大草原の小さな家でスローライフ系ゲームを満喫していたら、何故か聖女と呼ばれるようになっていました~異世界で最強のドラゴンに溺愛されてます~

うみ

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31.何だかツンツン頭くんが勝手に喋るの、これは愛ね、愛なのね

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「エルファンさん。スレイって猫じゃないんですか?」
「白猫の姿を模されているだけです。理由は測りかねますが」
「その精霊王というのは」
「精霊王はそれぞれ人里離れた秘境と呼ばれる地域にいらっしゃると聞き及んでおります。私も実際にお会いするのは初めてなもので」
「干ばつはスレイがにゃーんすれば何とかなるものなのですか?」
「いえ。その力があったとしても精霊王は力を振るいません。精霊王は私たちエルフも含めどのような種族に対しても利するための力を振るうことはないのです」
「さっき、アイスクリームを」
「それは、ここが聖域だからでしょう。あなたの聖域の中ならば、あなたとここにいる者以外に影響を及ぼしません。精霊王の力は巨大に過ぎ、力を振るうと世に甚大な影響を与えます」

 ふ、ふむむ。
 佐枝子の豆腐頭ではエルファンの話を半分くらいしか理解できなかったぞ。
 豆腐って何よお。そんなプルンプルンしてないもん。
 プルンプルンってプリンみたいね。プリンなら作れるんじゃない? どうやるんだっけ。確か卵と牛乳? だったっけ。
 生クリームも添えて食べるとおいしそうー。
 
 えっとそれで何だっけ?
 佐枝子の胸がプルルンしててナイスバディ……ちょっと、隊長。その目、セクハラよおお。
 え? あるのかないのか分からないって?
 そんなことないもん、ないんだからああ。
 
「私、ぷるぷるしてるもん」
「また意味不明だぞ。サエクオ」
「まだJKだし、お肌だってぷるぷるなんだもんー」
「発作みたいだな」

 ジェラールが呆れたようにはあとため息をついている。
 さーせん。ちょっと隊長と脳内で戦っていたのが口に出ていたわ。

「ジェラール。これで分かったでしょ? ニールさんもこの子たちも干ばつなんて起こしてないって」
「ごめん、本気でよくわからないんだが」
「え、ダメね。これだから若い子は。エルファンさん、ニールさんを討伐するなんてこと意味がないことなんです」

 やっぱりここは頼りになる年上美形イケメンに頼るに限る。
 ほらほら、彼は流麗な仕草で頷いてくれているじゃない。
 
「ニール氏は足繁く、聖域に通われているのですか?」
「はい。ニールさん、二日に一回くらいは来てくれるんです!」

 何だろう。エルファンのこの質問。
 と疑問に思いつつも、即答する。
 もっと来てくれてもいいのになー。ファフニールはここにいない時、どんなことをしているんだろう?
 お部屋のお掃除かな? なんてことを考え始めると、気になって仕方なくなってきたぞ。
 佐枝子、ファフニールに聞いちゃう? でも、プライベートのことで質問攻めにするのもなあ。
 うっとおしいなんて思われて、彼が来なくなっちゃったら悲しい。

「そうですか。分かりました」

 佐枝子はやんやんしていただけなのだけど、エルファンは何やら考えていた様子。
 細い指を顎に当て、テーブルの上に両手を置く。
 そして、両目をつぶり、ゆっくりと目を開いた。
 
「ジェラール。干ばつはニール氏が関与していない可能性が極めて高いです」
「え、どういうこと?」

 いいわよ。ジェラール。佐枝子も全く分からないわ。

「ここは聖域です。聖域は結界の一種なのです」
「結界? 聖域?」
「結界の中は外界と異なる領域となります。この聖域は精霊王が力を振るうことができるほど、外界と遮断されています」
「お。やっと分かった!」

 分かったって! ジェラールが分かったのに私はまだ理解が進んでないわよ。
 納得した様子の彼のおでこにデコピンしてみる。
 
「何すんだよ!」
「こら、お姉さんにもちゃんと説明しなさい」
「お前みたいなのが姉ちゃんだったら、俺、家出する」
「こんな優しいお姉さんなんて早々いないわよ」
「頭がぷるんぷるんの姉ちゃんは嫌だ」

 そこ、そこでぷるんぷるんを回収するっての。
 そっちじゃないでしょ。ぷるぷるしているのはこっち。こっちよ。
 背筋を反らすもジェラールは見向きもしない。こ、この子、やっぱり男にしか興味がないんじゃない。
 でも、ツンツン頭がショタ枠でイケメンエルフが「振り返るな!」。
 ちょっと隊長。佐枝子の妄想を邪魔しないでよお。
 
「不気味な顔で涎を垂らすな、ほんとに聖なる何とかなのか? サエクオは」
「分からないけど。トッピーさんは聖女って呼んでくれたわ。純真無垢な私の姿を見て、そう思ったのね。たぶん」
「それはない」
「むきいい」
「いちいち相手をしていたら、全く話が進まないだろ。だから、俺から勝手に喋るからな!」
「え、えええ。お話し相手は私よね?」
「そうだけど。先に聞いてくれ」
「う、うん」

 そんな真剣な目で少年に見つめられたら、佐枝子困っちゃうわ。
 いいわよ。お姉さんが聞いてあ、げ、る。
 完全に私の行動をスルーすることを決めたのか、ジェラールは私の反応など無視して語り始めちゃった。

「ニールさんに干ばつを起こす力があったとして、力を振るったとするだろ」
「うん」
「干ばつにするためには長い間、雨を降らせたらいけないわけで、ずっと天気に影響を与え続けなきゃならないんだ」
「う、うん」
「でも、聖域に入ると外に魔法を行使できなくなるから、雨が降っちゃうかもしれないってこと」
「えー、あー、うん? えっと。つまり、ニールさんの疑いが晴れたってこと?」
「絶対分かってないだろ。でもまあいいや。俺たちはニールさんと戦う理由がなくなった」
 
 あ、この子。私に説明することを投げたな。
 まあいいわよ。ファフニールと彼らが喧嘩することが無くなったのなら。

「佐枝子の説得により、平和的に解決できることになりましたー。きゃー、ぱちぱちってこと?」
「もういいよそれで」

 ジェラールはコーヒーをごくごくと飲み干し、ガツンとテーブルの上に置く。
 ワイルドな子は嫌いじゃないけど、マグカップが割れたら佐枝子泣いちゃう。ゴルダ的に。
 
 ◇◇◇
 
「サエ。お前が二人を説得したことは分かったが、何故こうなる?」
「せっかくたくさんの人がここを訪れてくれたことですし。交友を深めてもと思ったんです」
「昨日の敵は今日の友か。そもそも俺は彼らと敵対したつもりもない」
「みなさんで一緒にアイスクリームを食べませんか? スレイが頑張ってくれたんです」
「全く……お前は……」

 ファフニールはふんと鼻を鳴らすも、椅子に腰かけてくれた。
 彼の横にトッピーが座り、ジェラールとエルファンが対面に座っているといった配置になる。
 私はお誕生日席……は椅子がないので立ったまま、やっと柔らかくなり始めたアイスクリームをみんなに取り分けることにした。
 無事、解決。やった。
 あれ、何か大事なことを忘れているような。
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