2 / 35
2.ブローチを探すの
しおりを挟む
チハルの小さな体では大人の足の二倍ほどの時間がかかる。探索者ギルドから高台の上にある展望台までは大人の足でも30分ほどの距離にあった。
彼女が展望台に到着した時には太陽が真上に差し掛かろうとしている頃となる。
展望台の周囲は落ちないように木製の柵があり、街を一望できるこの場所は警備兵の巡回場所の一つとなっていた。
お昼時だからか、高台にはチハル以外の姿はない。
「ブローチ。どこかな?」
チハルは「ブローチを探す」ことは紙面で読んだが、どんなブローチでどの辺りで落としたのかを聞いていなかった。
これでは何を探せばいいのか分からない。しかし、彼女は困った風でもなく、展望台を見上げ「おお」とノンビリとした声を出す。
そこで、柵の向こう側からひょっこりトンガリ頭が見え隠れした。
誰だろう?
とてとてと柵のところまで歩いたチハルがしゃがみ込もうとしたところで、トンガリ頭が「うわあ」と驚きの声をあげ柵に手をかけて登って来る。
トンガリ頭はチハルと同じくらいの歳に見える少年で、じっと見つめてくるチハルから顔を逸らし鼻を指先でさすった。
「何だよ。お前」
「ブローチ、探しているの」
「え? お前もブローチを探しているのか?」
「うん! これ!」
少年に依頼の紙を見せると、彼は「これ」と目を見開く。
「母ちゃんの字だ。母ちゃんがお前に依頼したのかよ」
「お前じゃないよ。チハルだよ」
「すまん。母ちゃんもまずは自己紹介からって言ってた。俺はアクセル。よろしくな」
「うん!」
「自己紹介の後は握手をするんだ」と過去に教えてくれたことをちゃんと覚えているチハルは、アクセルの手を両手で握り、ぶんぶんと手を振る。
「な、なんだよ」と頬を赤くした彼はパッと彼女から手を離した。
チハルはと言えば、「ん」と顎を少しあげ何やら思いついた様子。
「そうだ。アクセルくん。ブローチってどんなのなの?」
「そこからかよ。よく探そうとしたな」
「えへへ」
「実は母ちゃんのブローチはもう見つけたんだ」
「だけどよ」と言いながら、アクセルが手すりに手をかけ下を覗き込む。
チハルも彼の真似をして踵をあげて体を前のめりにする。彼女の動きが危なっかしかったからか、アクセルが慌てて彼女を支えた。
「落ちたらただじゃすまないぞ。ほら、あそこ。取ろうと思ったんだけど、あの崖じゃあなあ」
「大丈夫だよ。わたしに、ううん」
チハルが顔をあげた目線の先には空を飛ぶカラスの姿が。
切り立った崖であってもカラスにとっては容易い事である。
「クラーロ。あれだよ!」
「くあああ!」
分かったとばかりに力強く鳴いたカラスのクラーロが一直線にキラリと光るブローチを足で掴む。
クルリと弧を描いた彼はチハルの足もとに降り立った。
「やったー。クラーロ、ありがとう」
『俺なら簡単なお仕事だ』
チハルは得意気に嘴をあげるクラーロの頭を撫でる。
続いてその場でしゃがみ込んだ彼女はブローチを拾い上げ、それにはめ込まれた鮮やかな青色の輝きに「わあ」と簡単の声を漏らした。
光に当たるとキラキラと輝くその石は彼女も良く知っている石だ。
「はい」
「助かったよ。この石、綺麗だよな。ラブラトライトって石に似ているんだけど、別物なんだってよ」
「うん。それは魔晶石だよ」
「へえ。チハルも知ってたんだな。すげえ高い石らしくてよ。母ちゃんが血相変えてた」
「見つかってよかったね!」
「だな!」
えへへと笑うチハルとへへんと笑うアクセルの声が重なった。
ひとしきり笑った後、アクセルが彼女を誘う。
「家まで来るか? 母ちゃんから依頼を受けたんだよな?」
「ううん。明日にお店まで行くね」
「お。店の場所を知っているんだな。分かった。母ちゃんに言っとくよ」
「うん!」
アクセルの母が経営する魔道具屋はチハルの住処からもそう遠くはない。
探索者ギルドでリンゴを売った後に少し遠回りすれば、寄って帰宅することだってできる場所だ。
「でも、今日はソルたちが待っているから」とチハルの脳裏に涎を垂らした豹の姿が映る。
◇◇◇
チハルの住む内陸都市「ザパン」は別名「迷宮都市」とも呼ばれていた。
元は炭鉱街だったのだが、巨大な古代遺跡が地下に埋まっていることが分かり、今では多くの探索者が集まる街として有名になっている。
この古代遺跡は他とは隔絶した規模を持っていた。そのため、この古代遺跡はザ・ワンや大迷宮と呼ばれることもある。
チハルの家は、ザパンの城壁の中にはない。
城壁の外は廃鉱がある北側と別の街へ続く街道がある南側と西側。東側はすぐに深い山脈となるため、切り開かれていなかった。
彼女の住処はというと、廃鉱の東側の裏手にある小さな小屋である。長い間、空き家になっていた家で、チハルと彼女の「おともだち」の手で住めるように整備済みだ。
膝下くらいまでの草が一面に生い茂り、小屋に続く細い道の部分だけが整備されている。
チハルはその道ををてくてくと歩いて行く。
地面を踏みしめる小さな音に気が付いたのか、小屋の裏手から黒い影が飛び出してきて一直線にチハルへ向かって駆けてくる。
黒い影は豹に似た姿をしていた。しかし、その大きさは虎より二回りほど大きい。
「ソル―」
「グルル……」
チハルに飛び込んできた黒豹ことソルが喉を鳴らす。チハルは両手を広げて彼の首筋に抱き着き、ポンポンとふかふかの黒い毛に右の手の平を埋めた。
「くああ」とカラスのクラーロも空から舞い降り、ソルの頭の上に乗っかる。
クラーロが頭に乗ってもソルは嫌な顔もせず、逆に目を細め彼に「おかえり」と行っているようだった。
チハルがソルのふかふかの毛皮から体を離すと、ソルが首を下げ両前脚を少し屈める。
しかし、彼女は「ん」と小首をかしげ、歩き出そうとした。
するとソルがチハルを救い上げるようにして持ち上げ自分の背に乗せる。
「おうちが目の前だよ」
「グルルル」
チハルを背に乗せたソルは首をあげ、彼女の様子を窺っているようだった。
「うん。お散歩しよう!」
バスケットをその場に転がしたチハルがソルの首に覆いかぶさる。
ソルは嬉しそうに吠え、一面に広がる草原を駆け出した。
グングンあがるスピードにチハルの長いプラチナブロンドの髪がなびく。
ちゃっかりクラーロもソルの首元に掴まって風を楽しんでいるようだった。
「はやいね、ソル!」
金色の目を細め、チハルがんんんと可愛らしく息を吐く。
しばらく草原を駆けたソルはバスケットを口で咥え、小屋の前でチハルを降ろす。
グルオオオと吠えた彼は、獲物を狩りにあっというまに見えないところまで駆けて行った。
「ただいまー」
カラスを肩に乗せ小屋に入ったチハル。しかし、小屋の中には誰もいない。
小屋の中は仕切りがなく、小さなベッドとタンスにテーブル、あとは食糧の保管用であろう箱とキッチンだけとシンプルなものだった。
テーブルの上に置いたバスケットには布が被せてあり、ちょこんと椅子に座ったチハルがそれを摘まんで脇に置く。
バスケットの中には丸いパンが入っていて、これがチハルの昼食となる様子。
彼女はパンといくつかのフルーツにたっぷりのバターとジャムを乗せて、満足気に微笑む。
昼食を楽しんだ彼女は、ゴクゴクと牛乳を飲んでから小屋の外に出た。
んーと伸びをしたチハルはてくてくと歩き始める。向かう先は探索者ギルドだ。
「お仕事あるかなー」
のんびりと一人呟いた彼女は夕焼け空が広がる草原を進んで行く。もう間もなく街の入口に差し掛かろうとしていた。
「こんばんわ!」
探索者ギルドに入った彼女は中にいる人全員に向けて挨拶をする。
そんな彼女に真っ先に向かったのはハゲ頭のいかついギルドマスターだった。
彼女が展望台に到着した時には太陽が真上に差し掛かろうとしている頃となる。
展望台の周囲は落ちないように木製の柵があり、街を一望できるこの場所は警備兵の巡回場所の一つとなっていた。
お昼時だからか、高台にはチハル以外の姿はない。
「ブローチ。どこかな?」
チハルは「ブローチを探す」ことは紙面で読んだが、どんなブローチでどの辺りで落としたのかを聞いていなかった。
これでは何を探せばいいのか分からない。しかし、彼女は困った風でもなく、展望台を見上げ「おお」とノンビリとした声を出す。
そこで、柵の向こう側からひょっこりトンガリ頭が見え隠れした。
誰だろう?
とてとてと柵のところまで歩いたチハルがしゃがみ込もうとしたところで、トンガリ頭が「うわあ」と驚きの声をあげ柵に手をかけて登って来る。
トンガリ頭はチハルと同じくらいの歳に見える少年で、じっと見つめてくるチハルから顔を逸らし鼻を指先でさすった。
「何だよ。お前」
「ブローチ、探しているの」
「え? お前もブローチを探しているのか?」
「うん! これ!」
少年に依頼の紙を見せると、彼は「これ」と目を見開く。
「母ちゃんの字だ。母ちゃんがお前に依頼したのかよ」
「お前じゃないよ。チハルだよ」
「すまん。母ちゃんもまずは自己紹介からって言ってた。俺はアクセル。よろしくな」
「うん!」
「自己紹介の後は握手をするんだ」と過去に教えてくれたことをちゃんと覚えているチハルは、アクセルの手を両手で握り、ぶんぶんと手を振る。
「な、なんだよ」と頬を赤くした彼はパッと彼女から手を離した。
チハルはと言えば、「ん」と顎を少しあげ何やら思いついた様子。
「そうだ。アクセルくん。ブローチってどんなのなの?」
「そこからかよ。よく探そうとしたな」
「えへへ」
「実は母ちゃんのブローチはもう見つけたんだ」
「だけどよ」と言いながら、アクセルが手すりに手をかけ下を覗き込む。
チハルも彼の真似をして踵をあげて体を前のめりにする。彼女の動きが危なっかしかったからか、アクセルが慌てて彼女を支えた。
「落ちたらただじゃすまないぞ。ほら、あそこ。取ろうと思ったんだけど、あの崖じゃあなあ」
「大丈夫だよ。わたしに、ううん」
チハルが顔をあげた目線の先には空を飛ぶカラスの姿が。
切り立った崖であってもカラスにとっては容易い事である。
「クラーロ。あれだよ!」
「くあああ!」
分かったとばかりに力強く鳴いたカラスのクラーロが一直線にキラリと光るブローチを足で掴む。
クルリと弧を描いた彼はチハルの足もとに降り立った。
「やったー。クラーロ、ありがとう」
『俺なら簡単なお仕事だ』
チハルは得意気に嘴をあげるクラーロの頭を撫でる。
続いてその場でしゃがみ込んだ彼女はブローチを拾い上げ、それにはめ込まれた鮮やかな青色の輝きに「わあ」と簡単の声を漏らした。
光に当たるとキラキラと輝くその石は彼女も良く知っている石だ。
「はい」
「助かったよ。この石、綺麗だよな。ラブラトライトって石に似ているんだけど、別物なんだってよ」
「うん。それは魔晶石だよ」
「へえ。チハルも知ってたんだな。すげえ高い石らしくてよ。母ちゃんが血相変えてた」
「見つかってよかったね!」
「だな!」
えへへと笑うチハルとへへんと笑うアクセルの声が重なった。
ひとしきり笑った後、アクセルが彼女を誘う。
「家まで来るか? 母ちゃんから依頼を受けたんだよな?」
「ううん。明日にお店まで行くね」
「お。店の場所を知っているんだな。分かった。母ちゃんに言っとくよ」
「うん!」
アクセルの母が経営する魔道具屋はチハルの住処からもそう遠くはない。
探索者ギルドでリンゴを売った後に少し遠回りすれば、寄って帰宅することだってできる場所だ。
「でも、今日はソルたちが待っているから」とチハルの脳裏に涎を垂らした豹の姿が映る。
◇◇◇
チハルの住む内陸都市「ザパン」は別名「迷宮都市」とも呼ばれていた。
元は炭鉱街だったのだが、巨大な古代遺跡が地下に埋まっていることが分かり、今では多くの探索者が集まる街として有名になっている。
この古代遺跡は他とは隔絶した規模を持っていた。そのため、この古代遺跡はザ・ワンや大迷宮と呼ばれることもある。
チハルの家は、ザパンの城壁の中にはない。
城壁の外は廃鉱がある北側と別の街へ続く街道がある南側と西側。東側はすぐに深い山脈となるため、切り開かれていなかった。
彼女の住処はというと、廃鉱の東側の裏手にある小さな小屋である。長い間、空き家になっていた家で、チハルと彼女の「おともだち」の手で住めるように整備済みだ。
膝下くらいまでの草が一面に生い茂り、小屋に続く細い道の部分だけが整備されている。
チハルはその道ををてくてくと歩いて行く。
地面を踏みしめる小さな音に気が付いたのか、小屋の裏手から黒い影が飛び出してきて一直線にチハルへ向かって駆けてくる。
黒い影は豹に似た姿をしていた。しかし、その大きさは虎より二回りほど大きい。
「ソル―」
「グルル……」
チハルに飛び込んできた黒豹ことソルが喉を鳴らす。チハルは両手を広げて彼の首筋に抱き着き、ポンポンとふかふかの黒い毛に右の手の平を埋めた。
「くああ」とカラスのクラーロも空から舞い降り、ソルの頭の上に乗っかる。
クラーロが頭に乗ってもソルは嫌な顔もせず、逆に目を細め彼に「おかえり」と行っているようだった。
チハルがソルのふかふかの毛皮から体を離すと、ソルが首を下げ両前脚を少し屈める。
しかし、彼女は「ん」と小首をかしげ、歩き出そうとした。
するとソルがチハルを救い上げるようにして持ち上げ自分の背に乗せる。
「おうちが目の前だよ」
「グルルル」
チハルを背に乗せたソルは首をあげ、彼女の様子を窺っているようだった。
「うん。お散歩しよう!」
バスケットをその場に転がしたチハルがソルの首に覆いかぶさる。
ソルは嬉しそうに吠え、一面に広がる草原を駆け出した。
グングンあがるスピードにチハルの長いプラチナブロンドの髪がなびく。
ちゃっかりクラーロもソルの首元に掴まって風を楽しんでいるようだった。
「はやいね、ソル!」
金色の目を細め、チハルがんんんと可愛らしく息を吐く。
しばらく草原を駆けたソルはバスケットを口で咥え、小屋の前でチハルを降ろす。
グルオオオと吠えた彼は、獲物を狩りにあっというまに見えないところまで駆けて行った。
「ただいまー」
カラスを肩に乗せ小屋に入ったチハル。しかし、小屋の中には誰もいない。
小屋の中は仕切りがなく、小さなベッドとタンスにテーブル、あとは食糧の保管用であろう箱とキッチンだけとシンプルなものだった。
テーブルの上に置いたバスケットには布が被せてあり、ちょこんと椅子に座ったチハルがそれを摘まんで脇に置く。
バスケットの中には丸いパンが入っていて、これがチハルの昼食となる様子。
彼女はパンといくつかのフルーツにたっぷりのバターとジャムを乗せて、満足気に微笑む。
昼食を楽しんだ彼女は、ゴクゴクと牛乳を飲んでから小屋の外に出た。
んーと伸びをしたチハルはてくてくと歩き始める。向かう先は探索者ギルドだ。
「お仕事あるかなー」
のんびりと一人呟いた彼女は夕焼け空が広がる草原を進んで行く。もう間もなく街の入口に差し掛かろうとしていた。
「こんばんわ!」
探索者ギルドに入った彼女は中にいる人全員に向けて挨拶をする。
そんな彼女に真っ先に向かったのはハゲ頭のいかついギルドマスターだった。
165
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢に転生したので、ゲームを無視して自由に生きる。私にしか使えない植物を操る魔法で、食べ物の心配は無いのでスローライフを満喫します。
向原 行人
ファンタジー
死にかけた拍子に前世の記憶が蘇り……どハマりしていた恋愛ゲーム『ときめきメイト』の世界に居ると気付く。
それだけならまだしも、私の名前がルーシーって、思いっきり悪役令嬢じゃない!
しかもルーシーは魔法学園卒業後に、誰とも結ばれる事なく、辺境に飛ばされて孤独な上に苦労する事が分かっている。
……あ、だったら、辺境に飛ばされた後、苦労せずに生きていけるスキルを学園に居る内に習得しておけば良いじゃない。
魔法学園で起こる恋愛イベントを全て無視して、生きていく為のスキルを習得して……と思ったら、いきなりゲームに無かった魔法が使えるようになってしまった。
木から木へと瞬間移動出来るようになったので、学園に通いながら、辺境に飛ばされた後のスローライフの練習をしていたんだけど……自由なスローライフが楽し過ぎるっ!
※第○話:主人公視点
挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点
となります。
神獣転生のはずが半神半人になれたので世界を歩き回って第二人生を楽しみます~
御峰。
ファンタジー
不遇な職場で働いていた神楽湊はリフレッシュのため山に登ったのだが、石に躓いてしまい転げ落ちて異世界転生を果たす事となった。
異世界転生を果たした神楽湊だったが…………朱雀の卵!? どうやら神獣に生まれ変わったようだ……。
前世で人だった記憶があり、新しい人生も人として行きたいと願った湊は、進化の選択肢から『半神半人(デミゴット)』を選択する。
神獣朱雀エインフェリアの息子として生まれた湊は、名前アルマを与えられ、妹クレアと弟ルークとともに育つ事となる。
朱雀との生活を楽しんでいたアルマだったが、母エインフェリアの死と「世界を見て回ってほしい」という頼みにより、妹弟と共に旅に出る事を決意する。
そうしてアルマは新しい第二の人生を歩き始めたのである。
究極スキル『道しるべ』を使い、地図を埋めつつ、色んな種族の街に行っては美味しいモノを食べたり、時には自然から採れたての素材で料理をしたりと自由を満喫しながらも、色んな事件に巻き込まれていくのであった。
【完結】 笑わない、かわいげがない、胸がないの『ないないない令嬢』、国外追放を言い渡される~私を追い出せば国が大変なことになりますよ?~
夏芽空
恋愛
「笑わない! かわいげがない! 胸がない! 三つのないを持つ、『ないないない令嬢』のオフェリア! 君との婚約を破棄する!」
婚約者の第一王子はオフェリアに婚約破棄を言い渡した上に、さらには国外追放するとまで言ってきた。
「私は構いませんが、この国が困ることになりますよ?」
オフェリアは国で唯一の特別な力を持っている。
傷を癒したり、作物を実らせたり、邪悪な心を持つ魔物から国を守ったりと、力には様々な種類がある。
オフェリアがいなくなれば、その力も消えてしまう。
国は困ることになるだろう。
だから親切心で言ってあげたのだが、第一王子は聞く耳を持たなかった。
警告を無視して、オフェリアを国外追放した。
国を出たオフェリアは、隣国で魔術師団の団長と出会う。
ひょんなことから彼の下で働くことになり、絆を深めていく。
一方、オフェリアを追放した国は、第一王子の愚かな選択のせいで崩壊していくのだった……。
異世界でのんびり暮らしてみることにしました
松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/793391534/466596284/episode/5320962
https://www.alphapolis.co.jp/novel/793391534/84576624/episode/5093144
https://www.alphapolis.co.jp/novel/793391534/786307039/episode/2285646
【一秒クッキング】追放された転生人は最強スキルより食にしか興味がないようです~元婚約者と子犬と獣人族母娘との旅~
御峰。
ファンタジー
転生を果たした主人公ノアは剣士家系の子爵家三男として生まれる。
十歳に開花するはずの才能だが、ノアは生まれてすぐに才能【アプリ】を開花していた。
剣士家系の家に嫌気がさしていた主人公は、剣士系のアプリではなく【一秒クッキング】をインストールし、好きな食べ物を食べ歩くと決意する。
十歳に才能なしと判断され婚約破棄されたが、元婚約者セレナも才能【暴食】を開花させて、実家から煙たがれるようになった。
紆余曲折から二人は再び出会い、休息日を一緒に過ごすようになる。
十二歳になり成人となったノアは晴れて(?)実家から追放され家を出ることになった。
自由の身となったノアと家出元婚約者セレナと可愛らしい子犬は世界を歩き回りながら、美味しいご飯を食べまくる旅を始める。
その旅はやがて色んな国の色んな事件に巻き込まれるのだが、この物語はまだ始まったばかりだ。
※ファンタジーカップ用に書き下ろし作品となります。アルファポリス優先投稿となっております。
猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める
遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】
猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。
そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。
まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。
追放聖女35歳、拾われ王妃になりました
真曽木トウル
恋愛
王女ルイーズは、両親と王太子だった兄を亡くした20歳から15年間、祖国を“聖女”として統治した。
自分は結婚も即位もすることなく、愛する兄の娘が女王として即位するまで国を守るために……。
ところが兄の娘メアリーと宰相たちの裏切りに遭い、自分が追放されることになってしまう。
とりあえず亡き母の母国に身を寄せようと考えたルイーズだったが、なぜか大学の学友だった他国の王ウィルフレッドが「うちに来い」と迎えに来る。
彼はルイーズが15年前に求婚を断った相手。
聖職者が必要なのかと思いきや、なぜかもう一回求婚されて??
大人なようで素直じゃない2人の両片想い婚。
●他作品とは特に世界観のつながりはありません。
●『小説家になろう』に先行して掲載しております。
転生能無し少女のゆるっとチートな異世界交流
犬社護
ファンタジー
10歳の祝福の儀で、イリア・ランスロット伯爵令嬢は、神様からギフトを貰えなかった。その日以降、家族から【能無し・役立たず】と罵られる日々が続くも、彼女はめげることなく、3年間懸命に努力し続ける。
しかし、13歳の誕生日を迎えても、取得魔法は1個、スキルに至ってはゼロという始末。
遂に我慢の限界を超えた家族から、王都追放処分を受けてしまう。
彼女は悲しみに暮れるも一念発起し、家族から最後の餞別として貰ったお金を使い、隣国行きの列車に乗るも、今度は山間部での落雷による脱線事故が起きてしまい、その衝撃で車外へ放り出され、列車もろとも崖下へと転落していく。
転落中、彼女は前世日本人-七瀬彩奈で、12歳で水難事故に巻き込まれ死んでしまったことを思い出し、現世13歳までの記憶が走馬灯として駆け巡りながら、絶望の淵に達したところで気絶してしまう。
そんな窮地のところをランクS冒険者ベイツに助けられると、神様からギフト《異世界交流》とスキル《アニマルセラピー》を貰っていることに気づかされ、そこから神鳥ルウリと知り合い、日本の家族とも交流できたことで、人生の転機を迎えることとなる。
人は、娯楽で癒されます。
動物や従魔たちには、何もありません。
私が異世界にいる家族と交流して、動物や従魔たちに癒しを与えましょう!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる