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第20話 お掃除しなきゃね
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「アーニー、俺たちの呼び方だと海竜って何になるのか分かる?」
「サーペントです」
てことは深海竜なら、グレートサーペントかサーペントロードのどっちか?
ふ、ふふ。それならば釣りスキルで何とかなるぞ。
サーペントは釣りスキルで対処できる数少ないモンスターの一つなのだ。直接戦っても良いのだけど、特にサーペントロードは釣りスキルの力がないとなかなか戦うことが難しい。深海に生息しているらしくてさ、魔法や弓だと引き付けようにも攻撃が届かないんだよね。
いかな海の強者でも、甲板か陸にあげりゃ、脅威じゃあないさ。
「海竜はどの辺りにいるんですか?」
「入り江の辺りだぜ。アレじゃあ船が入れねえ」
「あ、あのお、近くまで連れてっていただけたりしないかなあって」
「な、なんだと!?」
船員はとんでもない、という反応を見せる。まあ当然だよね、サーペントロードとなれば、下手すりゃこの船が沈没する。一度や二度の体当たりなら喰らっても大丈夫そうだけど、それ以上となると船倉に穴が開くかも。港の近くだから、船が沈没したとしても泳いで残橋まで逃げおおせるだろうけど。船は高価なものなのでやはり、無茶過ぎるお願いだったよね。
さてさて、どうしたものか。今から海を移動するためのペットを取りに戻って釣り大会が再開できる時間に間に合うか……いや、悩んでいる暇があれば動くべきだ。
「情報ありがとうございました」
ぺこりとお辞儀をしてアーニーに行こうと促す。
ちょうど船から背を向けた時、野太い声が俺たちを呼び止めた。
「兄ちゃんら、深海竜とやろうってんのか?」
「はい、せっかくの釣り大会ですし」
振り向いた先には先ほどの船員とは別にもう一人。俺の肩くらいの背丈で丸太のように太い腕をした髭もじゃの船員が腕を組み、いい笑顔で立っていた。
見た感じからすると、彼の種族はドワーフか。ドワーフは力持ちで職人気質……の設定で鍛治や大工スキルにボーナスがつく。ノームやワルキュラと並び生産系で人気の種族である。船大工のドワーフなのかな?
「ガハハハ、釣り大会と来たか! 兄ちゃん、面白れえな」
「楽しみにしていた釣り大会なので」
「楽しみも何も、そいつはもういいか。どうだ、兄ちゃん、俺が連れてってやろうか」
「えええ! ぜひ!」
ドワーフの船員が連れてってくれるのなら、是非も無し。
半信半疑でアーニーと顔を見合わせる俺たちに対し、叫ぶもう一人の船員。
「船長! 無茶ですって!」
「なあに船首を港側に向けりゃいい。尻に一発喰らっても一発くらいなら沈まねえだろ」
「全く……」
「びびった奴は降りててもいいぜ」
「こんな船長についていく船員ですぜ。俺たちゃ船長の船を心配していただけでさあ」
ガハハハと笑い合う船員と船員ではなく船長のドワーフであった。ドワーフの船長なら自分で船の修理もやってのけそうだよな。船大工兼船長とはある意味効率がよい。ドワーフの船長の船はは交易船に見えないから、船体に傷がつくこともままありそうだ。
「さあ、兄ちゃんら、乗った乗った」
船員の手招きに、お礼を述べてから船に乗り込む。
余談であるが、船から残橋への渡しが無かったが喫水も高くないし、軽くジャンプすれば事足りた。
帆をあげ船が動き出す。アナザーワールドオンラインの船は大きく分けて三種類の動力がある。この世界でも恐らく同じ……だと思う。
ゲームから数百年経過しているので、技術の進歩はあるかもだけど……ドワーフの船長の船については、ゲーム時代の帆船と見た目が殆ど変わらない。
ゲームと同じならサイズは10人乗りくらいで中型の帆船になると思う。
あ、動力の話だった。動力となるのは帆を使った風力メインのもの、ガレー船やカヌーにような人力で櫂やオールを動かすもの、最後が魔法だ。
複数組み合わせているパターンも多いが、これ以外の……例えば電力モーターを使ったものとかは存在しない。
などと考えている間に船が進み、残橋が遠くに見える距離まで進むと入り江の様子もハッキリと見えてきた。
「あそこにサーペントがいます!」
「お、アーニー、発見が早いな!」
彼女の指し示す方向には、まだ俺の拳ほどの大きさであるが、確かにサーペントの頭だ。黒っぽい鱗だから見え辛いんだよね。
アーニーはよくサーペントの頭を見つけたものだよ。
サーペントのいる場所が分かったので、周囲の地形も見える範囲で確認しておこう。
波の様子からして、暗礁があるっぽいな。頭を出している岩礁もありそうだ。いざとなれば足場にできなくはないけど、あの面積じゃ釣り上げても海に逃げられるよなあ。
「船長、暗礁地帯があるみたいですが、船が通ることはできるんですか?」
「問題ねえ。ほら、あれが目印だ」
「灯台が?」
「おうよ、灯台からこう斜めに線を引いたところの内側は通らねえ方がいい」
サーペントのいる場所はドワーフの船長が示した位置より内側になる。
などと心配していたのだが、サーペントの方から船へ向かってきてくれた。
いいぞいいぞ、と歓迎する俺とは異なり、船内が騒然となる。
「船長! 衝突する前に逃げましょう!」
「船長!」
騒ぐ船員たちに対しドワーフの船長は俺の肩へ手を乗せ、もう一方の手の親指を立てた。
「いけるか?」
「はい、アーニー、念のため構えておいてもらえるか?」
「はいー!」
うっし、そんじゃあ、やるぞお。釣りスキルの威力を見せてやるぜ。
右手を振り、手の平から魔法陣が浮かび上がる。
「てんちょお、あれ、サーペントロードぽいですね」
「んだな、全身が見えてないけど、額の三日月マークはきっとサーペントロードだ」
アーニーの言葉に応えるほどの余裕を見せつつも、じっとタイミングを計っているのだ。
釣り竿を投げ入れるんじゃなく、魔法のタイミングを。
サーペント系を釣り上げるには魔法かそれに準じるアイテムを使わないと、釣り熟練度最大でも釣り成功率5割いかないんだよねえ。
「サーペントです」
てことは深海竜なら、グレートサーペントかサーペントロードのどっちか?
ふ、ふふ。それならば釣りスキルで何とかなるぞ。
サーペントは釣りスキルで対処できる数少ないモンスターの一つなのだ。直接戦っても良いのだけど、特にサーペントロードは釣りスキルの力がないとなかなか戦うことが難しい。深海に生息しているらしくてさ、魔法や弓だと引き付けようにも攻撃が届かないんだよね。
いかな海の強者でも、甲板か陸にあげりゃ、脅威じゃあないさ。
「海竜はどの辺りにいるんですか?」
「入り江の辺りだぜ。アレじゃあ船が入れねえ」
「あ、あのお、近くまで連れてっていただけたりしないかなあって」
「な、なんだと!?」
船員はとんでもない、という反応を見せる。まあ当然だよね、サーペントロードとなれば、下手すりゃこの船が沈没する。一度や二度の体当たりなら喰らっても大丈夫そうだけど、それ以上となると船倉に穴が開くかも。港の近くだから、船が沈没したとしても泳いで残橋まで逃げおおせるだろうけど。船は高価なものなのでやはり、無茶過ぎるお願いだったよね。
さてさて、どうしたものか。今から海を移動するためのペットを取りに戻って釣り大会が再開できる時間に間に合うか……いや、悩んでいる暇があれば動くべきだ。
「情報ありがとうございました」
ぺこりとお辞儀をしてアーニーに行こうと促す。
ちょうど船から背を向けた時、野太い声が俺たちを呼び止めた。
「兄ちゃんら、深海竜とやろうってんのか?」
「はい、せっかくの釣り大会ですし」
振り向いた先には先ほどの船員とは別にもう一人。俺の肩くらいの背丈で丸太のように太い腕をした髭もじゃの船員が腕を組み、いい笑顔で立っていた。
見た感じからすると、彼の種族はドワーフか。ドワーフは力持ちで職人気質……の設定で鍛治や大工スキルにボーナスがつく。ノームやワルキュラと並び生産系で人気の種族である。船大工のドワーフなのかな?
「ガハハハ、釣り大会と来たか! 兄ちゃん、面白れえな」
「楽しみにしていた釣り大会なので」
「楽しみも何も、そいつはもういいか。どうだ、兄ちゃん、俺が連れてってやろうか」
「えええ! ぜひ!」
ドワーフの船員が連れてってくれるのなら、是非も無し。
半信半疑でアーニーと顔を見合わせる俺たちに対し、叫ぶもう一人の船員。
「船長! 無茶ですって!」
「なあに船首を港側に向けりゃいい。尻に一発喰らっても一発くらいなら沈まねえだろ」
「全く……」
「びびった奴は降りててもいいぜ」
「こんな船長についていく船員ですぜ。俺たちゃ船長の船を心配していただけでさあ」
ガハハハと笑い合う船員と船員ではなく船長のドワーフであった。ドワーフの船長なら自分で船の修理もやってのけそうだよな。船大工兼船長とはある意味効率がよい。ドワーフの船長の船はは交易船に見えないから、船体に傷がつくこともままありそうだ。
「さあ、兄ちゃんら、乗った乗った」
船員の手招きに、お礼を述べてから船に乗り込む。
余談であるが、船から残橋への渡しが無かったが喫水も高くないし、軽くジャンプすれば事足りた。
帆をあげ船が動き出す。アナザーワールドオンラインの船は大きく分けて三種類の動力がある。この世界でも恐らく同じ……だと思う。
ゲームから数百年経過しているので、技術の進歩はあるかもだけど……ドワーフの船長の船については、ゲーム時代の帆船と見た目が殆ど変わらない。
ゲームと同じならサイズは10人乗りくらいで中型の帆船になると思う。
あ、動力の話だった。動力となるのは帆を使った風力メインのもの、ガレー船やカヌーにような人力で櫂やオールを動かすもの、最後が魔法だ。
複数組み合わせているパターンも多いが、これ以外の……例えば電力モーターを使ったものとかは存在しない。
などと考えている間に船が進み、残橋が遠くに見える距離まで進むと入り江の様子もハッキリと見えてきた。
「あそこにサーペントがいます!」
「お、アーニー、発見が早いな!」
彼女の指し示す方向には、まだ俺の拳ほどの大きさであるが、確かにサーペントの頭だ。黒っぽい鱗だから見え辛いんだよね。
アーニーはよくサーペントの頭を見つけたものだよ。
サーペントのいる場所が分かったので、周囲の地形も見える範囲で確認しておこう。
波の様子からして、暗礁があるっぽいな。頭を出している岩礁もありそうだ。いざとなれば足場にできなくはないけど、あの面積じゃ釣り上げても海に逃げられるよなあ。
「船長、暗礁地帯があるみたいですが、船が通ることはできるんですか?」
「問題ねえ。ほら、あれが目印だ」
「灯台が?」
「おうよ、灯台からこう斜めに線を引いたところの内側は通らねえ方がいい」
サーペントのいる場所はドワーフの船長が示した位置より内側になる。
などと心配していたのだが、サーペントの方から船へ向かってきてくれた。
いいぞいいぞ、と歓迎する俺とは異なり、船内が騒然となる。
「船長! 衝突する前に逃げましょう!」
「船長!」
騒ぐ船員たちに対しドワーフの船長は俺の肩へ手を乗せ、もう一方の手の親指を立てた。
「いけるか?」
「はい、アーニー、念のため構えておいてもらえるか?」
「はいー!」
うっし、そんじゃあ、やるぞお。釣りスキルの威力を見せてやるぜ。
右手を振り、手の平から魔法陣が浮かび上がる。
「てんちょお、あれ、サーペントロードぽいですね」
「んだな、全身が見えてないけど、額の三日月マークはきっとサーペントロードだ」
アーニーの言葉に応えるほどの余裕を見せつつも、じっとタイミングを計っているのだ。
釣り竿を投げ入れるんじゃなく、魔法のタイミングを。
サーペント系を釣り上げるには魔法かそれに準じるアイテムを使わないと、釣り熟練度最大でも釣り成功率5割いかないんだよねえ。
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