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第42話 世界地図
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聖骸の雫(この時代では聖杯の水)は、錬金術の素材として使われる。今のところこの世界はゲーム時代の設定を引き継いでいるから、同じアイテムの錬成のために使う、と考えてよさそうだ。
そして、錬金術でどのようなアイテムが欲しいのかはハミルトンの説明を読めば推測できるはず。
「読み上げますね」
「頼む」
アーニーが詰まりながらもハミルトンからの依頼文を読み上げてくれた。
『依頼主は王都の王立錬金術術協会です。発信元が王立だからか、王国内の全探索者ギルドに依頼が出ました。アーモンドアイも王国内の街ですので、王立錬金術協会からの依頼を受けています。聖杯の水を何に使うのかは明示されておりませんが、これほど広範囲な依頼が出ることは非常に珍しいことなのです。依頼が出てから既に半年ほど経過しており、報酬額が二倍に引き揚げられました。カイト様、アーニーならば聖杯の水を持ち帰ることも可能ではと思い、不躾ながらメッセージを送らせていただきました。もしお手すきでしたら――』
以下雑談的なものが続いている。
アーニーが俺に伝えることも考慮し、補足説明まで入れてくれていてありがたい。ところどころ立場上書けないけど、察してくれな部分があり、ハミルトンらしいなとクスリときた。
王立錬金術協会という組織は初めて聞くし、王国も同じくである。しかし、これって「さるやんごとなきお方」からの依頼だろ。さすがに王妃とか王女まではいかないだろうけど、高位貴族の誰か、が依頼元じゃないかな。ここまで分かると、求めるアイテムが何かも分かってくる。
貴族が聖骸の雫を求めるとなったら、ポーション類に違いない。
「聖骸の雫だったらカースか毒かどっちかだったっけ?」
「錬金術ですか? わたし、錬金術は全然分からないです!」
「俺も生産専門キャラはまだ作ってなかったんだよな」
「生産専門?」
「あ、いや、こっちの話」
アーニーにキャラクターうんぬん言っても意味不明だものね。つい思ったままを口にしてしまい、ちょっとばかし反省である。
うっかりな自分に内心喝を入れていたら、アーニーがワクワクと尻尾と耳を跳ねさせながら尋ねてくる。
「グレートカルデラ湖、行きますか?」
「んだな、釣りついでに水中神殿にも行ってみよう」
「やったー」
「アーニー、俺が消える前と今とじゃ、グレートカルデラ湖の場所って変わってないよな?」
「はいー、大地が動いているわけではありませんので」
街はともかくとして、ダンジョンや山、川の位置は変わってないってことね。
しかし、ゲートで移動することに慣れきっていて、ホームからグレートカルデラ湖までの道のりが分かっていないんだよな、これが。
「ちょっと待ってて、インベントリーを見てみる」
一言アーニーに断ってから、趣味アイテムを詰め込んでいたインベントリーを漁る。たしか、捨てずに置いておいたはずなんだよなあ。
お、あったあった。
「じゃじゃーん、世界地図タペストリー」
「どこの壁に飾りますかー?」
あ、いや、確かに装飾系のアイテムなのだけど、ほら、世界地図が描かれているんだぞ。
ほれほれ、とアーニーに見せるも、いまいち反応がない。
「ほら、ここ、グレートカルデラ湖って名前まで書いてるだろ」
「おおー」
「んで、この赤い点がホームなんだよ」
「移動したら赤い点も移動するんですか?」
「その通り! こいつを持ち歩けば現在地も分かる、これでグレートカルデラ湖を目指せるんだ」
「行きましょう、行きましょう!」
とっててよかった趣味アイテム。現在地を示す赤い点のギミックも、この上なく使える。
世界地図だから縮尺率に難はあるものの、現在地が分かるから凡その場所を把握しながら進むことができるから大助かりだ。
「ペットに乗って行くにしても相当距離がある、のんびり進めばいいさ」
「はいー、あ、飛行船に乗るのはどうですか?」
「飛行船?」
「今は定期便があるんですよ!」
飛行船が定期便になっていたとは驚きだ。ゲームではイベント開催時に、イベント会場までの移動に飛行船を使うことがあった。
俺の肩に顔を寄せたアーニーが後ろから、とんとんと世界地図に指をあてる。回り込めばいいのに、何故後ろから……窮屈すぎてかなわん。
「ここがアーモンドアイです! 定期便はルンドルフまで出ているんですよ」
「ルンドルフはどの辺りになるの?」
「ここです!」
「おお、ルンドルフにゲートの拠点登録してから、あとはペットで進んで行けばいいか」
目測であるが、ルンドルフからペットに騎乗して進むとすると、早くて二日くらいの距離になる。
夜はホームで休み、ゲートで朝に進んだ場所まで移動する、楽々旅で行く。いやあ、ほんとゲートって便利だよね、うん。
ホームで風呂に入り、ベッドで眠る、休日の日帰りアウトドア感覚で旅を楽しむことができるのだから。
◇◇◇
翌朝、さっそくアーモンドアイのアーニーの家経由で街に繰り出す。先に飛行船のチケットを買って、時間までは日用品を買い漁った。
いやあ、この前の討伐報酬様様だよ、ほんと。まだまだお金に余裕があるから、お昼もレストランで食事をしたんだよね。
アーモンドアイならイモムシ料理もないし、おいしくいただくことができましたとさ。
「てんちょお、ゲートで移動できるんですから夜はサンドシティで食べませんか?」
「い、いや、せっかくなら行先のルンドルフで食べようよ、初めて行く街だし。アーニーはルンドルフまで行ったことあるの?」
「ないですよお。あればゲートでてんちょおを案内してましたよ」
「そういえば、そうかー」
アーニーがルンドルフの街にゲートの拠点登録をしていれば、さくっと移動して終わりだったものな。
しかし、飛行船があるとなったら、彼女のゲートがあってもわざわざ飛行船を選んでいたかもしれない。だってさ、空の旅ってワクワクするだろ。
せっかくの異世界、楽しまなきゃ損だぜ。うん。
そして、錬金術でどのようなアイテムが欲しいのかはハミルトンの説明を読めば推測できるはず。
「読み上げますね」
「頼む」
アーニーが詰まりながらもハミルトンからの依頼文を読み上げてくれた。
『依頼主は王都の王立錬金術術協会です。発信元が王立だからか、王国内の全探索者ギルドに依頼が出ました。アーモンドアイも王国内の街ですので、王立錬金術協会からの依頼を受けています。聖杯の水を何に使うのかは明示されておりませんが、これほど広範囲な依頼が出ることは非常に珍しいことなのです。依頼が出てから既に半年ほど経過しており、報酬額が二倍に引き揚げられました。カイト様、アーニーならば聖杯の水を持ち帰ることも可能ではと思い、不躾ながらメッセージを送らせていただきました。もしお手すきでしたら――』
以下雑談的なものが続いている。
アーニーが俺に伝えることも考慮し、補足説明まで入れてくれていてありがたい。ところどころ立場上書けないけど、察してくれな部分があり、ハミルトンらしいなとクスリときた。
王立錬金術協会という組織は初めて聞くし、王国も同じくである。しかし、これって「さるやんごとなきお方」からの依頼だろ。さすがに王妃とか王女まではいかないだろうけど、高位貴族の誰か、が依頼元じゃないかな。ここまで分かると、求めるアイテムが何かも分かってくる。
貴族が聖骸の雫を求めるとなったら、ポーション類に違いない。
「聖骸の雫だったらカースか毒かどっちかだったっけ?」
「錬金術ですか? わたし、錬金術は全然分からないです!」
「俺も生産専門キャラはまだ作ってなかったんだよな」
「生産専門?」
「あ、いや、こっちの話」
アーニーにキャラクターうんぬん言っても意味不明だものね。つい思ったままを口にしてしまい、ちょっとばかし反省である。
うっかりな自分に内心喝を入れていたら、アーニーがワクワクと尻尾と耳を跳ねさせながら尋ねてくる。
「グレートカルデラ湖、行きますか?」
「んだな、釣りついでに水中神殿にも行ってみよう」
「やったー」
「アーニー、俺が消える前と今とじゃ、グレートカルデラ湖の場所って変わってないよな?」
「はいー、大地が動いているわけではありませんので」
街はともかくとして、ダンジョンや山、川の位置は変わってないってことね。
しかし、ゲートで移動することに慣れきっていて、ホームからグレートカルデラ湖までの道のりが分かっていないんだよな、これが。
「ちょっと待ってて、インベントリーを見てみる」
一言アーニーに断ってから、趣味アイテムを詰め込んでいたインベントリーを漁る。たしか、捨てずに置いておいたはずなんだよなあ。
お、あったあった。
「じゃじゃーん、世界地図タペストリー」
「どこの壁に飾りますかー?」
あ、いや、確かに装飾系のアイテムなのだけど、ほら、世界地図が描かれているんだぞ。
ほれほれ、とアーニーに見せるも、いまいち反応がない。
「ほら、ここ、グレートカルデラ湖って名前まで書いてるだろ」
「おおー」
「んで、この赤い点がホームなんだよ」
「移動したら赤い点も移動するんですか?」
「その通り! こいつを持ち歩けば現在地も分かる、これでグレートカルデラ湖を目指せるんだ」
「行きましょう、行きましょう!」
とっててよかった趣味アイテム。現在地を示す赤い点のギミックも、この上なく使える。
世界地図だから縮尺率に難はあるものの、現在地が分かるから凡その場所を把握しながら進むことができるから大助かりだ。
「ペットに乗って行くにしても相当距離がある、のんびり進めばいいさ」
「はいー、あ、飛行船に乗るのはどうですか?」
「飛行船?」
「今は定期便があるんですよ!」
飛行船が定期便になっていたとは驚きだ。ゲームではイベント開催時に、イベント会場までの移動に飛行船を使うことがあった。
俺の肩に顔を寄せたアーニーが後ろから、とんとんと世界地図に指をあてる。回り込めばいいのに、何故後ろから……窮屈すぎてかなわん。
「ここがアーモンドアイです! 定期便はルンドルフまで出ているんですよ」
「ルンドルフはどの辺りになるの?」
「ここです!」
「おお、ルンドルフにゲートの拠点登録してから、あとはペットで進んで行けばいいか」
目測であるが、ルンドルフからペットに騎乗して進むとすると、早くて二日くらいの距離になる。
夜はホームで休み、ゲートで朝に進んだ場所まで移動する、楽々旅で行く。いやあ、ほんとゲートって便利だよね、うん。
ホームで風呂に入り、ベッドで眠る、休日の日帰りアウトドア感覚で旅を楽しむことができるのだから。
◇◇◇
翌朝、さっそくアーモンドアイのアーニーの家経由で街に繰り出す。先に飛行船のチケットを買って、時間までは日用品を買い漁った。
いやあ、この前の討伐報酬様様だよ、ほんと。まだまだお金に余裕があるから、お昼もレストランで食事をしたんだよね。
アーモンドアイならイモムシ料理もないし、おいしくいただくことができましたとさ。
「てんちょお、ゲートで移動できるんですから夜はサンドシティで食べませんか?」
「い、いや、せっかくなら行先のルンドルフで食べようよ、初めて行く街だし。アーニーはルンドルフまで行ったことあるの?」
「ないですよお。あればゲートでてんちょおを案内してましたよ」
「そういえば、そうかー」
アーニーがルンドルフの街にゲートの拠点登録をしていれば、さくっと移動して終わりだったものな。
しかし、飛行船があるとなったら、彼女のゲートがあってもわざわざ飛行船を選んでいたかもしれない。だってさ、空の旅ってワクワクするだろ。
せっかくの異世界、楽しまなきゃ損だぜ。うん。
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