無双将軍の参謀をやりながら異世界ローマも作ってます

うみ

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24.突然ダークエルフの村へ

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――翌朝
 ベリサリウスの異常さを改めて見せつけられた俺であったが、彼に任せておけば倒せないモンスターなどいないと確信できた。もう何が出てきても「ベリサリウス様が全て単騎でやってくれます」と自信をもって回答出来るよ。

 彼は今日もローマ周辺の狩りに出かけるそうだ。いずれローマ周辺に危険なモンスターはいなくなると思う。そうなれば狩りのリスクは相当低減するだろう。
 これに加え、リザードマンの畜産技術が加われば食料事情は改善し、より多くの人口を支えられるようになる。

 しかし、俺はどうしても実現したいことがある。狩猟と畜産だけでは食料の「安定」供給にはやはり弱い。ローマに定住する限りは、拠点を変えつつ狩猟するわけにはいかないからね。
 となると、二十一世紀の日本出身なら誰でも思いつく「農耕」を実現したいところなんだけど......今のところ農耕を行っている亜人に会ったことが無い。

 もちろん街になり、人口が今後増えていく為には他にもいろいろ課題はある。上下水道も何とかしたいし、街を管理する組織や警備組織の構築も行いたい。残念ながら俺には全くノウハウが無いから、誰か出来る人物を捜す必要もあるというわけだ。
 俺に出来ることは、会う人にこういったことが出来る人材がいるのか聞くことくらいしか......

 周辺に住む亜人のうち接触してないのは残り二種族――犬耳族とダークエルフだ。
 ダークエルフについては同じ種族のエリスにコンタクトを取ってもらっているので、残る犬耳族だが、ローマにいる犬耳族を頼ってみようと思う。
 猫耳族の時に感じたことだけど、わざわざ集落まで行って話をする前に、ローマに居る同族の者に、一度聞いたほうがはやいと思ったからだ。


 犬耳族の人を捜しに周囲を見渡すと、小鬼の村の亜人が家族ごとに集まって作業をしているのが見て取れた。昨日村民は全てローマへ移動を完了し今朝から簡易住居を建築しはじめている。
 雨風を一時的に凌げる場所が出来たらいよいよ本格的に街の建設が始まることになるだろう。

 ローマは「開けた土地」にあるし、まだ家が建築されていないので非常に見通しが良い。なので、すぐ犬耳族の亜人は目に入った。

「おはようございます。ワオンさんにお願いしたいことが」

 ワオンは犬耳族の男性で、オーガ殲滅作戦の時にご一緒した仲だ。シベリアンハスキーそっくりの顔と筋肉質で大柄な体は、戦士にうってつけの人だと思う。アイスブルーに茶色の瞳孔の目が俺のお気に入りなことは秘密にして欲しい。
 シベリアンハスキーってほんとカッコいいよね。本人の前では言えないけど。

「プロコピウス殿、いかがいたした?」

「実はですね。ローマに来ていただける同族の方がいないか相談を」

「なるほど。今ローマでは人材不足です。私から犬耳族へ声をかけましょう」

「ほんとですか! 助かります。ローマはきっと安全な狩猟が出来る街になるはずです。そういったところもお伝えしていただき、ぜひローマへ」

「そうですな。ベリサリウス様が次々にモンスターを討伐して下さってます。安全な狩猟は私たちにとっては得難いものですからね」

「犬耳族の特徴みたいなところを教えていただいても構いませんか?」

「もちろんです。私たち犬耳族は、走力と持久力に優れています。瞬発力はそこまでありませんが」

「なるほど。スタミナと走力は得難い才能ですね。来てくださることが楽しみです!」

「プロコピウス殿がそうおっしゃってたと知ると、彼らは飛び上がらんばかりに歓喜するでしょう」

 武人ぽいしゃべり方をするシベリアンハスキー顔のワオン。俺の言葉で歓喜するとかリップサービスも甚だしいような......そこはベリサリウスにしておこうよ。
 ここでちょうどエリスが俺を手招きしている姿が見えたので、ワオンに礼を言ってから、俺はエリスの元へと歩を進める。


◇◇◇◇◇


 突然ですが、今飛龍に乗って空の上に居ます。俺の前にはエリスさんが、肩の上にはティンが乗っかっております。
 エリスが飛龍を操作できるのでこの体制でダークエルフの村へ向かっている。ワオンとの会話を終え、エリスに手招きされた俺は「ダークエルフがあなたに会うって」との一言だけで、そのまま飛龍に連れていかれて、準備がいいことにティンが飛龍の前で待っていた。

「エリスさん、ティンと飛龍はどうしたんです?」

「ベリサリウス様が狩りに出かける前に聞いておいたのよ。あなたをダークエルフの村へ連れて行っていいかとね」

「なるほど。しかしティンは?」

「あなたいつもティンを連れているでしょう。気に入ってるんでしょ? あと一人は誰でもよかったから。いつも肩車して何を楽しんでるんでしょうね。太ももがいいの?」

「えええ? そうだったんですか!」

 エリスと俺の会話に突然割り込んでくるティン。彼女の太ももが左右に少し揺れている。これはモジモジしてると言えばいいのか......

「違いますよ! ティンはもしもの時の為に肩車してるんです」

「そうですよね! ピウス様! 深い考えがあってのことなんですよね! よかった!」

「ま、まあいいわ。話は戻るけど、あなただけならダークエルフの族長が会うって言ったのよ」

「ベリサリウス様でなく、俺なんですか?」

「ええ、そうよ。あなたになら会うと」

「それはものすごく不思議ですね。ベリサリウス様ではなく俺ってのが」

「あなた自覚ないと思うんだけど、ダークエルフにとってはあなたのほうがベリサリウス様より異常よ」

「えええ! 何故ですか?」

「それは族長から聞くといいわ。まあ、異常故に興味を引かれたんでしょうね」

 ううん。一体俺に何があるんだろう。エリスは今俺に何を見ているんだろう。非常に気になるが、ダークエルフの族長に会えば分かる話だ。急がず待とう。
 その後、エリスにティンのことでいじられているとローマ上空から薄っすらと確認できた湖が近くなって来る。
 ダークエルフの村はもう目前だ。

「そういえば、エリスさん。飛龍とティンは村に入れるんですか?」

「外で待機と言いたいところだけど、あなたの大事なティンと貴重な飛龍は一応村に入れることになったわ」

 エリスは「大事なティン」って部分をことさら強調していたが、俺は努めて平静を装い「了解です」と答える。
 「つまらない男ね」ボソッとエリスが呟いたのが俺には聞こえてしまった......
 ほっておいてくれよ。俺のことは!



 到着したダークエルフの村は、これまで俺が訪れた村とは文化程度が隔絶していた。丸太を中心に作成したログハウス風の家は、一階に当たる部分が高床になっており、階段で登り扉をあける造りで、何と二階部分がありそうな高さをしている。
 レンガを敷き詰めた道の先には噴水と公園があり、飛龍が着陸できるスペースがこの辺りにある。噴水のある公園には、木製のベンチやバーゴラが置いてあり周囲に街路樹のような木が生い茂っていた。
 さらに、噴水には二本の街灯らしきものまで見ることが出来た。どのような仕組みで光ってるのか謎だが、街灯風の四角く削り出された銀色の柱の先はぼんやりと光っていたんだ。

 村の外観を見ただけで、既にダークエルフは他と隔絶していることは予想がつく。彼らを引き込むことができれば、ローマに文化革命を起こすことができるだろう。
 是が非でも、ダークエルフ族長との会談を成功させたい。そうはいっても一番優先することは「農耕」だ。そこは忘れないようにしないと。

 先ほどからティンの表情が巡るましく変わり、ダークエルフの村に感嘆している様子から見るに、ダークエルフの村にある文化レベルは、他を圧倒しているという予想に間違いはないと思う。

 先導するエリスの先にはひときわ大きなログハウスが見えて来た。ここがダークエルフの族長の家なのだろうか。いよいよだ。
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