28 / 35
28.奥の部屋へどうぞ
しおりを挟む
チハルがギルドに顔を出すと、いつもと様子が異なっていた。
この時間帯は探索者たちの報告も終わって、皆となりにある酒場に入り浸っている。
それが、ギルド内のテーブルを集め、探索者たちが席を囲んでいたのだ。といっても、探索者たち全ての行動を制限することなんてできないし、やろうとも思っていないギルドマスターのことだからあくまで探索者たちの自由参加なのだろう。
その中にはチハルの知っている顔もいる。アマンダにルチア、ゴンザ。それとアーチボルトたちも。
着席するギルドマスターの脇に騎士風の男が立ち、何やら探索者たちに説明している。
「話はそんだけだ。俺としては特に問題ねえと思ってる。大きなことだから、お前らの意見も聞きたいと思ってな」
「私からは特にないわ。大迷宮は誰かのモノでもないし」
「自分もっす」
マスターの言葉に真っ先に応じたのはアマンダとルチアだった。
他の面々も特に反対するような者はいなかった。
「んじゃあ。一応再度確認しておくぞ。明後日から騎士団と王都や他の都市の猛者たちが集まって大迷宮に潜る。参加したい者は騎士団についていってもいい。騎士団が攻略中でも、個人で大迷宮に入ってもいいし、俺からの依頼もそのまま継続だ」
ギルドマスターは似合わない笑みを浮かべ、片目をつぶる。
更に彼は説明を続けた。
「大迷宮の宝箱は稀に発生するし、モンスターも同じだ。であるからして……かったりい。つうわけで、素材の取り合いも起こらん。問題無しとみんな判断したってわけでいいか」
全員が同意し、騎士風の男が敬礼してこの場は解散となる。
「あ、チハルちゃんじゃないっすか!」
「こんばんは!」
チハルがギルドに来ていることに真っ先に気が付いたルチアが彼女に向け手を振った。
チハルも手を上にあげ、左右に振る。
チハルを抱きしめようとしたルチアを遮ってマスターのハゲ頭がぬっと出てくる。
もう少しでマスターを抱擁してしまいそうになったルチアは「うへえ」と嫌そうな声を出す。
「チハル。ちょいと奥の部屋でいいか?」
「うん!」
「アマンダとゴンザ、ついでにルチアも来てくれ」
「ついでって何すかー! チハルちゃんのいるところならどこにでもいきますよ!」
そんなこんなでチハルたちはマスターの執務室へ向かうことになった。
カラスもちゃっかりチハルの足もとをよちよち歩きついて来ている。
◇◇◇
「……というわけなんだ。チハル」
「魔法のリンゴ、いっぱいいるの?」
「いや、騎士団にも護符を持たせておきたいと思ったんだよ。大迷宮は他と違う。慣れてない奴らは実力を発揮できず、ってのがよくある」
「うん! 迷子になったら、わたしが行くね」
先日のアーチボルトたちのように、実力があってもモンスターが突如発生するとか罠がいつの間にかできていたり、といった大迷宮独自の仕様に足をすくわれてしまう。
慣れれば、問題ないのだが、常識はずれの迷宮の仕様は頭で理解しているのと体験するのとでは大違いなのである。
騎士団は迷宮の仕様を心得ているが、経験はない。その点が懸念事項なのだというのがマスターの意見だった。
「これまでにない大規模な遠征になる。確実に最深部記録が更新される。で、だ。チハル」
「うん?」
「彼らを助けに行くとして、お前さんの安全が脅かされるようなら行かせたくない。もし話してもいいなら教えてくれないか?」
「うん。いいよ!」
あっけらかんと了承するチハルに頼んだ方のギルドマスターが苦い顔をする。
どうしたもんかと彼は同席してもらった三人に目を向けた。
マスターの言わんとする意味を正確に汲み取ったアマンダは、指先を唇に当て優し気に微笑む。
「チハルちゃん。うーん。そうね。マスターが最深部記録が更新されるって言ったじゃない。どうしてなのか想像つく?」
「うーん」
「じゃあ、ルチア」
「じ、自分っすか! え、ええっと。分かったっす! 騎士団と各地の猛者の方々が強いからっす!」
心底呆れた様子でため息をつくアマンダにルチアがあわあわと左右を見渡す。
そんな彼女の肩をポンと叩くギルドマスターは不気味な笑顔で彼女を慰める。
失礼なことに彼の顔に対し、彼女の顔が引きつってしまった。
「全く……」と渋い顔をしつつ、アマンダの遊び心が過ぎると言いつつゴンザが口を挟む。
「ルチア。お前さんたちは何階まで行ったんだ? チハルの同行を抜きにして」
「え、ええと。18階か19階辺りっす」
「モンスターは強いと思ったか?」
「いえ。個々が手強いんじゃなく……あ! そういうことっすか」
「そうだ。俺たち探索者はモンスター個体に苦戦してたわけじゃねえ。歩みが遅いのは次々に湧いてくるモンスター、罠に加え、持ち込む荷物に限界があるからだな」
良くも悪くも探索者たちは個人主義である。
固定パーティを組む者は多いにしても、せいぜい6人程度まで。荷物も探索の妨げにならないくらいしか持ち込まない。
かつては荷物持ちを雇っていた者もいたが、迷宮は後ろに控えているから安全というわけではなかった。
唐突に出現した罠やモンスターによって荷物持ちが死亡する事故が相次ぎ、探索者以外の者を同行させることはなくなったのだ。
「騎士団と猛者の皆さんだと、補給役も作るってことっすね! 大量のモンスターも交代で相手をしながら進めますし」
「そうだ。だからマスターは記録更新と言ったわけだ」
ぼやくようなゴンザの発言にギルドマスターも苦笑して応じた。
「今まで今回みたいな大規模探索が行われていなかったのが不思議なくらいだがな。いずれはと思っていたのが今だったってわけさ」
「仕方ないわよ。大迷宮は『不慮の事故』が多いもの。鍛えるなら他の場所の方が適しているわね」
それがどうして、という疑問をチハル以外の皆が抱いている。
「お上の事は分からんな。っと。アマンダ。チハルとの話が脱線してしまったな」
「私がルチアに振ったから。ごめんなさいね」
改めてチハルに顔を向けたアマンダは話を彼女のことに戻す。
「大迷宮の深部まで調査しようとすると、たくさんの人や物資が必要だから、いっぱいお金がいるのね」
「うん! ルチアさんのおはなしで理解したよ」
「チハルちゃんが深部のことを知っていることは、いっぱいのお金と同じことなの。いっぱいのお金を欲しい人ってたくさんいるの。それを私たちにあっさりと伝えていいの?」
「うん! わたしが行くことができるところじゃなかったら、他の人に頼まなきゃ、だもん」
「分かったわ。私たち以外の人には伝えちゃダメよ。チハルちゃんじゃない人に頼むか頼まないかはマスターが決めることだし。その時に話が来るのは私たちだろうから」
「うん?」
「チハルちゃんがお金になる情報を持っていると知れたら、変な人に攫われちゃうかもしれないから」
「うんうん」と満面の笑顔で頷くチハルにルチアがきゅんきゅんしていた。
良く見るとゴンザも目じりが下がっているではないか。
一方でアマンダは「これがチハルちゃんの人間らしさの一助になってくれればいいんだけど……」と真剣に考えていた。
この時間帯は探索者たちの報告も終わって、皆となりにある酒場に入り浸っている。
それが、ギルド内のテーブルを集め、探索者たちが席を囲んでいたのだ。といっても、探索者たち全ての行動を制限することなんてできないし、やろうとも思っていないギルドマスターのことだからあくまで探索者たちの自由参加なのだろう。
その中にはチハルの知っている顔もいる。アマンダにルチア、ゴンザ。それとアーチボルトたちも。
着席するギルドマスターの脇に騎士風の男が立ち、何やら探索者たちに説明している。
「話はそんだけだ。俺としては特に問題ねえと思ってる。大きなことだから、お前らの意見も聞きたいと思ってな」
「私からは特にないわ。大迷宮は誰かのモノでもないし」
「自分もっす」
マスターの言葉に真っ先に応じたのはアマンダとルチアだった。
他の面々も特に反対するような者はいなかった。
「んじゃあ。一応再度確認しておくぞ。明後日から騎士団と王都や他の都市の猛者たちが集まって大迷宮に潜る。参加したい者は騎士団についていってもいい。騎士団が攻略中でも、個人で大迷宮に入ってもいいし、俺からの依頼もそのまま継続だ」
ギルドマスターは似合わない笑みを浮かべ、片目をつぶる。
更に彼は説明を続けた。
「大迷宮の宝箱は稀に発生するし、モンスターも同じだ。であるからして……かったりい。つうわけで、素材の取り合いも起こらん。問題無しとみんな判断したってわけでいいか」
全員が同意し、騎士風の男が敬礼してこの場は解散となる。
「あ、チハルちゃんじゃないっすか!」
「こんばんは!」
チハルがギルドに来ていることに真っ先に気が付いたルチアが彼女に向け手を振った。
チハルも手を上にあげ、左右に振る。
チハルを抱きしめようとしたルチアを遮ってマスターのハゲ頭がぬっと出てくる。
もう少しでマスターを抱擁してしまいそうになったルチアは「うへえ」と嫌そうな声を出す。
「チハル。ちょいと奥の部屋でいいか?」
「うん!」
「アマンダとゴンザ、ついでにルチアも来てくれ」
「ついでって何すかー! チハルちゃんのいるところならどこにでもいきますよ!」
そんなこんなでチハルたちはマスターの執務室へ向かうことになった。
カラスもちゃっかりチハルの足もとをよちよち歩きついて来ている。
◇◇◇
「……というわけなんだ。チハル」
「魔法のリンゴ、いっぱいいるの?」
「いや、騎士団にも護符を持たせておきたいと思ったんだよ。大迷宮は他と違う。慣れてない奴らは実力を発揮できず、ってのがよくある」
「うん! 迷子になったら、わたしが行くね」
先日のアーチボルトたちのように、実力があってもモンスターが突如発生するとか罠がいつの間にかできていたり、といった大迷宮独自の仕様に足をすくわれてしまう。
慣れれば、問題ないのだが、常識はずれの迷宮の仕様は頭で理解しているのと体験するのとでは大違いなのである。
騎士団は迷宮の仕様を心得ているが、経験はない。その点が懸念事項なのだというのがマスターの意見だった。
「これまでにない大規模な遠征になる。確実に最深部記録が更新される。で、だ。チハル」
「うん?」
「彼らを助けに行くとして、お前さんの安全が脅かされるようなら行かせたくない。もし話してもいいなら教えてくれないか?」
「うん。いいよ!」
あっけらかんと了承するチハルに頼んだ方のギルドマスターが苦い顔をする。
どうしたもんかと彼は同席してもらった三人に目を向けた。
マスターの言わんとする意味を正確に汲み取ったアマンダは、指先を唇に当て優し気に微笑む。
「チハルちゃん。うーん。そうね。マスターが最深部記録が更新されるって言ったじゃない。どうしてなのか想像つく?」
「うーん」
「じゃあ、ルチア」
「じ、自分っすか! え、ええっと。分かったっす! 騎士団と各地の猛者の方々が強いからっす!」
心底呆れた様子でため息をつくアマンダにルチアがあわあわと左右を見渡す。
そんな彼女の肩をポンと叩くギルドマスターは不気味な笑顔で彼女を慰める。
失礼なことに彼の顔に対し、彼女の顔が引きつってしまった。
「全く……」と渋い顔をしつつ、アマンダの遊び心が過ぎると言いつつゴンザが口を挟む。
「ルチア。お前さんたちは何階まで行ったんだ? チハルの同行を抜きにして」
「え、ええと。18階か19階辺りっす」
「モンスターは強いと思ったか?」
「いえ。個々が手強いんじゃなく……あ! そういうことっすか」
「そうだ。俺たち探索者はモンスター個体に苦戦してたわけじゃねえ。歩みが遅いのは次々に湧いてくるモンスター、罠に加え、持ち込む荷物に限界があるからだな」
良くも悪くも探索者たちは個人主義である。
固定パーティを組む者は多いにしても、せいぜい6人程度まで。荷物も探索の妨げにならないくらいしか持ち込まない。
かつては荷物持ちを雇っていた者もいたが、迷宮は後ろに控えているから安全というわけではなかった。
唐突に出現した罠やモンスターによって荷物持ちが死亡する事故が相次ぎ、探索者以外の者を同行させることはなくなったのだ。
「騎士団と猛者の皆さんだと、補給役も作るってことっすね! 大量のモンスターも交代で相手をしながら進めますし」
「そうだ。だからマスターは記録更新と言ったわけだ」
ぼやくようなゴンザの発言にギルドマスターも苦笑して応じた。
「今まで今回みたいな大規模探索が行われていなかったのが不思議なくらいだがな。いずれはと思っていたのが今だったってわけさ」
「仕方ないわよ。大迷宮は『不慮の事故』が多いもの。鍛えるなら他の場所の方が適しているわね」
それがどうして、という疑問をチハル以外の皆が抱いている。
「お上の事は分からんな。っと。アマンダ。チハルとの話が脱線してしまったな」
「私がルチアに振ったから。ごめんなさいね」
改めてチハルに顔を向けたアマンダは話を彼女のことに戻す。
「大迷宮の深部まで調査しようとすると、たくさんの人や物資が必要だから、いっぱいお金がいるのね」
「うん! ルチアさんのおはなしで理解したよ」
「チハルちゃんが深部のことを知っていることは、いっぱいのお金と同じことなの。いっぱいのお金を欲しい人ってたくさんいるの。それを私たちにあっさりと伝えていいの?」
「うん! わたしが行くことができるところじゃなかったら、他の人に頼まなきゃ、だもん」
「分かったわ。私たち以外の人には伝えちゃダメよ。チハルちゃんじゃない人に頼むか頼まないかはマスターが決めることだし。その時に話が来るのは私たちだろうから」
「うん?」
「チハルちゃんがお金になる情報を持っていると知れたら、変な人に攫われちゃうかもしれないから」
「うんうん」と満面の笑顔で頷くチハルにルチアがきゅんきゅんしていた。
良く見るとゴンザも目じりが下がっているではないか。
一方でアマンダは「これがチハルちゃんの人間らしさの一助になってくれればいいんだけど……」と真剣に考えていた。
75
あなたにおすすめの小説
神獣転生のはずが半神半人になれたので世界を歩き回って第二人生を楽しみます~
御峰。
ファンタジー
不遇な職場で働いていた神楽湊はリフレッシュのため山に登ったのだが、石に躓いてしまい転げ落ちて異世界転生を果たす事となった。
異世界転生を果たした神楽湊だったが…………朱雀の卵!? どうやら神獣に生まれ変わったようだ……。
前世で人だった記憶があり、新しい人生も人として行きたいと願った湊は、進化の選択肢から『半神半人(デミゴット)』を選択する。
神獣朱雀エインフェリアの息子として生まれた湊は、名前アルマを与えられ、妹クレアと弟ルークとともに育つ事となる。
朱雀との生活を楽しんでいたアルマだったが、母エインフェリアの死と「世界を見て回ってほしい」という頼みにより、妹弟と共に旅に出る事を決意する。
そうしてアルマは新しい第二の人生を歩き始めたのである。
究極スキル『道しるべ』を使い、地図を埋めつつ、色んな種族の街に行っては美味しいモノを食べたり、時には自然から採れたての素材で料理をしたりと自由を満喫しながらも、色んな事件に巻き込まれていくのであった。
異世界でのんびり暮らしてみることにしました
松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/793391534/466596284/episode/5320962
https://www.alphapolis.co.jp/novel/793391534/84576624/episode/5093144
https://www.alphapolis.co.jp/novel/793391534/786307039/episode/2285646
悪役令嬢に転生したので、ゲームを無視して自由に生きる。私にしか使えない植物を操る魔法で、食べ物の心配は無いのでスローライフを満喫します。
向原 行人
ファンタジー
死にかけた拍子に前世の記憶が蘇り……どハマりしていた恋愛ゲーム『ときめきメイト』の世界に居ると気付く。
それだけならまだしも、私の名前がルーシーって、思いっきり悪役令嬢じゃない!
しかもルーシーは魔法学園卒業後に、誰とも結ばれる事なく、辺境に飛ばされて孤独な上に苦労する事が分かっている。
……あ、だったら、辺境に飛ばされた後、苦労せずに生きていけるスキルを学園に居る内に習得しておけば良いじゃない。
魔法学園で起こる恋愛イベントを全て無視して、生きていく為のスキルを習得して……と思ったら、いきなりゲームに無かった魔法が使えるようになってしまった。
木から木へと瞬間移動出来るようになったので、学園に通いながら、辺境に飛ばされた後のスローライフの練習をしていたんだけど……自由なスローライフが楽し過ぎるっ!
※第○話:主人公視点
挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点
となります。
【一秒クッキング】追放された転生人は最強スキルより食にしか興味がないようです~元婚約者と子犬と獣人族母娘との旅~
御峰。
ファンタジー
転生を果たした主人公ノアは剣士家系の子爵家三男として生まれる。
十歳に開花するはずの才能だが、ノアは生まれてすぐに才能【アプリ】を開花していた。
剣士家系の家に嫌気がさしていた主人公は、剣士系のアプリではなく【一秒クッキング】をインストールし、好きな食べ物を食べ歩くと決意する。
十歳に才能なしと判断され婚約破棄されたが、元婚約者セレナも才能【暴食】を開花させて、実家から煙たがれるようになった。
紆余曲折から二人は再び出会い、休息日を一緒に過ごすようになる。
十二歳になり成人となったノアは晴れて(?)実家から追放され家を出ることになった。
自由の身となったノアと家出元婚約者セレナと可愛らしい子犬は世界を歩き回りながら、美味しいご飯を食べまくる旅を始める。
その旅はやがて色んな国の色んな事件に巻き込まれるのだが、この物語はまだ始まったばかりだ。
※ファンタジーカップ用に書き下ろし作品となります。アルファポリス優先投稿となっております。
追放聖女35歳、拾われ王妃になりました
真曽木トウル
恋愛
王女ルイーズは、両親と王太子だった兄を亡くした20歳から15年間、祖国を“聖女”として統治した。
自分は結婚も即位もすることなく、愛する兄の娘が女王として即位するまで国を守るために……。
ところが兄の娘メアリーと宰相たちの裏切りに遭い、自分が追放されることになってしまう。
とりあえず亡き母の母国に身を寄せようと考えたルイーズだったが、なぜか大学の学友だった他国の王ウィルフレッドが「うちに来い」と迎えに来る。
彼はルイーズが15年前に求婚を断った相手。
聖職者が必要なのかと思いきや、なぜかもう一回求婚されて??
大人なようで素直じゃない2人の両片想い婚。
●他作品とは特に世界観のつながりはありません。
●『小説家になろう』に先行して掲載しております。
【完結】 笑わない、かわいげがない、胸がないの『ないないない令嬢』、国外追放を言い渡される~私を追い出せば国が大変なことになりますよ?~
夏芽空
恋愛
「笑わない! かわいげがない! 胸がない! 三つのないを持つ、『ないないない令嬢』のオフェリア! 君との婚約を破棄する!」
婚約者の第一王子はオフェリアに婚約破棄を言い渡した上に、さらには国外追放するとまで言ってきた。
「私は構いませんが、この国が困ることになりますよ?」
オフェリアは国で唯一の特別な力を持っている。
傷を癒したり、作物を実らせたり、邪悪な心を持つ魔物から国を守ったりと、力には様々な種類がある。
オフェリアがいなくなれば、その力も消えてしまう。
国は困ることになるだろう。
だから親切心で言ってあげたのだが、第一王子は聞く耳を持たなかった。
警告を無視して、オフェリアを国外追放した。
国を出たオフェリアは、隣国で魔術師団の団長と出会う。
ひょんなことから彼の下で働くことになり、絆を深めていく。
一方、オフェリアを追放した国は、第一王子の愚かな選択のせいで崩壊していくのだった……。
転生能無し少女のゆるっとチートな異世界交流
犬社護
ファンタジー
10歳の祝福の儀で、イリア・ランスロット伯爵令嬢は、神様からギフトを貰えなかった。その日以降、家族から【能無し・役立たず】と罵られる日々が続くも、彼女はめげることなく、3年間懸命に努力し続ける。
しかし、13歳の誕生日を迎えても、取得魔法は1個、スキルに至ってはゼロという始末。
遂に我慢の限界を超えた家族から、王都追放処分を受けてしまう。
彼女は悲しみに暮れるも一念発起し、家族から最後の餞別として貰ったお金を使い、隣国行きの列車に乗るも、今度は山間部での落雷による脱線事故が起きてしまい、その衝撃で車外へ放り出され、列車もろとも崖下へと転落していく。
転落中、彼女は前世日本人-七瀬彩奈で、12歳で水難事故に巻き込まれ死んでしまったことを思い出し、現世13歳までの記憶が走馬灯として駆け巡りながら、絶望の淵に達したところで気絶してしまう。
そんな窮地のところをランクS冒険者ベイツに助けられると、神様からギフト《異世界交流》とスキル《アニマルセラピー》を貰っていることに気づかされ、そこから神鳥ルウリと知り合い、日本の家族とも交流できたことで、人生の転機を迎えることとなる。
人は、娯楽で癒されます。
動物や従魔たちには、何もありません。
私が異世界にいる家族と交流して、動物や従魔たちに癒しを与えましょう!
辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました
腐ったバナナ
恋愛
異世界に転移した元会社員のミサキは、現代の調味料と調理技術というチート能力を駆使し、辺境の森で誰にも邪魔されない静かなスローライフを送ることを目指していた。
しかし、彼女の作る絶品の料理の香りは、辺境を守る冷酷な「鉄血」騎士団長ガイウスを引き寄せてしまった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる