無能はいらないとSランクパーティを追放された魔術師の少年、聖女、魔族、獣人のお姉さんたちにつきまとわれる

おさない

文字の大きさ
97 / 103

第94話 黒魔術(意味深)

しおりを挟む

 毛布が空中を舞い、火照りに火照ったルドガーの身体が露わになる。

「は…………?」

 唐突に師匠の全裸を見せられたマルクは、困惑した表情で固まった。

「………………っ!」

 刹那、ルドガーの頭は高速回転する。

 ――この状況を穏便に済ませ、師匠としての威厳を保つためにはどうすれば良いか。

 ありとあらゆる言い訳を脳内で考え、シュミレーションを重ね、導き出された答えは……。

「わ、私は黒魔術の儀式をしていただけだ。とても気持ちがいいぞ! マルクも私と一緒に全裸になると良い☆! ベッドの中で黒魔術を行おう!」

 開き直ることだった。

 全裸のままベッドの上に立ち、マルクに堂々と全身を見せながらそんなことを言い出すルドガー。

「きゃああああああああああああっ!!!」

 当然、逆効果である。マルクは悲鳴を上げて扉の前まで逃げ出した。

「ま、待ちたまえ、落ち着くんだマルク!」
「どうして服を着てないんですかっ! 師匠の変態っ!」
「誤解だ。謂《いわ》れなき中傷を受けている」
「ちっ、近寄らないでくださいっ!」

 マルクは、ルドガーにそう言い放った。

 既に船内をうろつく数多くの痴女に襲われ、色々と限界寸前なのである。このままでは色々と危ない。

「うぅ……どうして師匠までこんなことに……!」
「泣きたいのは私の方なんだが……☆」

 そう言いつつも、一向に服を着る素振りすら見せないルドガー。動揺するあまり、判断力を失っているのだろう。

「わおーんッ!」

 その時、部屋の外でリタの遠吠えが響いた。

「…………っ!」

 どうやら、マルクがこの部屋の中にいることがバレてしまったらしい。

「おちんち●! ちん●ん! マルクのおち●ち●!」

 扉を爪でガリガリと引っかきながら、卑猥な言葉を連呼するリタ。

 マルクは、咄嗟に扉を背中で押さえつけた。

「おいおい、これは一体どういうことだい?」
「お願いだから入って来ないでくださいっ!」
「マルクっ!    やっぱりそこに居るんだね!    見つけタァ!」

 正面には全裸のルドガー、扉一枚を隔てた後ろには発情したリタ。

「ひいぃぃぃ……っ!」

 まさに、絶対絶命の状況である。

「――落ち着きたまえマルク、こんな格好だが私は何もしない。君が危険な状況にあるというのなら、師匠として出来る限りの協力をしよう」

 怯えるマルクに、ルドガーはいつになく優しい声の調子でそう告げた。

「ほ、本当ですか……?」
「ああ、私はもう大丈夫だよ」
「…………信じていいんですね?」
「もちろんさ」

 服こそ着ていないが、いつもより落ち着きのある師匠を見て、マルクは少しだけ安心する。

「そ、それじゃあ、扉を押さえるのを手伝ってください!   まずはおかしくなっちゃったリタお姉ちゃんをやり過ごして、みんなを元に戻す方法を考えないと……っ」
「わかったよマルク。君に師匠の力を見せてやろう」

 ルドガーはそう言って、マルクの顔の横に両手をつく形で扉を押さえ込み始めた。

 結果的に、マルクの眼前にはルドガーのやや貧相な胸が押し出される形となる。

「あ、あの、いくら何でもこの体勢は……」
「……………………」
「どうしたんですか師匠……?」
「はぁ、はぁ……ほらマルク、新鮮なお●ぱいだよ、吸いたまえ……」

 結局、ルドガーも本能には抗えなかったた。

「そ、そんな……」
「――はっ! 私はなんてことをっ! くそっ……必死に我慢してたけどだめそうだ……! たのむ、私の理性が残っているうちに……なんとか私から逃げてくれ……っ!」
「師匠…………!」
「う、うぐぅぅぅっ、お、おっ……おち、お●ちん☆ おっぱ●☆」
「う、うわぁ」

 理性の崩壊したルドガーを見て、思わずドン引きするマルク。

「しっ、しまった?!」

 その拍子に力が抜け、今まで必死に押さえつけていた扉がこじ開けられてしまう。

   マルクとルドガーは開いた扉に吹き飛ばされ、部屋の中へ倒れ込んだ。

「やっと見つけたよマルク……大人しくボクに食べられてね……じゅるり」
「いたた……まったく、困るなぁ……マルクの身体は師匠である私のもののはずだが☆」

 マルクを間に挟んで相対するルドガーとリタ。

「もうやだ……早く帰りたい…………」

 本日何度目かのピンチに陥ったマルクは、心の底からそう思った。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

A級パーティーを追放された黒魔導士、拾ってくれた低級パーティーを成功へと導く~この男、魔力は極小だが戦闘勘が異次元の鋭さだった~

名無し
ファンタジー
「モンド、ここから消えろ。てめえはもうパーティーに必要ねえ!」 「……え? ゴート、理由だけでも聴かせてくれ」 「黒魔導士のくせに魔力がゴミクズだからだ!」 「確かに俺の魔力はゴミ同然だが、その分を戦闘勘の鋭さで補ってきたつもりだ。それで何度も助けてやったことを忘れたのか……?」 「うるせえ、とっとと消えろ! あと、お前について悪い噂も流しておいてやったからな。役立たずの寄生虫ってよ!」 「くっ……」  問答無用でA級パーティーを追放されてしまったモンド。  彼は極小の魔力しか持たない黒魔導士だったが、持ち前の戦闘勘によってパーティーを支えてきた。しかし、地味であるがゆえに貢献を認められることは最後までなかった。  さらに悪い噂を流されたことで、冒険者としての道を諦めかけたモンドだったが、悪評高い最下級パーティーに拾われ、彼らを成功に導くことで自分の居場所や高い名声を得るようになっていく。 「魔力は低かったが、あの動きは只者ではなかった! 寄生虫なんて呼ばれてたのが信じられん……」 「地味に見えるけど、やってることはどう考えても尋常じゃなかった。こんな達人を追放するとかありえねえだろ……」 「方向性は意外ですが、これほどまでに優れた黒魔導士がいるとは……」  拾われたパーティーでその高い能力を絶賛されるモンド。  これは、様々な事情を抱える低級パーティーを、最高の戦闘勘を持つモンドが成功に導いていく物語である……。

【完結】魔物をテイムしたので忌み子と呼ばれ一族から追放された最弱テイマー~今頃、お前の力が必要だと言われても魔王の息子になったのでもう遅い~

柊彼方
ファンタジー
「一族から出ていけ!」「お前は忌み子だ! 俺たちの子じゃない!」  テイマーのエリート一族に生まれた俺は一族の中で最弱だった。  この一族は十二歳になると獣と契約を交わさないといけない。  誰にも期待されていなかった俺は自分で獣を見つけて契約を交わすことに成功した。  しかし、一族のみんなに見せるとそれは『獣』ではなく『魔物』だった。  その瞬間俺は全ての関係を失い、一族、そして村から追放され、野原に捨てられてしまう。  だが、急な展開過ぎて追いつけなくなった俺は最初は夢だと思って行動することに。 「やっと来たか勇者! …………ん、子供?」 「貴方がマオウさんですね! これからお世話になります!」  これは魔物、魔族、そして魔王と一緒に暮らし、いずれ世界最強のテイマー、冒険者として名をとどろかせる俺の物語 2月28日HOTランキング9位! 3月1日HOTランキング6位! 本当にありがとうございます!

14歳までレベル1..なので1ルークなんて言われていました。だけど何でかスキルが自由に得られるので製作系スキルで楽して暮らしたいと思います

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕はルーク 普通の人は15歳までに3~5レベルになるはずなのに僕は14歳で1のまま、なので村の同い年のジグとザグにはいじめられてました。 だけど15歳の恩恵の儀で自分のスキルカードを得て人生が一転していきました。 洗濯しか取り柄のなかった僕が何とか楽して暮らしていきます。 ------ この子のおかげで作家デビューできました ありがとうルーク、いつか日の目を見れればいいのですが

詠唱? それ、気合を入れるためのおまじないですよね? ~勘違い貴族の規格外魔法譚~

Gaku
ファンタジー
「次の人生は、自由に走り回れる丈夫な体が欲しい」 病室で短い生涯を終えた僕、ガクの切実な願いは、神様のちょっとした(?)サービスで、とんでもなく盛大な形で叶えられた。 気がつけば、そこは剣と魔法が息づく異世界。貴族の三男として、念願の健康な体と、ついでに規格外の魔力を手に入れていた! これでようやく、平和で自堕落なスローライフが送れる――はずだった。 だが、僕には一つ、致命的な欠点があった。それは、この世界の魔法に関する常識が、綺麗さっぱりゼロだったこと。 皆が必死に唱える「詠唱」を、僕は「気合を入れるためのおまじない」だと勘違い。僕の魔法理論は、いつだって「体内のエネルギーを、ぐわーっと集めて、どーん!」。 その結果、 うっかり放った火の玉で、屋敷の壁に風穴を開けてしまう。 慌てて土魔法で修復すれば、なぜか元の壁より遥かに豪華絢爛な『匠の壁』が爆誕し、屋敷の新たな観光名所に。 「友達が欲しいな」と軽い気持ちで召喚魔法を使えば、天変地異の末に伝説の魔獣フェンリル(ただし、手のひらサイズの超絶可愛い子犬)を呼び出してしまう始末。 僕はただ、健康な体でのんびり暮らしたいだけなのに! 行く先々で無自覚に「やりすぎ」てしまい、気づけば周囲からは「無詠唱の暴君」「歩く災害」など、実に不名誉なあだ名で呼ばれるようになっていた……。 そんな僕が、ついに魔法学園へ入学! 当然のように入学試験では的を“消滅”させて試験官を絶句させ、「関わってはいけないヤバい奴」として輝かしい孤立生活をスタート! しかし、そんな規格外な僕に興味を持つ、二人の変わり者が現れた。 魔法の真理を探求する理論オタクの「レオ」と、強者との戦いを求める猪突猛進な武闘派女子の「アンナ」。 この二人との出会いが、モノクロだった僕の世界を、一気に鮮やかな色に変えていく――! 勘違いと無自覚チートで、知らず知らずのうちに世界を震撼させる! 腹筋崩壊のドタバタコメディを軸に、個性的な仲間たちとの友情、そして、世界の謎に迫る大冒険が、今、始まる!

最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)

みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。 在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。

勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。

克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

最低最悪の悪役令息に転生しましたが、神スキル構成を引き当てたので思うままに突き進みます! 〜何やら転生者の勇者から強いヘイトを買っている模様

コレゼン
ファンタジー
「おいおい、嘘だろ」  ある日、目が覚めて鏡を見ると俺はゲーム「ブレイス・オブ・ワールド」の公爵家三男の悪役令息グレイスに転生していた。  幸いにも「ブレイス・オブ・ワールド」は転生前にやりこんだゲームだった。  早速、どんなスキルを授かったのかとステータスを確認してみると―― 「超低確率の神スキル構成、コピースキルとスキル融合の組み合わせを神引きしてるじゃん!!」  やったね! この神スキル構成なら処刑エンドを回避して、かなり有利にゲーム世界を進めることができるはず。  一方で、別の転生者の勇者であり、元エリートで地方自治体の首長でもあったアルフレッドは、 「なんでモブキャラの悪役令息があんなに強力なスキルを複数持ってるんだ! しかも俺が目指してる国王エンドを邪魔するような行動ばかり取りやがって!!」  悪役令息のグレイスに対して日々不満を高まらせていた。  なんか俺、勇者のアルフレッドからものすごいヘイト買ってる?  でもまあ、勇者が最強なのは検証が進む前の攻略情報だから大丈夫っしょ。  というわけで、ゲーム知識と神スキル構成で思うままにこのゲーム世界を突き進んでいきます!

処理中です...