無双将軍の参謀をやりながら異世界ローマも作ってます

うみ

文字の大きさ
44 / 167

44.飛龍の捕獲

しおりを挟む
 ティンとロロロのコンビに俺は癒されるのだが、今回は役目が役目だけにピクニック気分を味わえんぞ。
 飛竜はもちろん道中で会うかもしれないモンスターも、俺にとっては脅威に尽きる。イノシシがいるか分からないけど、俺ならイノシシどころか狼でも余裕で死ねる。

 ハア......どうしよう。

 先ほど俺にと小鬼族から貰い受けた片手剣を鞘から出し眺めて見るが、剣の振り方もわからん! 
 剣は片刃で刀身が厚めにつくられている。剣は先ほどチラリと見た通り、切れ味より頑丈さを重視したつくりになっていた。
 じゃあ少し振ってみるか、俺が剣を握りしめた時――

「プロコピウス様!剣を手に入れられたのですね!」

 おおっと。ティンが呼びに来てしまった。彼女に剣を振るところを見られなくてよかった......
 俺は無言で剣を腰に吊った鞘にしまい込み、彼女に片手をあげて応じた。

「小鬼族からさっきついでにと貰ったんだよ。ほら、あの時の冒険者への報酬」

「なるほど! 一緒につくって貰ったんですね! これでピウス様も戦えますね」

「あ、ああ」

 あっても無くても同じだよ。って言えたらどんだけ良いか。今更言えぬ、言えぬのだ。
 ティンの笑顔が俺には眩し過ぎる。きっと俺の剣さばきを想像してるんだろうなあ。か、帰りたい。

「ピウス様! 剣を振らないんですか?」

 キラキラした目で俺を見つめてくるティンに俺の表情は固まってしまった。さっき剣を構えていたのを見られていたんだなあ......

「いや、今はロロロと飛龍のところへ向かおう。呼びに来てくれてありがとうな」

 俺はティンの頭を撫でて彼女の気を剣から逸らし、飛龍の元へ向かうのだった。ティンは「えへへ」とか言ってたから剣の事なんて忘れているだろう。そうだ。そのまま忘れてくれ。


◇◇◇◇◇


 ロロロに御者をティンは俺が肩車をしたいつもの体制で、俺達は飛龍に乗り空を飛んでいた。ロロロに聞いたところ飛龍は山岳部に住んでいるそうだ。

「ロロロ、飛龍は山に居ると聞いたけどハーピー達がいる山脈なのか?」

「ああ。あの山は広い。飛龍の巣もあれば、離れて暮らす飛龍もいる」

「なるべく安全に行くなら、どっちがいいんだ?」

「確実なのは飛龍の巣。だが喰われることもある。単独で動いている飛龍は行動が極端」

「友好的か敵対的かがハッキリしてるってことか」

「ああ」

 ううむ、飛龍と戦闘して俺単独で生き残れる可能性はゼロだ。どう考えても勝てない。それどころか逃げ切るのも無理に違いない!
 ティンやロロロを盾にして逃げることはありえないし、彼らが飛龍と戦って無事で済むとは思えないよ。飛龍の鱗は硬く、剣を振り下ろしても簡単に弾かれてしまう。ベリサリウスがやったように超人的な技術で目から脳天を貫くか、ベリサリウス流斬鉄剣で切り裂くかできれば対抗できるが、できるわけないだろ!
 その前に飛龍の爪か炎でお陀仏終了だ。

 ロロロもティンも俺に判断をゆだねてくれるが、飛龍と戦闘しても大丈夫とか思ってないだろうな? あ、思ってるよな。飛龍と戦闘する危険性を分かっていて彼らを連れて来てるんだから、当然何かあればプロコピウスが何とかすると。

 選択肢はただ一つ。これしかない。

「単独で動いている飛龍を捜そう。友好的かどうかは遠目でも分かるのか?」

「遠くから笛を吹く。それで分かる」

「なるほど。敵対的であれば逃げるか」

「倒さないのか?」

「飛龍はなるべく殺したくないんだ。飛龍の数が減れば、番いとなって子供の生まれる数も減るだろ?」

「なるほど。ピウスは考えが深い。感心する」

 ロロロは俺の考えに感服したようで、尻尾をビタンビタンしている。最もらしい言い訳をしたが、もちろん戦闘回避の為に他ならない。これが後にリザードマンの間で有名な話になってしまい、彼らから飛龍に対する考えの深さを称えられ、俺の羞恥心がガンガン刺激されてしまうことになるのだが......ただの自己保身だったんだよ! 
 俺はまた一つ勘違いを作ってしまったらしい......永遠に俺の心の中にしまう案件だが。

「しかし山脈はリッチといい、先日のサイクロプスといい災害級モンスターが多いな」

「山脈以外にもたくさんいますよ! ベリサリウス様が多数討伐されてますけど!」

 ティンがベリサリウスの功績を称える。俺が来る前にも災害級モンスターを彼は討伐していたのかもしれない。
 山脈は旧小鬼村からだと離れているから、ベリサリウスの足跡が及んでないだけだったりして......となるとダークエルフや犬耳族の村も小鬼の村から離れているからまだまだ災害級のモンスターが居そうだな......
 魔の森はヘルモード過ぎるぜ。

「確かに。この前のヒュドラとかもそうだよな」

「はい! あの時はピウス様もカッコよかったです!」

 ヒュドラの時は漏らしそうだったよ......突然スカイダイビングだったものなあ。ティンは嬉しそうに語っているが、あの時のことは俺、思い出したくないよ。

「じゃあ、ロロロ。頼んだぞ。休憩を入れながらゆっくり捜そう」

「ああ」

 こうして俺達は山脈を空から眺めながら、飛龍を捜すことにしたのだった。


◇◇◇◇◇


 俺達が訪れたのは山脈西方の中腹付近になる。ハーピーの村は東側の下腹部付近だから、徒歩でハーピー村に行くとすれば丸一日近くかかる距離だ。この辺りはまばらに木が生えており支配的な植物は背の高い雑草だった。
 木が少ない為、上空からの観察も容易でロロロに全て任せて飛龍の捜索を開始する。

――飛龍を一匹発見した。

 どうやら食事中らしく、仕留めた大型の鹿に口をつけている。飛龍のサイズは十五メートルあるので、大型の鹿が非常に小さく見えてしまう。俺はロロロに目くばせすると、彼は懐から細長いプールサイドでライフセーバーが持っているような小さな笛を取り出すと口にくわえ、大きく息を吸い込み音を鳴らす。
 音自体俺には聞こえないが、飛龍やロロロには聞こえているようで、飛龍が笛の音に反応したようだ!

「どうだ。ロロロ?」

「ダメだ。逃げる」

 って、飛龍が息を吸い込んでるぞ。

――火の玉が飛んでくる!

 ロロロが飛龍を旋回させなんとか火の玉をやり過ごすと、俺達は一目散にこの場を立ち去った。怖い! 心臓が止まるかと思ったぜ。
 その後数度試してみるものの、全て失敗。どうやら本日の飛龍はご機嫌斜めな奴が多いらしい。

「すまん」

 ロロロが俺に謝罪して来たけど、彼に非は無い。

「いや、俺が頼んだことなんだ。悪いのは俺のほうだよ」

「次行こう」

「ああ。じっくり行こう。ロロロ」

 ロロロは気を取り直し、飛龍の手綱を握る。その時だ。

<騒がしい奴らだね>

 俺の頭に声が響く。慌てて周囲を見渡すも誰も見当たらない。声の主はどこから声をかけているんだ? 少なくとも今いる空の上ではない。

「誰だ?」

<全く、もう少し上手く捕まえないものかね?>

「俺の声が聞こえてるのか?」

<聞こえているとも。だからこうやって会話が成立しているだろう?>

「俺達に何か用なのか?」

<あまりにへたくそだったものだから、つい声をかけてしまっただけだよ。敵意はない>

「俺達は見ての通り飛龍を捕まえに来ただけだ。特に君に迷惑をかけてないと思うんだけど」

<ああ。そうだね。さっきも言ったが、君らの下手さ加減が面白くてね。それで興味が出たってわけだ>

「一体、君は何者なんだ?」

<僕かい? 僕はエルラインという者だよ。そうだね。君たちはリッチと呼んでいるのかな?>

 何と声の主はリッチだった!
しおりを挟む
感想 20

あなたにおすすめの小説

おばちゃんダイバーは浅い層で頑張ります

きむらきむこ
ファンタジー
ダンジョンができて十年。年金の足しにダンジョンに通ってます。田中優子61歳

異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!

椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。 しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。 身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。 そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!

地味な薬草師だった俺が、実は村の生命線でした

有賀冬馬
ファンタジー
恋人に裏切られ、村を追い出された青年エド。彼の地味な仕事は誰にも評価されず、ただの「役立たず」として切り捨てられた。だが、それは間違いだった。旅の魔術師エリーゼと出会った彼は、自分の能力が秘めていた真の価値を知る。魔術と薬草を組み合わせた彼の秘薬は、やがて王国を救うほどの力となり、エドは英雄として名を馳せていく。そして、彼が去った村は、彼がいた頃には気づかなかった「地味な薬」の恩恵を失い、静かに破滅へと向かっていくのだった。

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)

みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。 在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。

ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。 食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。 もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。 ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。 ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。

Sランクパーティを引退したおっさんは故郷でスローライフがしたい。~王都に残した仲間が事あるごとに呼び出してくる~

味のないお茶
ファンタジー
Sランクパーティのリーダーだったベルフォードは、冒険者歴二十年のベテランだった。 しかし、加齢による衰えを感じていた彼は後人に愛弟子のエリックを指名し一年間見守っていた。 彼のリーダー能力に安心したベルフォードは、冒険者家業の引退を決意する。 故郷に帰ってゆっくりと日々を過しながら、剣術道場を開いて結婚相手を探そう。 そう考えていたベルフォードだったが、周りは彼をほっておいてはくれなかった。 これはスローライフがしたい凄腕のおっさんと、彼を慕う人達が織り成す物語。

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた

黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。 その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。 曖昧なのには理由があった。 『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。 どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。 ※小説家になろうにも随時転載中。 レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。 それでも皆はレンが勇者だと思っていた。 突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。 はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。 ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。 ※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。

処理中です...