15 / 31
15.はや一週間
しおりを挟む
――七日目。
朝日はまだ昇っていないけど、空が白みはじめている。もうすぐ朝かなあ。夜に止んだ雨も再び振り出すことなくこの分だと晴れ間が見えそうだ。
謎の転移でこの島に来てからはや一週間になる。はじめはどうなることかと思ったけど、一応生きていくことができているのだから、今のところ順調と言えるだろう。
季節があるのか不明だけど、寒い冬になれば魚だけが頼りになるかもしれない。果物はともかく、どんぐりとか保管しておける木の実は集めておくとしようか。
再び寝るのも微妙な時間だ。ニーナは横向きになって体を丸めスヤスヤと眠っている。
はだけていた布団を彼女にかけようとして、ふと思い立つ。
腰から下を隠すようにして布団を被せてみると、ほお、なかなか良いじゃないか。
こうして寝ていると女優顔負けの整った顔立ちをしているよな。薄紫の髪も人間だと有り得ない色なのだけど、彼女の可愛さを損なうどころか引き出させている。
スレンダーな体つきは僕好みだ。貝殻ブラジャーしか纏っていないので、肩口なんて丸見えだ。
意識するとうなじから鎖骨にかけてのラインにドキリとする。僅かながら膨らんだ胸が目に入り、思わず視線をそむけた。
そこで、昨日の儀式の時の彼女を思い出し、さっきまでのドキドキとした気持ちが完全に萎えてしまう。
これで、あの性格じゃあなければなあ。天は二物を与えずと言うが、残念でならない。
いたたまれない気持ちになった僕は気分転換に顔を洗おうと外に出る。
ヤカンに水をくべて、土鍋に移してバシャバシャと。冷たいな! 朝だからか、寝起きだからかこの冷たさが気持ちいい。
「くあ」
「お、パックもはやいな。水を使うか?」
首をハトのように上下に振るったカモメは僕の使っていた土鍋にどぼんと入る。
そのまま翼をバシャバシャやるもんだから、雫が顔に当たる当たる。
「そうだ。せっかくの時間だし」
どうせこの後朝食で火を使うわけだ。だったら、手間だけど火起こしをしてしまおう。
100円ライターではなくクラフトの特性を使って昨日使った焚火の跡を再利用して火をつける。
クラフトでやるとかなりラクチンなんだよね。コンロに火をつける……とまではいかないけど、燃やすものさえあれば大丈夫なんだ。
明るくなったところで、小屋の中に――。
戻ろうとしたらカピーの鼻先が扉から見えた。
「カピー。すごいな。僕のやろうとしていたことが分かっていたの?」
カピーは指南書を口に挟んでのたのたと外に出て来たのだ。
僕に渡すでもなく、地面に本を置くと顎をつけ寝そべってしまった。この辺はカピーらしい。胸がきゅんとする。
「あんちゃん、本を読むのか? おいらにも聞かせてくれよ」
「お、戻ったの?」
焚火の傍で本を開いたところ、後ろから少年姿のパックに声をかけられる。
彼はそう言って、僕の隣であぐらをかく。どこぞの人魚と違ってちゃんと服を着ているから大したものだ。
カモメの時は裸なのだけど、どうやって服を着ているのだろう? 魔法的な何かかも?
「どっちもおいらだよ」
「そっか。人型になったの? と言えばいいのかな?」
「うん。そんなところ。長い間は人型になっていられないんだ。お腹がすくし」
「それじゃあ、声に出して読むから一緒に読もうか」
こくりと頷き、白い歯を見せるパックは無邪気な少年のそのものだ。
どこぞの人魚にペースを乱されたが、本来、僕の暮らしはこんなノンビリした空気が流れていた。
上品な茶色の装丁がなされた指南書の表紙を撫でる。触れた感じ革ぽいのだけど、ザラザラしていなくてツルツルしているのだよな。
一体どんな素材でできているのだろう。
ペラリと表紙をめくり最初のページから読みあげ始める。
「『名もなき島へようこそ。白夜さん――』」
「あんちゃんの名前が書いているんだな! あんちゃんの知り合いが書いたの?」
「いや、誰なのか分からないんだよな」
「ふうん。そうなんだ。ごめん、いきなり止めちゃって!」
はははと笑い合い、再び最初から音読を始めた。
2ページ目までは前回読んだ時と同じ記憶だ。ところが、3ページ目に変化があった。
『現在のところ、本島にいる「人間族」はあなた一人ですが、「他にも知的種族が」住んでいます。
本島の初期配置は絶海の孤島状態になります。
ですが、本島は移動できます。
七つの海を制覇し、あなたの願いを叶えてください。
その時まで首を長くしてお待ちしております。
ボンボヤージュ』
内容が書き換わっていることに対し、今更驚かない。海の書と島の書はリアルタイムで書きこみがされるものな。
定期的に指南書も確認した方がいいか。新たな発見だぞ。
「他にも……ってパックとニーナのことだよな」
「そうなのかな? すごいじゃないか! あんちゃん。おいらも七つの海を旅したいぜ」
「先に住環境とか日用品とかを揃えようと思ってさ。まだ浜辺と磯、あとは昨日行った辺りしか探検してないんだよ」
「そうなんだ! おいら、空から見て来てもいいよ。でも、あんちゃんと一緒に歩くのもいいな」
「空を飛んでここまで来たんだよな?」
「うん。そうだけど、ちゃんと見てはいないよ。浜辺が見えて、これなら魚でもとれるかなってすぐに降りちゃったんだ」
「へえ。じゃあ、一緒に探検しようか。空からも頼むかも」
「任せて! どこにあるんだろうな。そのレバーってやつ。島が動くなんてワクワクする!」
「よっし、それじゃあ、食べながらいつもと違う方向に行ってみようか」
「うん!」
籠に詰め込んだままだったコケモモとクルミをカピーに与え、自分はスモモをかじる。
パックは釣りで獲れた15センチくらいのマハゼとメゴチの丸焼きを頭からむしゃむしゃと食べていた。
せっかくなので、ガチャでゲットした石鹸で手を洗い、カモメの姿に戻ったパックと共に小屋を離れることにしたのだった。
「おっと。忘れてた。カピー。行ってくるね。夜までには戻るよ。お腹がすいたら籠の中のものを食べていいからね」
「もぐもぐ……きゅ」
しゃがんでカピーの頭を撫で、今度こそ動き出す。
ちょうどその頃、朝日が昇り始めていたのだった。
「小屋を背に真っ直ぐ進むと浜辺。右手に行くと採集場所だから、左手に行ってみようか」
「くあ」
ん、カモメ姿のパックが僕のズボンをツンツンしている。
何だろう。
「大丈夫だよ。パック。ちゃんと焚火は土をかけて消してきた」
「くああ」
声をかけるとパックは前を向き、のっしのっしと僕のすぐ前を歩きだす。
火事になったら大変だものな。火元には細心の注意を払わないとね。忘れ物はないぜ。
島の書に籠にズタ袋まで用意している。中には黒曜石のナイフとロープもちゃんと持ってきているさ。
朝日はまだ昇っていないけど、空が白みはじめている。もうすぐ朝かなあ。夜に止んだ雨も再び振り出すことなくこの分だと晴れ間が見えそうだ。
謎の転移でこの島に来てからはや一週間になる。はじめはどうなることかと思ったけど、一応生きていくことができているのだから、今のところ順調と言えるだろう。
季節があるのか不明だけど、寒い冬になれば魚だけが頼りになるかもしれない。果物はともかく、どんぐりとか保管しておける木の実は集めておくとしようか。
再び寝るのも微妙な時間だ。ニーナは横向きになって体を丸めスヤスヤと眠っている。
はだけていた布団を彼女にかけようとして、ふと思い立つ。
腰から下を隠すようにして布団を被せてみると、ほお、なかなか良いじゃないか。
こうして寝ていると女優顔負けの整った顔立ちをしているよな。薄紫の髪も人間だと有り得ない色なのだけど、彼女の可愛さを損なうどころか引き出させている。
スレンダーな体つきは僕好みだ。貝殻ブラジャーしか纏っていないので、肩口なんて丸見えだ。
意識するとうなじから鎖骨にかけてのラインにドキリとする。僅かながら膨らんだ胸が目に入り、思わず視線をそむけた。
そこで、昨日の儀式の時の彼女を思い出し、さっきまでのドキドキとした気持ちが完全に萎えてしまう。
これで、あの性格じゃあなければなあ。天は二物を与えずと言うが、残念でならない。
いたたまれない気持ちになった僕は気分転換に顔を洗おうと外に出る。
ヤカンに水をくべて、土鍋に移してバシャバシャと。冷たいな! 朝だからか、寝起きだからかこの冷たさが気持ちいい。
「くあ」
「お、パックもはやいな。水を使うか?」
首をハトのように上下に振るったカモメは僕の使っていた土鍋にどぼんと入る。
そのまま翼をバシャバシャやるもんだから、雫が顔に当たる当たる。
「そうだ。せっかくの時間だし」
どうせこの後朝食で火を使うわけだ。だったら、手間だけど火起こしをしてしまおう。
100円ライターではなくクラフトの特性を使って昨日使った焚火の跡を再利用して火をつける。
クラフトでやるとかなりラクチンなんだよね。コンロに火をつける……とまではいかないけど、燃やすものさえあれば大丈夫なんだ。
明るくなったところで、小屋の中に――。
戻ろうとしたらカピーの鼻先が扉から見えた。
「カピー。すごいな。僕のやろうとしていたことが分かっていたの?」
カピーは指南書を口に挟んでのたのたと外に出て来たのだ。
僕に渡すでもなく、地面に本を置くと顎をつけ寝そべってしまった。この辺はカピーらしい。胸がきゅんとする。
「あんちゃん、本を読むのか? おいらにも聞かせてくれよ」
「お、戻ったの?」
焚火の傍で本を開いたところ、後ろから少年姿のパックに声をかけられる。
彼はそう言って、僕の隣であぐらをかく。どこぞの人魚と違ってちゃんと服を着ているから大したものだ。
カモメの時は裸なのだけど、どうやって服を着ているのだろう? 魔法的な何かかも?
「どっちもおいらだよ」
「そっか。人型になったの? と言えばいいのかな?」
「うん。そんなところ。長い間は人型になっていられないんだ。お腹がすくし」
「それじゃあ、声に出して読むから一緒に読もうか」
こくりと頷き、白い歯を見せるパックは無邪気な少年のそのものだ。
どこぞの人魚にペースを乱されたが、本来、僕の暮らしはこんなノンビリした空気が流れていた。
上品な茶色の装丁がなされた指南書の表紙を撫でる。触れた感じ革ぽいのだけど、ザラザラしていなくてツルツルしているのだよな。
一体どんな素材でできているのだろう。
ペラリと表紙をめくり最初のページから読みあげ始める。
「『名もなき島へようこそ。白夜さん――』」
「あんちゃんの名前が書いているんだな! あんちゃんの知り合いが書いたの?」
「いや、誰なのか分からないんだよな」
「ふうん。そうなんだ。ごめん、いきなり止めちゃって!」
はははと笑い合い、再び最初から音読を始めた。
2ページ目までは前回読んだ時と同じ記憶だ。ところが、3ページ目に変化があった。
『現在のところ、本島にいる「人間族」はあなた一人ですが、「他にも知的種族が」住んでいます。
本島の初期配置は絶海の孤島状態になります。
ですが、本島は移動できます。
七つの海を制覇し、あなたの願いを叶えてください。
その時まで首を長くしてお待ちしております。
ボンボヤージュ』
内容が書き換わっていることに対し、今更驚かない。海の書と島の書はリアルタイムで書きこみがされるものな。
定期的に指南書も確認した方がいいか。新たな発見だぞ。
「他にも……ってパックとニーナのことだよな」
「そうなのかな? すごいじゃないか! あんちゃん。おいらも七つの海を旅したいぜ」
「先に住環境とか日用品とかを揃えようと思ってさ。まだ浜辺と磯、あとは昨日行った辺りしか探検してないんだよ」
「そうなんだ! おいら、空から見て来てもいいよ。でも、あんちゃんと一緒に歩くのもいいな」
「空を飛んでここまで来たんだよな?」
「うん。そうだけど、ちゃんと見てはいないよ。浜辺が見えて、これなら魚でもとれるかなってすぐに降りちゃったんだ」
「へえ。じゃあ、一緒に探検しようか。空からも頼むかも」
「任せて! どこにあるんだろうな。そのレバーってやつ。島が動くなんてワクワクする!」
「よっし、それじゃあ、食べながらいつもと違う方向に行ってみようか」
「うん!」
籠に詰め込んだままだったコケモモとクルミをカピーに与え、自分はスモモをかじる。
パックは釣りで獲れた15センチくらいのマハゼとメゴチの丸焼きを頭からむしゃむしゃと食べていた。
せっかくなので、ガチャでゲットした石鹸で手を洗い、カモメの姿に戻ったパックと共に小屋を離れることにしたのだった。
「おっと。忘れてた。カピー。行ってくるね。夜までには戻るよ。お腹がすいたら籠の中のものを食べていいからね」
「もぐもぐ……きゅ」
しゃがんでカピーの頭を撫で、今度こそ動き出す。
ちょうどその頃、朝日が昇り始めていたのだった。
「小屋を背に真っ直ぐ進むと浜辺。右手に行くと採集場所だから、左手に行ってみようか」
「くあ」
ん、カモメ姿のパックが僕のズボンをツンツンしている。
何だろう。
「大丈夫だよ。パック。ちゃんと焚火は土をかけて消してきた」
「くああ」
声をかけるとパックは前を向き、のっしのっしと僕のすぐ前を歩きだす。
火事になったら大変だものな。火元には細心の注意を払わないとね。忘れ物はないぜ。
島の書に籠にズタ袋まで用意している。中には黒曜石のナイフとロープもちゃんと持ってきているさ。
2
あなたにおすすめの小説
猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める
遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】
猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。
そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。
まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
うちの孫知りませんか?! 召喚された孫を追いかけ異世界転移。ばぁばとじぃじと探偵さんのスローライフ。
かの
ファンタジー
孫の雷人(14歳)からテレパシーを受け取った光江(ばぁば64歳)。誘拐されたと思っていた雷人は異世界に召喚されていた。康夫(じぃじ66歳)と柏木(探偵534歳)⁈ をお供に従え、異世界へ転移。料理自慢のばぁばのスキルは胃袋を掴む事だけ。そしてじぃじのスキルは有り余る財力だけ。そんなばぁばとじぃじが、異世界で繰り広げるほのぼのスローライフ。
ばぁばとじぃじは無事異世界で孫の雷人に会えるのか⁈
【完結】貧乏令嬢の野草による領地改革
うみの渚
ファンタジー
八歳の時に木から落ちて頭を打った衝撃で、前世の記憶が蘇った主人公。
優しい家族に恵まれたが、家はとても貧乏だった。
家族のためにと、前世の記憶を頼りに寂れた領地を皆に支えられて徐々に発展させていく。
主人公は、魔法・知識チートは持っていません。
加筆修正しました。
お手に取って頂けたら嬉しいです。
不倫されて離婚した社畜OLが幼女転生して聖女になりましたが、王国が揉めてて大事にしてもらえないので好きに生きます
天田れおぽん
ファンタジー
ブラック企業に勤める社畜OL沙羅(サラ)は、結婚したものの不倫されて離婚した。スッキリした気分で明るい未来に期待を馳せるも、公園から飛び出てきた子どもを助けたことで、弱っていた心臓が止まってしまい死亡。同情した女神が、黒髪黒目中肉中背バツイチの沙羅を、銀髪碧眼3歳児の聖女として異世界へと転生させてくれた。
ところが王国内で聖女の処遇で揉めていて、転生先は草原だった。
サラは女神がくれた山盛りてんこ盛りのスキルを使い、異世界で知り合ったモフモフたちと暮らし始める――――
※第16話 あつまれ聖獣の森 6 が抜けていましたので2025/07/30に追加しました。
異世界もふもふ食堂〜僕と爺ちゃんと魔法使い仔カピバラの味噌スローライフ〜
山いい奈
ファンタジー
味噌蔵の跡継ぎで修行中の相葉壱。
息抜きに動物園に行った時、仔カピバラに噛まれ、気付けば見知らぬ場所にいた。
壱を連れて来た仔カピバラに付いて行くと、着いた先は食堂で、そこには10年前に行方不明になった祖父、茂造がいた。
茂造は言う。「ここはいわゆる異世界なのじゃ」と。
そして、「この食堂を継いで欲しいんじゃ」と。
明かされる村の成り立ち。そして村人たちの公然の秘め事。
しかし壱は徐々にそれに慣れ親しんで行く。
仔カピバラのサユリのチート魔法に助けられながら、味噌などの和食などを作る壱。
そして一癖も二癖もある食堂の従業員やコンシャリド村の人たちが繰り広げる、騒がしくもスローな日々のお話です。
神様の忘れ物
mizuno sei
ファンタジー
仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。
わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる