今まで必死に押さえつけていた扉がこじ開けられてしまう。
マルクとルドガーは開いた扉に吹き飛ばされ、部屋の中へ倒れ込んだ。
「やっと見つけたよマルク……大人しくボクに食べられてね……じゅるり」
「いたた……まったく、困るなぁ……マルクの身体は師匠である私のもののはずだが☆」
マルクを間に挟んで相対するルドガーとリタ。
「もうやだ……早く帰りたい…………」
本日何度目かのピンチに陥ったマルクは、心の底からそう思った。
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