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第26話:教授からのバイト(前編)

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「教授・・・」根岸は蘇芳の自宅のベッドで裸でうつ伏せになっていた。
その背中には何かで叩かれた跡と、縄で縛った跡が残っている。
「教授・・・あんな事までされてしまって・・・樹は、樹はもう・・・」
実はもう蘇芳は仕事に出てしまっているのだが、根岸だけはベッドに残り、
昨晩の快感を思い出し浸っていた。
「でも・・・気持ちよかったですよね・・・あれだけやられても・・・
またして欲しいと思ってしまいます・・・」

***
ある休日の午前中。
ユキヤは自宅のベッドで、珍しく一人でまどろんでいた。
そんな折、ドアを開けて誰かが入ってくる音がする。
(・・・ん?すみれかな・・・)彼が夢うつつでそんなことを考えていると、
その来訪者はおもむろに布団に手を突っ込んでくる。
「おい・・・やめろよ、そんなとこ触るの・・・」
ユキヤ寝ぼけなら来訪者に話しかける。
しかし手は止まらない。

「あ・・・ダ、ダメ・・・そんなに優しく触られたら・・・」
だが彼はすぐに異変に気づく。
自分の隣にいる人物がすみれではないことに。
「・・・!」
ユキヤががばっと起き上がると、ベッドの横に浅葱が座っていた。

「な、なな何してるんだあんたは?!」ユキヤが真っ赤になって怒鳴る。
「ドアの鍵、開いてたっスよ・・・」浅葱が何事もないように返す。
「あんたは部屋の鍵が開いてると寝てる家主にこんなことするんかい!」
「・・・下半身は随分と丁寧に処理してるんスね」
そういってユキヤの股間を見る。ユキヤは慌ててズレたパンツを穿き直す。
「う、うるさい!で、なんで俺の部屋に入ってきてんのさ?」
「教授から、割のいいバイトの話をもらってきたっス」
「教授のバイト?なんだそれ?怪しいぞ?どうせろくでもない話だろ?!」
「大丈夫っす。ユキヤさんなら絶対いける仕事っス」
ユキヤは不安そうな顔で尋ねる。
「で、どんなバイトなんですか?」

「会合の助手として、教授に同行してほしいっス」
「え?それならあんたや根岸で間に合うんじゃ・・・?」
「・・・シンプルかつ複雑な事情があるっスよ」
「なんですかそりゃ?」
「・・・とにかく詳しくは教授に聞いてほしいっス。」
「なんか嫌な予感がするが・・・まぁいいか。
バイト代もかなりもらえるみたいだし」
「では決まりで良いっすか?じゃあ明日の夕方に出発しますんで、
準備しておくようにお願いするっス」
こうしてユキヤは教授の助手をすることになった。

***
翌日、ユキヤは指定された駅に来ていた。
時間は午後5時を過ぎたあたり。待ち合わせ時間より早めに着いてしまった。
(スーツなんかいつ以来かな)
ユキヤは紺色のビジネス用のジャケットを羽織り、黒いネクタイをつけていた。
普段の私服はカジュアルなものばかりで、この格好はかなり新鮮だった。
服装のせいもあってか、少し緊張している自分がいた。
(もうすぐ来るはずだけど・・・まだ来てないのか)

やがて浅葱の運転する車で蘇芳がやってくる。蘇芳はいつものように
スーツを着ていてメガネをかけており、その整った見た目も手伝って
一見すると紳士にしか見えない。
しかし彼が異常者であることはユキヤにもわかっていた。
助手席から降りてきた浅葱はタイトスカートに黒タイツという姿。
そして今日は珍しく前髪をセットしてる。「こんにちは蘇芳教授」
「ああどうもユキヤさん。わざわざ来てくれてありがとうございます」
ユキヤは蘇芳に向かって一礼をする。蘇芳の方も軽く会釈をした。
そして助手席に乗り込むと、車内で軽く打ち合わせをする。

「あのー・・・俺は何をすれば?」
「なぁに、難しく考える必要はないっス。
そのメモの通りに行動してくれれば問題ないっスよ」
「そうですか・・・わかりました」
ユキヤは浅葱が渡してくれたメモに目を通す。
「会合の間は私の隣に座っていれば問題ないでしょう。しかし問題はその後です」
と蘇芳が言う。
「その後って、まさか蘇芳教授のお相手をさせられるんですか!?俺・・・」
ユキヤの顔が青ざめる。
「いえ、私の相手ではありません。
君はあくまで助手として隣にいるだけです」
と蘇芳は言った。

「さっきも言ったように問題はその後の婦人団体との懇親会です。」
ここでちょっと蘇芳の声のトーンが変わる。明らかに不機嫌と言った感じだ。
「・・・今回君にお願いしたのも、浅葱くんを連れて行くと、
婦人団体の皆さんの中で、やれ愛人だのセクハラだの
下世話なことを噂する人が多いからです。」
(それは噂でも何でもないんじゃ・・・)
という言葉が喉から出かかるユキヤだったがグッと飲み込んだ。
「今回の懇親会のテーマも、
子どもの未来のために性犯罪やセクハラの撲滅ですよ。」
「へぇ、そうなんですね」
ユキヤは感心するように相槌を打った。

「まったく腹立たしい限りですよ・・・『子供のため』と子供を盾にすれば
自分たちの気に入らないもの封じ込められると思ってる・・・」
蘇芳は腕を組みながら不満を漏らす。
(なんか蘇芳教授がブチ切れてるな・・・)
「蘇芳教授、とりあえず落ち着いてください」
「ああ、すいませんつい熱くなってしまいました。
とにかくそういうことで、よろしくお願いしますね」
といってから、蘇芳は少し間をおいて言う。

「ちなみにその婦人団体の会長は・・・根岸くんの母親です。」
「え!?」
ユキヤは思わず声を上げる。(そっか・・・だから根岸を連れてこれないのか)
ユキヤはなんとなくだが事情を察する。
「まあ、今回はあくまで顔合わせみたいなもので、
そこまで深く関わることはないと思いますけど、一応念を押しておきます。」
そうこうしてるうちに車は会場に到着する。

****

会合は浅葱のメモを参考に滞りなく進んだ。
まぁ主な作業は渡されたメモの通りにパワポを動かしたりする程度だったが。
「それでは、以上で会議を終了します。」
進行役の女性の声で、参加者たちは移動の準備を始める。
ユキヤたちも荷物をまとめ始める。
「ええと次は例の懇親会でしたっけ?」
ユキヤは蘇芳に聞く。

「はい、この後すぐに行われます」「うわー緊張してきた」
「大丈夫ですよ、基本的には食事しながらおしゃべりするだけですから」
「はい、がんばります!」
「私も一緒にいますので、分からないことがあれば聞いて下さい」
「ありがとうございます」
「あと、ユキヤさん」
「くれぐれも先方の機嫌を損ねないようにお願いしますよ」「は、はい」
「特にお酒の席では注意してください」
「わかりました」
「では行きましょうか」移動中、ユキヤが蘇芳に質問する。

「女性団体って普通は女性の社会進出を後押しするのに、
浅葱さんみたいな仕事のできる女性に変な噂流して参加させないのって、
結局女性の仕事を邪魔してることにならないんですか?」
「・・・彼女らは主観さえあればいいんですよ」
蘇芳は吐き捨てるように言った。

会場に着くと女性団体のメンバーと思しき女性たちがいた。
ざっと見た感じでは全員40代以上と思われる。
その中でもひときわ神経質そうな中年女性が挨拶に来る。
「初めまして。この団体の代表の根岸でございます」
「どうぞこちらへ」とテーブルの方へと案内される。
「教授、この人が例の?」と小声でユキヤがささやく。
「はい・・・根岸君の母親です。」蘇芳もこれまた小声で返す。
(なんか教育ママがそのまま年取っちゃった感じの人だな)
ユキヤはそんな感想を持つ。

懇親会が始まると婦人団体の中で何人かが意見を言い始めるが、
その意見は偏見の塊だった。「風俗店や性産業が世の風俗を乱している諸悪の根源」
「セクハラは女性が虐げられている世の表れだ」
「漫画アニメなどの性的表現は子供に悪影響を与える」等々。
ユキヤは「あちゃ~」と思った。これは蘇芳教授の地雷を踏み抜いてしまったなと。
(これは確かに参加前から不機嫌になるなぁ・・・)
その蘇芳教授は「ははは」と乾いた笑いを浮かべていた。

「しかしこのテーマでの懇親会って教授参加する意味あったんですか?
明らかに畑違いのように思えるんですが・・・」
「彼女たちにとっては大学教授という肩書を持つ人間が
来てくれればそれでいいんですよ。」
とこれまた不機嫌な口調で言う。

こうして聞いているだけで料理がまずくなるような話を聞きながら
料理を食べていると、婦人団代の代表の根岸母(便宜上こう呼ぶ)
が蘇芳に近づいてきた。
「教授、私たちの主張、いかがですか?」
「はい、皆様自分の意見をハッキリ持っているようで何よりですね。」
さっきまで不機嫌丸出しだった態度が一変していつもの口調に戻っている。
(こぇぇ・・・)
「ただ、やはりもう少し具体的なデータに基づくご指摘が
いただけると助かりますねぇ。
そうすればもっと皆さんのお役に立てると思うのですが」
蘇芳が異様にな言葉遣いになっている。
(うーん、やっぱりこの人は怖いな・・・)
「で、そちらの助手の方は、若いお立場としてはどう感じますの?」

「え?!俺ですか?」
突然話を振られて驚くユキヤ。蘇芳から事前に
「機嫌を損ねないように」と言われていた。
「俺は、あまりそういうのは分からないんで、
むしろ教授とかの意見の方が参考になりますよ」
当たり障りのないことを言ってごまかす。「あら、そうなの?」
根岸母は意外といった表情をする。
「根岸さん、彼はまだ学生さんだから・・・」
「ああ、失礼しましたわ。私ったらつい・・・」
蘇芳がフォローすると根岸母はバツが悪そうにする。
「それでも何か、ございません?後々のためにも、
若い方の意見をぜひ聞きたいです」

「はは、じゃあ、1つだけ。こうすることで性犯罪が減るならいい事ですね。
男でも女でも犠牲になる人が出ないのはいい事だと思います」
ユキヤなりに当たり障りのない意見を言ったつもりだった・・・が
「・・・・な!」「え?!」根岸母が明らかに不機嫌になりだす。
「あ、あなたは女性も性犯罪をすると?!」「・・・え?は、はい」
「そんな非道な女性がどこにいるっていうの!!」
ユキヤはいきなり怒り出した根岸母の剣幕に押される。
「いえ、別に男だけがやるわけじゃないし、
それに、ほら、あの、あれですよ」
(な、何言いだしてるんだ?!この人?)
ユキヤは必死になって言い訳を考えるがうまく出てこない。

「ほ、ほら!男でも女でも性欲がある限り可能性があるかな・・・と」
「なんですって!!あなたは女性の人格や尊厳を踏みにじるつもりなのかしら!!!」
「え!?い、いや、そ、その、ち、違いますよ、誤解しないでください」
ユキヤは何とか弁解しようとする。しかし根岸母は聞く耳を持たない。
(論旨が無茶苦茶だ!)
ユキヤはパニックに陥る。蘇芳が助け舟を出す。
「奥様、落ち着いて下さい。彼は何も悪いことは言っておりません」
「・・・本当にそう思っていますの?」
「もちろんですとも。男性にも女性にも性欲はある、とおっしゃっているだけです」
「ふん、どうせ男の方はみんな同じ考えなんですよ。
女性はただ我慢しろとでも言うのかしら」
「いえ、決してそのような事はありません。奥様のおっしゃる事はよく分かります。
男性とて欲望を抑えきれない時もあるでしょう。
それを恥じたり隠したりする必要はどこにあるでしょうか」
蘇芳は落ち着いた口調で諭そうとする。
「それは・・・」
「もし仮に男性の方が性犯罪を犯せば、女性よりずっと厳しい罰を受けます。
それが当たり前の事なのです。
男性も女性も、等しく人間として尊重されなければならないのですから。
男性と女性が同じ権利を持ってこそ、初めて対等な社会が生まれると私は思います」

蘇芳は真剣な表情で言う。その雰囲気に押されてしまったのか
「すいません・・・私、ちょっと強いお酒に当たり過ぎてしまったようですわ。
風に当たってきます」
そう言うと根岸母は退散した。「・・・ふぅー」ユキヤは胸を撫で下ろす。
(危なかった・・・危うく殺されかけたぜ・・・)
ユキヤは冷や汗まみれで蘇芳に礼を言う。
「・・・すいません、失礼の無いようにと言われていたのに。」
「いや、あれは殆ど当たり屋です」
蘇芳はさらっと答える。
「それにしても、蘇芳教授は凄いなぁ。あんな状況でよく冷静に対応できましたね。」
「いえ、そんな事は無いですよ」
蘇芳は謙遜する。そして
「・・・向こうもこちらがあちらの望む返答をしないと分かったでしょうし、
この分だと、代表が話しかけてくることはもうないでしょう。
これで適当なところでおいとま出来ますよ」
と冗談ぽく笑った。
その言葉通り、根岸母がユキヤたちに話しかけてくることはなく、
二人は早々に退散した。

***
浅葱の運転する帰りの車の中でユキヤは先ほどの出来事を思い出していた。
(あれじゃあ・・・まるで女性には性欲がないということになるじゃないか!)
そう思うとだんだん腹が立ってきた。「おや、ご立腹のようですね。」
後部座席から蘇芳が声をかける。
「そりゃそうですよ。だって・・・」
女性にだって性欲はある!しかもそれは男のそれよりも格段に強い。

ユキヤはそれを身をもってよく知っている。
「まぁ毎度毎度あの代表の主張は矛盾しまくってるから、気にしなくていいっスよ」
運転席の浅葱が口を挟む。「そうなんですか?」
ユキヤは浅葱の言葉に疑問を抱く。
「彼女たちは主観と自分に都合のいい意見しか受け付けません。
それ以外は敵とみなしてきます。
だからあんな風に自分の主張と少しでも反するような意見を聞くと
異常な怒りを見せるんです」

「なるほど。」
確かにそういう人間を何度か見たことがあるな、と思い出す。
「・・・すべての女性団体がそうとは言いませんが
ああいった人たちがいるのも事実です。」
蘇芳は付け加えるように言う。
「まぁ、でも、ユキヤさんは気にしすぎなくても大丈夫っスよ」
「そうですかねぇ」
「ただ、彼女の場合、問題はそれだけではありません。
彼女の感情優先で育てられた結果、根岸君はあんな事になってしまいましたから。」
蘇芳はミラー越しにユキヤを見る。「え、どういうことですか?!」
「大学に入って私と出会うまで、彼は性欲どころか恋愛感情すら
害悪と考えていましたからね。」
「・・・どこの箱入りお嬢様ですか?」
「なのでまず独立心を養うという名目で一人暮らしを勧めて、母親から遠ざけ、
・・・誰かに愛されることから始めないといけませんでした。」
「うわ、なんつー極端な教育を・・・」
ユキヤはここでようやく、蘇芳と根岸の関係と、
彼がなぜあんなに偏執的に蘇芳を求めているのかを知った。

「まぁそれくらいしないと彼のような人間は社会に適応できませんから。
それに・・・あんな可憐な反応ができる子をあのまま放置するのは勿体ない 。」
最後の方で発言内容が欲望丸出しになってくる。
(・・・途中まで感心して聞いていた俺がバカだった)ユキヤは呆れ果てる。
しかしそれでも教え子を救いたい気持ちはあったんだなと思った。
「さ、ついたッスよ、今日はお疲れさまでした。」
そう言って浅葱はユキヤを送り出してくれた。

「ありがとうございます、色々勉強になりました」とユキヤは頭を下げた。
「いやぁ、こちらこそ、ユキヤさんと話せて楽しかったっす。また遊びに行くっス」
浅葱は微笑んでくれた。
「・・・もうこの前みたいなのは勘弁してくださいよ」
ユキヤはそう言って自宅へと向かった。

***
「ただいま」
ドアを開けると、すみれが出迎えた。
「おかえり、ユキヤ」
「おう、ただいま」
「ご飯にする?お風呂に入る?それとも―――」
すみれはそこで言葉を切った。そして少し恥ずかしそうな表情をする。
「わたし?」
ユキヤはため息をつきながら答えた。

「お前はいつも通りだな。安心したぜ」
すみれはふふんと得意げに笑った。
「ユキヤも相変わらずね。つれないわね」
「漫画に出てくる新婚夫婦じゃないんだから・・・」
ユキヤは苦笑いする。すみれは不満そうだ。
「あ、あとね、昼間ネギちゃんが私のところに来て、いちご大福置いてったよ
『今日のお礼』とか言ってたけど・・・」
どうやら彼なりに気を使ってくれたらしい。
(いちいちちょっとズレてるあたりもあいつらしいが・・・)

「お茶入れるね」
と言ってすみれはキッチンへと行った。
しばらくして戻ってきたすみれの手には湯呑が2個持たれていた。
1つはすみれの分だろう。
ユキヤの目の前にすみれは湯呑を置いた。中身は緑茶のようだ。
「ん、ありがとな」
ユキヤはいちご大福を頬張りながら今日の事を話す。
「ああいう席だとさすがの俺でも緊張するなぁ。
まあ、変なこと言わなくて良かったけど。
てか、蘇芳教授も普段あんなだけど、
ああいうところにいるとそれらしく見えるというか・・・」

ただ、その後の懇親会については話さなかった。

「しかしユキヤがスーツ着てるなんてほんと珍しいよね」
「そりゃ、ああいう席だしスーツじゃなきゃおかしいだろ?」
「そうだけど・・・なんか見慣れないから新鮮と言うか・・・」
すみれはくすっと笑う。そしてまじまじとユキヤを見つめる。
「なんだよ、あんまり見るなってば」
ユキヤは恥ずかしげに顔を背ける。
「いやー、こんなイケメンだったかなあって思って。
これはエリート社員の振りしてお姉さん方を騙せますよ」
すみれがからかうように言う。

「・・・・着替えてくる」ユキヤは呆れて立ち上がる。
「え?別にいいじゃん。せっかく似合ってるんだしそのままで」
「お前がそういうならこのままでもいいが・・・」
ユキヤはソファーに座ってお茶をすすり始める。
ユキヤはちょっと嬉しかったのか照れ隠しをしているようでもあった。 
「うん!やっぱりユキちゃんは格好良い!」すみれが微笑みかける。
ユキヤはますます照れる。それをごまかすかのようにいちご大福をパクつく。
「ふぅ~食った、食べた。結構量あったのにもう全部食べちまった。
このいちご大福美味いな。」
ユキヤが満足そうな表情を浮かべる。

「チョイスの仕方はともかく、ネギちゃんは意外とセンスいいよね」
すみれも自分の分のお茶をすする。
「そうだな。まあ、こういうのは味だけじゃないしな。
見た目とかパッケージとか色々あるし」
ユキヤは一息ついて湯呑を置く。
「で、これからどうしようかね。」

「ユキちゃん・・・」
すみれが声をかける。
「ん?何だよ?」
「あのね・・・その・・・」すみれは言い淀む。
「だから何だってのさ。はっきり言ってくれよ」
ユキヤはやや苛立ち気味に促す。
「・・・今のユキちゃんを動けなくしたい」
すみれがぼそっと言った。

つづく
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