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第12話 カイトって誰やねん
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軽い感じで探索者たちを誘ってみたものの、彼らの状態が余りよくないことに後から気が付く。
虎頭の影に隠れて見えなかったのだが、彼がダークエルフのエルフィ―を背負っていたんだ。彼女はぐったりとしており、何かあったのだとすぐに分かった。
彼らがそんな状態だってのに気さくに声をかけてしまったことに反省するも、このまま黙っているわけにはいかないよな。
「ウォーレン、エルフィーは一体どうしたんだ?」
「下手うっちまった。毒の一種だと思うんだが、手持ちの毒消しじゃ効果なくてな」
「うーん、毒じゃないんじゃないのかな」
「毒だと思うんだが……」
虎頭のウォーレンと俺の話はどうもかみ合わない。
そこで、話を聞いていたワニのローブ姿……ゲニラが助け舟を出してくれた。
「店主殿は『毒の種類』を述べているんじゃないのかな」
「あ、ええと、俺の言う毒は出血毒というか、常にダメージを受けるものを毒と呼んでいる」
「ふむ。儂らは出血毒と麻痺毒を毒と呼んでおる。ウォーレンは麻痺毒じゃないかと言っておった」
「俺は動きがとてもにぶくなる、または、動けなくなる状態になることを麻痺と呼んでいるんだ」
合点がいった。この時代では麻痺と継続ダメージを受ける毒をどちらも毒と呼んでいるのか。
ゲームの状態異常は、毒、麻痺、カース(呪い)の三つ。この中でカースは色んな効果があってどんなカースを受けているのか確認する必要があった。
一時的に能力が下がるカース、いわゆるデバフってやつだ。他には武器が外れなくなるものとか、左右のコントロールが逆になるものがあったりした。
「どんなモンスターに攻撃を受けたか分かるかな?」
「突然出現した。きっとあれは噂に聞くS級モンスター影竜だ」
「影竜……シャドードラゴンかな。となると、カースの線はなく、麻痺毒で間違いない」
「おお、麻痺毒に詳しいのか! こいつはほうっておいても解けるものか?」
詳しいわけじゃあないのだが、ゲームと同じとすればどんなものかは分かる。同じならね。
「うーん、シャドードラゴンの麻痺はレベル3だったと思うから……」
「レベル3だと!」
突然叫んだウォーレンに対し目を丸くする。
ウォーレンがうるさめなのはいつものことなのだが、いつも冷静沈着なワニのローブ姿ゲニラまで握りしめた杖がカタカタと揺れるほど動揺していた。
「店主殿、レベル3の麻痺毒とは誠か?」
「シャドードラゴンだとしたら、たぶん……?」
「街に戻らねば治療が困難じゃな」
「おいおい、レベル3だと数か月だろ」
ゲニラの言葉に虎頭ウォーレンが割って入る。
彼らの剣幕の理由が分かり、不謹慎ながらも心の中でなるほどと頷く。麻痺毒……ゲームだと状態異常の麻痺は一定時間動けなくなり、そのうち回復する。
麻痺のレベルが上がるほど拘束される時間が長くなるんだ。これを現実世界に当てたとしたら、レベル3で数か月も麻痺した状態になるらしい。
そいつは確かに深刻だぜ。二人が騒ぎ立てるのも分かる。
うーん、しかしだな、レベル3の麻痺だったら、後ろで俺たちの様子を見守っていたアーニーへ目を向ける。
「麻痺レベル3でしたら古代魔法のスキル熟練度80以上のみで治療できるんでしたっけ」
「うん、神聖スキルも必要ない。神秘魔法のスキルでも治療可能だったはず」
だよな、うん。
他にもキュアポーションという状態異常を治療するアイテムでも治療可能だ。
余談であるが、古代魔法スキルは古代魔法にカテゴライズされる魔法を「発動」するためのスキルである。攻撃魔法からゲートのような移動魔法、そして、キュアウーンズといった治療系の魔法まで一通り揃っている。
しかし、「威力」を強化するには別のスキルが必要になっているんだよね。所謂、魔法系の攻撃キャラを育成しようとしたら、「威力」や「詠唱時間を短縮」するスキルは必須になる。
ぺぺぺは古代魔法のスキルのみ所持していて、魔法を強化するスキルを一切持っていないので、古代魔法は主に移動用になるってわけさ。
ゲートやテレポートがあると便利だからね。便利というより、素材を取ってホームへ戻って、素材を取って、を繰り返すために移動系魔法は必須だ。移動魔法無しだと効率が悪すぎる。
つまり、何が言いたいのかというとレベル3の麻痺は魔法でさくっと治療できるってことさ。
なので、数か月動けなくなるとか心配せずとも治療しちゃえばいい。
「いや、俺がレベル3と思っているだけで、レベル4か5だったりするのかも」
「レベル5だと!? 永遠の時間停止、なんぞ伝説だぜ」
虎頭の勢いがすごい。レベル4、そして最高レベルのレベル5となれば、治療系にカテゴライズされる魔法の強化スキルである神聖スキルがないと治療できない。
例のごとく麻痺はいずれ回復するが、スリップダメージを食らい続ける毒となれば話は別だ。レベル5毒とか喰らうとあっという間に体力が無くなってしまうからさ。魔法で治療できずともポーションを使えば治療可能だから、ポーションは携行しておくことをお勧めする。って誰に向かって言ってんだか。
「ま、まあ、試しに俺がエルフィーに魔法をかけてみてもいいかな?」
「店主殿、実は世捨て人の導師か何かだったのかの」
ただの釣り人だよ、なんて冗談は通じそうにないのでゲニラに向け苦笑いを返すにとどめる。
まあ、物は試しさ。俺の古代魔法スキル熟練度はマックスの100だ。実はスキル限界突破をすれば120まで伸ばすことができるが余談に過ぎるな、うん。
右手を振ると、手の平から魔法陣が浮かび上がる。
「魔法陣よ、力を示せ。キュアリカバリー」
ぐったりしているダークエルフのエルフィーの肩へ手を乗せ魔法を発動した。
暖かな緑色のエフェクトと共に、キュアリカバリーが効果を発揮する。
「う、あ、あれ、動く、動くわ」
「おお、よかった」
エルフィーがすくっと起き上がり、感極まった様子でがばっと俺に抱き着いてきた。
「カイト、本当にありがとう! このままだと命を失いかねなかったわ」
「いやいや、困った時はお互い様だよ」
キュアリカバリーをかけただけなのに、そこまでありがたがられると逆に引いてしまうよ。
カイトって誰やねん、という突っ込みに対しては俺の名前だよ、とだけ。
虎頭の影に隠れて見えなかったのだが、彼がダークエルフのエルフィ―を背負っていたんだ。彼女はぐったりとしており、何かあったのだとすぐに分かった。
彼らがそんな状態だってのに気さくに声をかけてしまったことに反省するも、このまま黙っているわけにはいかないよな。
「ウォーレン、エルフィーは一体どうしたんだ?」
「下手うっちまった。毒の一種だと思うんだが、手持ちの毒消しじゃ効果なくてな」
「うーん、毒じゃないんじゃないのかな」
「毒だと思うんだが……」
虎頭のウォーレンと俺の話はどうもかみ合わない。
そこで、話を聞いていたワニのローブ姿……ゲニラが助け舟を出してくれた。
「店主殿は『毒の種類』を述べているんじゃないのかな」
「あ、ええと、俺の言う毒は出血毒というか、常にダメージを受けるものを毒と呼んでいる」
「ふむ。儂らは出血毒と麻痺毒を毒と呼んでおる。ウォーレンは麻痺毒じゃないかと言っておった」
「俺は動きがとてもにぶくなる、または、動けなくなる状態になることを麻痺と呼んでいるんだ」
合点がいった。この時代では麻痺と継続ダメージを受ける毒をどちらも毒と呼んでいるのか。
ゲームの状態異常は、毒、麻痺、カース(呪い)の三つ。この中でカースは色んな効果があってどんなカースを受けているのか確認する必要があった。
一時的に能力が下がるカース、いわゆるデバフってやつだ。他には武器が外れなくなるものとか、左右のコントロールが逆になるものがあったりした。
「どんなモンスターに攻撃を受けたか分かるかな?」
「突然出現した。きっとあれは噂に聞くS級モンスター影竜だ」
「影竜……シャドードラゴンかな。となると、カースの線はなく、麻痺毒で間違いない」
「おお、麻痺毒に詳しいのか! こいつはほうっておいても解けるものか?」
詳しいわけじゃあないのだが、ゲームと同じとすればどんなものかは分かる。同じならね。
「うーん、シャドードラゴンの麻痺はレベル3だったと思うから……」
「レベル3だと!」
突然叫んだウォーレンに対し目を丸くする。
ウォーレンがうるさめなのはいつものことなのだが、いつも冷静沈着なワニのローブ姿ゲニラまで握りしめた杖がカタカタと揺れるほど動揺していた。
「店主殿、レベル3の麻痺毒とは誠か?」
「シャドードラゴンだとしたら、たぶん……?」
「街に戻らねば治療が困難じゃな」
「おいおい、レベル3だと数か月だろ」
ゲニラの言葉に虎頭ウォーレンが割って入る。
彼らの剣幕の理由が分かり、不謹慎ながらも心の中でなるほどと頷く。麻痺毒……ゲームだと状態異常の麻痺は一定時間動けなくなり、そのうち回復する。
麻痺のレベルが上がるほど拘束される時間が長くなるんだ。これを現実世界に当てたとしたら、レベル3で数か月も麻痺した状態になるらしい。
そいつは確かに深刻だぜ。二人が騒ぎ立てるのも分かる。
うーん、しかしだな、レベル3の麻痺だったら、後ろで俺たちの様子を見守っていたアーニーへ目を向ける。
「麻痺レベル3でしたら古代魔法のスキル熟練度80以上のみで治療できるんでしたっけ」
「うん、神聖スキルも必要ない。神秘魔法のスキルでも治療可能だったはず」
だよな、うん。
他にもキュアポーションという状態異常を治療するアイテムでも治療可能だ。
余談であるが、古代魔法スキルは古代魔法にカテゴライズされる魔法を「発動」するためのスキルである。攻撃魔法からゲートのような移動魔法、そして、キュアウーンズといった治療系の魔法まで一通り揃っている。
しかし、「威力」を強化するには別のスキルが必要になっているんだよね。所謂、魔法系の攻撃キャラを育成しようとしたら、「威力」や「詠唱時間を短縮」するスキルは必須になる。
ぺぺぺは古代魔法のスキルのみ所持していて、魔法を強化するスキルを一切持っていないので、古代魔法は主に移動用になるってわけさ。
ゲートやテレポートがあると便利だからね。便利というより、素材を取ってホームへ戻って、素材を取って、を繰り返すために移動系魔法は必須だ。移動魔法無しだと効率が悪すぎる。
つまり、何が言いたいのかというとレベル3の麻痺は魔法でさくっと治療できるってことさ。
なので、数か月動けなくなるとか心配せずとも治療しちゃえばいい。
「いや、俺がレベル3と思っているだけで、レベル4か5だったりするのかも」
「レベル5だと!? 永遠の時間停止、なんぞ伝説だぜ」
虎頭の勢いがすごい。レベル4、そして最高レベルのレベル5となれば、治療系にカテゴライズされる魔法の強化スキルである神聖スキルがないと治療できない。
例のごとく麻痺はいずれ回復するが、スリップダメージを食らい続ける毒となれば話は別だ。レベル5毒とか喰らうとあっという間に体力が無くなってしまうからさ。魔法で治療できずともポーションを使えば治療可能だから、ポーションは携行しておくことをお勧めする。って誰に向かって言ってんだか。
「ま、まあ、試しに俺がエルフィーに魔法をかけてみてもいいかな?」
「店主殿、実は世捨て人の導師か何かだったのかの」
ただの釣り人だよ、なんて冗談は通じそうにないのでゲニラに向け苦笑いを返すにとどめる。
まあ、物は試しさ。俺の古代魔法スキル熟練度はマックスの100だ。実はスキル限界突破をすれば120まで伸ばすことができるが余談に過ぎるな、うん。
右手を振ると、手の平から魔法陣が浮かび上がる。
「魔法陣よ、力を示せ。キュアリカバリー」
ぐったりしているダークエルフのエルフィーの肩へ手を乗せ魔法を発動した。
暖かな緑色のエフェクトと共に、キュアリカバリーが効果を発揮する。
「う、あ、あれ、動く、動くわ」
「おお、よかった」
エルフィーがすくっと起き上がり、感極まった様子でがばっと俺に抱き着いてきた。
「カイト、本当にありがとう! このままだと命を失いかねなかったわ」
「いやいや、困った時はお互い様だよ」
キュアリカバリーをかけただけなのに、そこまでありがたがられると逆に引いてしまうよ。
カイトって誰やねん、という突っ込みに対しては俺の名前だよ、とだけ。
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