無職だと売られて大森林。パンダに笹をやり最強の村ってやつを作るとしようか

うみ

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17.二人乗り

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 パンダは軽自動車じゃあないので、さすがに三人乗車することはできない。
 なので、カルミアにはお留守番してもらい、アザレアと共に森エルフの村へ向かう。
 そうそう、カルミアとアザレア二人に笹の木を暖めてもらったんだ。したら、四本の笹の木が復活してすかさず笹の葉を回収することができた。
 この分だと森エルフの数が揃えば、パンダが腹を空かせることもなくなる見込みである。
 
 しかし、パンダは二人乗りの癖に燃費がとても悪い。森エルフの村に到着するまでにガソリンの補給が二回も必要だったのだ。
 前回来た時もそうだったような。そうでなかったような。どっちでもいいやもう。
 
 パンダを連れて村へ行くと、森エルフたちが集まってくる。
 前回はカルミアが前に出るまで緊張した面持ちで遠目から眺めるだけだった彼らも、今回は違った様子だった。
 族長がうまくパンダと俺のことを説明してくれたのだと思う。
 
 ひっくり返って大の字に寝そべるパンダに目を輝かせるアザレアに一抹の不安を覚えるが、最悪説明は俺だけでやるとするか。
 できれば彼女にも参加してもらいたいところなのだが。
 そんな中、村人を代表して族長が俺の前に立つ。
 
「アザレアに協力してもらい、報告に参りました」
「お待ちしておりました。神獣が来訪して以来、村はちょっとした騒ぎになっておりました」
「そうでしたか」
「いえ、良い意味での騒ぎです。神獣に生贄を捧げていたのも、神獣が真の意味で恵をもたらすからです。村の誰もが神獣に畏敬の念を抱いているのですよ」

 それなら、パンダの姿を見せない方がよかったか?
 あの間抜け面とゴロゴロして腹丸出しの態度を見ると、幻滅されそう。
 チラとパンダの姿をチェックしてみたが、だらしなく口を開き休んでいる。
 もう少ししたらまた笹を食べたいとせがみそうだな……休んで食べて休んで食べての繰り返しだからあいつ。
 
 族長に対し言葉を詰まらせる俺であったが、村民の真剣な眼差しに困惑する。

「神獣が寛いでくださっている。我らが村で」

 族長より少し年上に見える長髪のほっそりとした男が感激したように言葉を漏らす。
 彼の妻らしき切れ長の目をした美女も涙をにじませコクコクと何度も頷いていた。
 
「レン殿。立ち話も失礼かと存じましたが、神獣から離れるわけにはいかないご事情お察しいたします。申し訳ありませんが、この場でよろしいですか?」
「は、はい。結界と森の精霊について分かったことをお話しします。その上で皆さんにお願いがあります」

 簡単にではあるが族長に説明を行う。
 彼は時折唸るような声をあげながらも、理解を示してくれた。
 
「――というわけなのです」
「なるほど。お願いというのは、我らに移住してくれないか、ということですね」
「はい。長年暮らしていた村を出るというのは忍びないのですが」
「賛成する者、反対する者、村人全員の意見を聞きます。夜までお待ちいただけますか?」

 族長曰く、現在森エルフの村は全部で120人が暮らしているとのこと。
 反対者多数のようだったら、最初に俺が思いついたようなプラン――森エルフの村を含んだエリアまで結界を拡大するよう考えてみよう。
 結界を広げたものの、まだお試し段階だからな。考慮の余地はふんだんにある。
 余談ではあるが、アザレアはパンダに魅了されまるで役に立たなかった。おっぱいでも揉んだら正気に戻るだろうか?
 ……いや、やめておこう。反撃で俺の首が折れるかもしれない。
 
「アザレア」
「……む」

 アザレアがなかなか返事をしなかったので、意を決して指先でつんとしてやろか迷ったが、その前に再起動してくれた。

「族長に説明をした。夜まで待てとのことだったけど、カルミア一人残しておくわけにはいかないだろ」
「そうだな。夜間の移動は危険だ。夜まで待つより明日再び訪れた方がよい」
「家から何か持っていくようなものがあれば、持っていこうか」
「そうだな。言うまでもないが、私はカルミアと共に結界の中で暮らすつもりだ」
「分かってるって」
「妹がいて神獣がいるなど、なんて幸せなところなのだろう。一応、そなたもいるな」
「へいへい。一応ですよ、ふん」
「拗ねるな。冗談だ。頼りにしているぞ。空間魔法使いよ」

 男っぽくがっと首に腕を回され引き寄せられた。
 全くもう。でも、冗談が言えるまでの関係にはなれたってことかな。

「森エルフは夜目が利かないのか?」
「昼と変わらぬように見えるかという意味か?」
「うん」
「難しいな。そのような種族もいるが、森エルフはそうではないな」
「そかそか。俺も同じだよ」
 
 そうだ。聞くまでもなかった。俺はちゃんと見ているじゃないか、カルミアがランタンを消した姿を。
 夜でも昼のように見えるのだったら、ランタンなんて必要ない。
 見えないのだから、明るくする。うんうん。
 
 なんてたわいもないことを喋りながら歩くこと数分でアザレアの家に到着した。
 パンダは村の広場に放置している。餌が欲しけりゃ勝手に寄って来るだろ。いや、奴の性格的にあの場でゴロゴロして待っているか。
 暴れなければそれでいいやもう。
 
 さて、アザレアの家であるがカルミアの住む小屋をちょっとばかし整備して綺麗にしたような感じだった。
 一回り以上アザレアの家の方が大きいかな。キャンプ場にあるような丸太作りのロッジが一番俺の記憶に近い。
 
「どうした? こないのか?」

 外で待ってようかと思ったのだけど、三段ある階段のうち二段目に足を乗せたアザレアが首だけをこちらに向ける。

「急に結界の中に行くことになったわけだし、家の中はそのままだろ?」
「特に見られて困るものはない。そなたのことだ。嫌らしいことでも考えていたのか?」
「そ、そんなことはない」
「その動揺が却って、まあよい。そなたも入れ」

 そんじゃあま、せっかくだし。
 おじゃましまーす。
 
 天井が高いな。二階部分があるのかと思ったけど、天井は屋根の形そのままに傾斜している。
 この姉妹は下着を吊るす習慣でもあるのか?
 カルミアと同じようにアザレアも下着と服を紐で吊り下げていた。
 彼女の下着はサラシじゃないんだなあ。
 
「欲しければそなたに譲渡しようか?」
「俺がもらっても装着できないし」

 ずいっと紫色の下着を突きつけられましても、困りますう。

「布やらは持っていきたいな。そなたの服も必要だろう」
「族長に頼んだら一着くらいは分けてくれそうだけど」
「確かにな。持っていけるものは持っていくか。戻ろうと思えば戻って来れるわけだし、そこまで精査せずともよいか」
「そのことなんだが、ちょっと確認させてもらえないか?」
「探してもそなたが欲しがりそうな破廉恥なものはないと思うが」
「そうじゃなくて、だな」

 家の構造を知りたいんだよな。
 アザレアと共に一旦家の外に出る。下を覗き込むと支柱となる柱が数本立っていて、その上に床板があるようだった。
 
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