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第33話 砂海漁師組合
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やって参りました。砂海漁師組合へ。探索者ギルドに行くよりは漁船に乗ることができる砂海漁師組合の方かなあと思って。漁師組合の建物内の雰囲気は探索者ギルドに似ている。ボードに依頼が張り出されていて、探索者ギルドと同じく奥に受付の人たちが並ぶ。
アーニーと共にあれやこれやと依頼を探すと探索者ギルド的な依頼もちらほらと掲示されていることが分かった。
探索者ギルドぽいのは討伐や採取の依頼だな。単純な漁師募集よりも依頼数が多いかもしれない。まあ、街の構造を考えると漁師が多い街だと思うんだよね。
海へつながる港もあれば、反対側には砂海もある。もっとも、砂海と海では漁師として求められるスキルが随分と異なるのではあるが……。
どっちがいいとかどっちが悪いというのは甲乙つけがたい。俺の知る限り、モンスターの平均レベルが高いのは砂海。一方で海の方は超高レベル帯のバケモノクラスが何種かいる。海でバケモノクラスに遭遇してしまったら、ぺぺぺじゃひとたまりもないので、接敵即逃亡で安定だ。
などと考えながら依頼書を見ていたら、唐突に後ろから声をかけられた。依頼書に集中していたから気配に全く気が付かなくてドキッとしたのは内緒である。
「なあ、兄ちゃんたち、探索者だろ?」
「ん?」
目線をやるも、声の主はいない。いや、視線が低くなり一瞬分からなかっただけだった。まさか砂海漁師組合に子供がいるなんて思って無かったから。
声の主は8から10歳くらいで、ボサボサ頭に日に焼けた健康的な肌、そばかすがチャーミングポイントの少年だった。半袖のシャツにハーフパンツ。腰には魚篭、手には釣り竿と釣りに出かける準備万端といった感じである。砂海スタイルというよりは、川へ魚釣りに出かける恰好に見えるが、この辺りに川なんてあったかな? 街というのは大抵豊富な水源を持っているから、街で聞けばすぐに川の場所が分かると思う、多分。
「どうしたの?」
俺の代わりに膝を曲げ、彼に目線を合わせて問いかけるアーニー。
「フェイオーのところへ連れてって欲しいんだ」
「フェイオー? 大顎? かな?」
「山のように大きなエイの怪物だよ!」
特徴からして大顎のような気がする。ゲーム内の大顎は所謂イベントモンスターだった。大顎に飲み込まれると行き先が三つあってさ。
一つは隠された街へ繋がる道。二つ目は遠く離れたどこかの土地へ。離れた土地は多くの場合、ダンジョンの入り口だったかな。最後は特に何も起こらない。 何も起こらなかった場合は食いつぶされる前に転移系の魔法で脱出する。
「大顎がいるのは砂海かな?」
「うん! 砂上船も出せるよ!」
ふんふん、砂上船も出してくれて大顎ツアーか。悪くない。話の流れからしてこの少年が同行するとなりそうだけど、彼一人ならアーニーもいるし護ることはできる。あとは船員次第かなあ。条件を聞いてみるか。
「砂上船には全部で何人乗る予定なの?」
「おいらと兄ちゃんたちだよ」
「砂上船だけ借りても、俺たちは操船がわからない」
「おいら一人で大丈夫だよ!」
なんと、少年一人で操船可能とのこと。本当に一人で操船できるのか、とか疑うことはない。彼が出来ると言っているのだから。万が一の時はゲートで彼もつれて脱出できるしさ。
「目的地はフェイオーのいるところ、だよな。場所は分かるものなの?」
「うん、出てくる場所は分かっているよ」
大顎の出現場所まで分かっているのなら言うことない。彼以外に船員はおらず、何かと詮索される心配もしなくてよいとか、中々の好条件じゃないか。
「アーニー、少年の砂上船に乗りたいんだけど、よいかな?」
「もちろんです!」
「少年、と言うわけで船に乗せてもらえるかな? お金は払うよ」
アーニーの了解を取り、少年へ同行したい旨を伝えたのだが、えらく驚いている。変なことを言ったつもりはないのだがこれいかに?
「おいら必ず後でお金を……じゃなくて、おいらに?」
「あ、うん、釣船に乗せてもらうんだから乗船料をって」
「ただの砂海釣りじゃないんだよ、兄ちゃん」
「護衛の依頼だったのかな、俺たちと少年だけなんだし、一つ提案なんだけど――」
少年の言葉で大顎のいるだろう場所は街から遠いのだろうと予想がついた。俺としては日帰りで行って、見て、帰るくらいかなと思っていたので、数時間釣りができるかなって、なので釣り船への乗船と考えていたんだ。
一方、少年はそれなりの旅路で道中危険も伴うから「連れて行って欲しい」と発言していた。少年は最初から「連れて行って」と言っているわけで、勝手に勘違いしたのは俺の方なんだよね。
そこで少年には、道中釣りをさせてもらう代わりに護衛代と乗船料を差し引きゼロにしてもらえないかと提案した。彼は渋っていたけど、兄ちゃんがいいならそれで、と最終的には折れてくれたのである。どっちが大人か分からんな、こいつは。
◇◇◇
「おおおお」
「ほええ、こんな砂上船があるんですねー」
スループ砂上船だよな、これ。縦に長く、マストは一本でヨットと同じように一人で操船できる。ヨットだと二人乗るともうスペースが一杯になるのだが、こちらは四人まで乗船可能と積載量が多い。更にヨットよりもスピードが出るとまさにいいとこ揃いだ。その分、五人乗船可能な複数人で操船するタイプの砂上船より値段が高い。多少高いではなく、倍くらいする。まとめるとソロで砂海を進むならスループ砂上船が至上だな、うん。
残念ながら操船スキルは保持していないため、俺には船を操ることはできない。砂海を進むことができるペットがいればなんとかなったからなあ。
「準備できたよ!」
少年……ハジが手招きする。
「よし、行こう」
「はい!」
アーニー、俺の順でスループ砂上船に乗り込んだ。さあて、どんな獲物が釣れるのか楽しみ。
※更新忘れてました!
アーニーと共にあれやこれやと依頼を探すと探索者ギルド的な依頼もちらほらと掲示されていることが分かった。
探索者ギルドぽいのは討伐や採取の依頼だな。単純な漁師募集よりも依頼数が多いかもしれない。まあ、街の構造を考えると漁師が多い街だと思うんだよね。
海へつながる港もあれば、反対側には砂海もある。もっとも、砂海と海では漁師として求められるスキルが随分と異なるのではあるが……。
どっちがいいとかどっちが悪いというのは甲乙つけがたい。俺の知る限り、モンスターの平均レベルが高いのは砂海。一方で海の方は超高レベル帯のバケモノクラスが何種かいる。海でバケモノクラスに遭遇してしまったら、ぺぺぺじゃひとたまりもないので、接敵即逃亡で安定だ。
などと考えながら依頼書を見ていたら、唐突に後ろから声をかけられた。依頼書に集中していたから気配に全く気が付かなくてドキッとしたのは内緒である。
「なあ、兄ちゃんたち、探索者だろ?」
「ん?」
目線をやるも、声の主はいない。いや、視線が低くなり一瞬分からなかっただけだった。まさか砂海漁師組合に子供がいるなんて思って無かったから。
声の主は8から10歳くらいで、ボサボサ頭に日に焼けた健康的な肌、そばかすがチャーミングポイントの少年だった。半袖のシャツにハーフパンツ。腰には魚篭、手には釣り竿と釣りに出かける準備万端といった感じである。砂海スタイルというよりは、川へ魚釣りに出かける恰好に見えるが、この辺りに川なんてあったかな? 街というのは大抵豊富な水源を持っているから、街で聞けばすぐに川の場所が分かると思う、多分。
「どうしたの?」
俺の代わりに膝を曲げ、彼に目線を合わせて問いかけるアーニー。
「フェイオーのところへ連れてって欲しいんだ」
「フェイオー? 大顎? かな?」
「山のように大きなエイの怪物だよ!」
特徴からして大顎のような気がする。ゲーム内の大顎は所謂イベントモンスターだった。大顎に飲み込まれると行き先が三つあってさ。
一つは隠された街へ繋がる道。二つ目は遠く離れたどこかの土地へ。離れた土地は多くの場合、ダンジョンの入り口だったかな。最後は特に何も起こらない。 何も起こらなかった場合は食いつぶされる前に転移系の魔法で脱出する。
「大顎がいるのは砂海かな?」
「うん! 砂上船も出せるよ!」
ふんふん、砂上船も出してくれて大顎ツアーか。悪くない。話の流れからしてこの少年が同行するとなりそうだけど、彼一人ならアーニーもいるし護ることはできる。あとは船員次第かなあ。条件を聞いてみるか。
「砂上船には全部で何人乗る予定なの?」
「おいらと兄ちゃんたちだよ」
「砂上船だけ借りても、俺たちは操船がわからない」
「おいら一人で大丈夫だよ!」
なんと、少年一人で操船可能とのこと。本当に一人で操船できるのか、とか疑うことはない。彼が出来ると言っているのだから。万が一の時はゲートで彼もつれて脱出できるしさ。
「目的地はフェイオーのいるところ、だよな。場所は分かるものなの?」
「うん、出てくる場所は分かっているよ」
大顎の出現場所まで分かっているのなら言うことない。彼以外に船員はおらず、何かと詮索される心配もしなくてよいとか、中々の好条件じゃないか。
「アーニー、少年の砂上船に乗りたいんだけど、よいかな?」
「もちろんです!」
「少年、と言うわけで船に乗せてもらえるかな? お金は払うよ」
アーニーの了解を取り、少年へ同行したい旨を伝えたのだが、えらく驚いている。変なことを言ったつもりはないのだがこれいかに?
「おいら必ず後でお金を……じゃなくて、おいらに?」
「あ、うん、釣船に乗せてもらうんだから乗船料をって」
「ただの砂海釣りじゃないんだよ、兄ちゃん」
「護衛の依頼だったのかな、俺たちと少年だけなんだし、一つ提案なんだけど――」
少年の言葉で大顎のいるだろう場所は街から遠いのだろうと予想がついた。俺としては日帰りで行って、見て、帰るくらいかなと思っていたので、数時間釣りができるかなって、なので釣り船への乗船と考えていたんだ。
一方、少年はそれなりの旅路で道中危険も伴うから「連れて行って欲しい」と発言していた。少年は最初から「連れて行って」と言っているわけで、勝手に勘違いしたのは俺の方なんだよね。
そこで少年には、道中釣りをさせてもらう代わりに護衛代と乗船料を差し引きゼロにしてもらえないかと提案した。彼は渋っていたけど、兄ちゃんがいいならそれで、と最終的には折れてくれたのである。どっちが大人か分からんな、こいつは。
◇◇◇
「おおおお」
「ほええ、こんな砂上船があるんですねー」
スループ砂上船だよな、これ。縦に長く、マストは一本でヨットと同じように一人で操船できる。ヨットだと二人乗るともうスペースが一杯になるのだが、こちらは四人まで乗船可能と積載量が多い。更にヨットよりもスピードが出るとまさにいいとこ揃いだ。その分、五人乗船可能な複数人で操船するタイプの砂上船より値段が高い。多少高いではなく、倍くらいする。まとめるとソロで砂海を進むならスループ砂上船が至上だな、うん。
残念ながら操船スキルは保持していないため、俺には船を操ることはできない。砂海を進むことができるペットがいればなんとかなったからなあ。
「準備できたよ!」
少年……ハジが手招きする。
「よし、行こう」
「はい!」
アーニー、俺の順でスループ砂上船に乗り込んだ。さあて、どんな獲物が釣れるのか楽しみ。
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