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第58話 やりすぎはよくないぞ
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『グウウアアア!!』
氷が割れるとともに怒りの咆哮をあげたウリドラが勢いよく空へと飛びあがる。
海水を凍らせたり、と色々嫌がらせしたからもう海の中はこりごりとでも思ってくれたのかもしれない。
空に飛びあがったことで奴の全身が見えたのだが、圧巻の大きさだ。15メートルというとビル三階分ほどになるからな。
空から滑空してきて襲い掛かってこようとしているのだろうが、無防備に空中に飛びあがるのは悪手だぜ。こちらとしては氷を砕きながら進んでこられた方が厄介だった。
「魔法陣よ、力を示せ。マジックアロー」
発動とともに魔力の矢がウリドラに向けて飛んでいく。マジックアローは古代魔法の中で一番最初に使うことができるようになる攻撃魔法である。
無属性の魔法の矢を飛ばす魔法で、基礎威力は低い。その分、詠唱時間が短いってのが特徴だ。
初期で習得できる魔法だから使えない? いやいや、そんなことはないぜ。
マジックアローがウリドラに直撃し、ドゴオオオンと爆発するような音が響き渡る。
その一発を鏑矢とし、次から次へとマジックアローがウリドラにヒットしていく。
余りの連射にウリドラが怯み、じわじわと後退していった。
「まだまだああ」
マジックアローの連射、連射、連射。
これぞマジックアローの真骨頂、ひたすら連打である。詠唱時間が短く、詠唱を高速化するスキルと合わせると待機時間ほぼゼロで次弾を放つことができるようになるのだ。基礎威力の倍率が低くとも、自分の魔法攻撃力を高めればネームドにだってダメージが入るようになる。
元が元だけに大した攻撃力にはならないのだけどね。魅力は連射性に尽きる。
「てんちょお、魔力をお渡しします! 魔法陣よ、力を示せ。トランスファー」
「ありがとう」
今度はちゃんと魔力を残して俺にトランスファーの魔法を使ってくれたようで、彼女は自分でがぶがぶ魔力回復ポーションを飲んでいた。
「どんどんトランスファーします!」
「俺はどんどこマジックアローを打つよ」
アーニーがひたすら魔力回復ポーションを飲み、俺へ魔力を送り、俺は俺でひたすらマジックアローを打つ。
これぞ、永久機関である。
なんだか楽しくなってきたぞ。高速連射するマジックアローの弾幕でウリドラは近寄ってくることができずにいる。
マジックアローだけでウリドラを倒しきることはほぼ不可能なのだけど、近寄らせないだけなら問題ない。俺の目的は討伐じゃなく、あっちいけ、だからね。
マジックアロー以外の手も用意しているが、今のところは効果的なのでこのまま連射してやるぜ。
「まだまだああ。あ」
「ウリドラが逃げて行きますね」
嫌気がさしてくれたのか、ウリドラが背を向け飛び去って行った。
おおし、やったぞお。
アーニーと抱き合い、ばんばんと彼女の背を叩く。
「ふう、どうにかこうにか撃退はできたな」
「はいい」
「しかし、まだ終わっていない。終わるまで今しばらくシュークリームの体でいなきゃ」
「私としてはそのままでも」
こらこら、頬をすりつけてくるんじゃねえ。
「よし、次の準備にとりかかる」
アーニーを引っぺがし、ゲートの呪文を唱える。
「どこに行かれるんですか?」
「一旦ホームに戻る、色々ため込んでいるから惜しみなく使うぜ」
「よくわかりませんが、お手伝いします!」
「おう」
◇◇◇
ホームに一度戻り、やってきたのは滝の裏である。
ウリドラを街から遠ざけることに成功したとしても、またいずれ襲来する可能性が高い。なので、元を断たねばならぬ。
かといってまともに相手をして倒しきるにはこちらにも危険が伴うだろ。
ならば、いずれここにウリドラが戻ってくるから、先に罠をしかけれるだけ仕掛けて優位を取って戦おうかなとね。
「ありったけの爆弾系アイテムを置いてっと」
「わたしたちも巻き込まれませんか?」
「そこは端っこに壁を張って凌ぐ」
「はいー」
爆弾系アイテムは正直おまけで、メインは拘束系の罠だ。
そこら中に張り巡らせて準備完了。
一体のネームド相手にやり過ぎなほど色々設置したけど、インベントリーにはまだまだ大量に同じようなアイテムが眠っているから問題ない。
罠ってなかなか使う機会がないんだよね。決まった場所にいるネームド相手には先にネームドの方がいるから罠をおけないし、移動しまくるネームドを待ち構えても、待ち構えた場所に来ないし、といった感じだ。
罠を全て設置し終えた頃には数時間が経過していた。既に何個の罠を設置したのか覚えてないほど辺りは罠で敷き詰められている。
「よおっし、あとは壁を張って待とうか」
「はいい。ストーンウォールですか?」
「そうしよう、俺が魔法を唱えるよ」
「はい!」
ふんふんと、ストーンウォールの魔法で石壁を出した直後、入口の方に気配を感じた。
この気配はウリドラで間違いない!
この後、一方的な展開となり、ウリドラを仕留めたのだが、余りに酷い過程は省略させてくれ。
一言で言うと、やりすぎた……。
「こ、こちらも危なかったです……」
「もう少し火力を抑えないとだったな……」
正直なところ、ウリドラより自爆ダメージが痛かった。ウリドラにダメージを入れていくには魔法じゃないとダメなのだけど、魔法に爆弾が誘爆してウリドラは平気でも俺たちがやけどする事態になってしまったのだよな。
ま、まあ、倒せたのでよしとしようじゃないか。は、ははは。
「ハミルトンへ討伐完了と伝えてもらえるか?」
「はいー」
とにもかくにも危機は去った。これでシュークリームの役割は終わりだな。
ホームへ戻ってキャラクターチェンジの検証をすることにしようか。
≪連続でキャラクターチェンジをすることはできません≫
ホームに戻ってさっそくメインインベントリーに触れ、コマンドを出した状態でキャラクターチェンジ「ぺぺぺ」と心の中で念じてみたら、キャラクターチェンジが発動した。
隠しコマンド的になってるんだな、これ。
うまく作動したのはいいのだが、クールタイムがあるとは嫌らしい。クールタイムがどれくらい時間を要するのか不明……数日でクールタイムが終わればいいんだけど、毎朝キャラクターチェンジを試すとするか。
氷が割れるとともに怒りの咆哮をあげたウリドラが勢いよく空へと飛びあがる。
海水を凍らせたり、と色々嫌がらせしたからもう海の中はこりごりとでも思ってくれたのかもしれない。
空に飛びあがったことで奴の全身が見えたのだが、圧巻の大きさだ。15メートルというとビル三階分ほどになるからな。
空から滑空してきて襲い掛かってこようとしているのだろうが、無防備に空中に飛びあがるのは悪手だぜ。こちらとしては氷を砕きながら進んでこられた方が厄介だった。
「魔法陣よ、力を示せ。マジックアロー」
発動とともに魔力の矢がウリドラに向けて飛んでいく。マジックアローは古代魔法の中で一番最初に使うことができるようになる攻撃魔法である。
無属性の魔法の矢を飛ばす魔法で、基礎威力は低い。その分、詠唱時間が短いってのが特徴だ。
初期で習得できる魔法だから使えない? いやいや、そんなことはないぜ。
マジックアローがウリドラに直撃し、ドゴオオオンと爆発するような音が響き渡る。
その一発を鏑矢とし、次から次へとマジックアローがウリドラにヒットしていく。
余りの連射にウリドラが怯み、じわじわと後退していった。
「まだまだああ」
マジックアローの連射、連射、連射。
これぞマジックアローの真骨頂、ひたすら連打である。詠唱時間が短く、詠唱を高速化するスキルと合わせると待機時間ほぼゼロで次弾を放つことができるようになるのだ。基礎威力の倍率が低くとも、自分の魔法攻撃力を高めればネームドにだってダメージが入るようになる。
元が元だけに大した攻撃力にはならないのだけどね。魅力は連射性に尽きる。
「てんちょお、魔力をお渡しします! 魔法陣よ、力を示せ。トランスファー」
「ありがとう」
今度はちゃんと魔力を残して俺にトランスファーの魔法を使ってくれたようで、彼女は自分でがぶがぶ魔力回復ポーションを飲んでいた。
「どんどんトランスファーします!」
「俺はどんどこマジックアローを打つよ」
アーニーがひたすら魔力回復ポーションを飲み、俺へ魔力を送り、俺は俺でひたすらマジックアローを打つ。
これぞ、永久機関である。
なんだか楽しくなってきたぞ。高速連射するマジックアローの弾幕でウリドラは近寄ってくることができずにいる。
マジックアローだけでウリドラを倒しきることはほぼ不可能なのだけど、近寄らせないだけなら問題ない。俺の目的は討伐じゃなく、あっちいけ、だからね。
マジックアロー以外の手も用意しているが、今のところは効果的なのでこのまま連射してやるぜ。
「まだまだああ。あ」
「ウリドラが逃げて行きますね」
嫌気がさしてくれたのか、ウリドラが背を向け飛び去って行った。
おおし、やったぞお。
アーニーと抱き合い、ばんばんと彼女の背を叩く。
「ふう、どうにかこうにか撃退はできたな」
「はいい」
「しかし、まだ終わっていない。終わるまで今しばらくシュークリームの体でいなきゃ」
「私としてはそのままでも」
こらこら、頬をすりつけてくるんじゃねえ。
「よし、次の準備にとりかかる」
アーニーを引っぺがし、ゲートの呪文を唱える。
「どこに行かれるんですか?」
「一旦ホームに戻る、色々ため込んでいるから惜しみなく使うぜ」
「よくわかりませんが、お手伝いします!」
「おう」
◇◇◇
ホームに一度戻り、やってきたのは滝の裏である。
ウリドラを街から遠ざけることに成功したとしても、またいずれ襲来する可能性が高い。なので、元を断たねばならぬ。
かといってまともに相手をして倒しきるにはこちらにも危険が伴うだろ。
ならば、いずれここにウリドラが戻ってくるから、先に罠をしかけれるだけ仕掛けて優位を取って戦おうかなとね。
「ありったけの爆弾系アイテムを置いてっと」
「わたしたちも巻き込まれませんか?」
「そこは端っこに壁を張って凌ぐ」
「はいー」
爆弾系アイテムは正直おまけで、メインは拘束系の罠だ。
そこら中に張り巡らせて準備完了。
一体のネームド相手にやり過ぎなほど色々設置したけど、インベントリーにはまだまだ大量に同じようなアイテムが眠っているから問題ない。
罠ってなかなか使う機会がないんだよね。決まった場所にいるネームド相手には先にネームドの方がいるから罠をおけないし、移動しまくるネームドを待ち構えても、待ち構えた場所に来ないし、といった感じだ。
罠を全て設置し終えた頃には数時間が経過していた。既に何個の罠を設置したのか覚えてないほど辺りは罠で敷き詰められている。
「よおっし、あとは壁を張って待とうか」
「はいい。ストーンウォールですか?」
「そうしよう、俺が魔法を唱えるよ」
「はい!」
ふんふんと、ストーンウォールの魔法で石壁を出した直後、入口の方に気配を感じた。
この気配はウリドラで間違いない!
この後、一方的な展開となり、ウリドラを仕留めたのだが、余りに酷い過程は省略させてくれ。
一言で言うと、やりすぎた……。
「こ、こちらも危なかったです……」
「もう少し火力を抑えないとだったな……」
正直なところ、ウリドラより自爆ダメージが痛かった。ウリドラにダメージを入れていくには魔法じゃないとダメなのだけど、魔法に爆弾が誘爆してウリドラは平気でも俺たちがやけどする事態になってしまったのだよな。
ま、まあ、倒せたのでよしとしようじゃないか。は、ははは。
「ハミルトンへ討伐完了と伝えてもらえるか?」
「はいー」
とにもかくにも危機は去った。これでシュークリームの役割は終わりだな。
ホームへ戻ってキャラクターチェンジの検証をすることにしようか。
≪連続でキャラクターチェンジをすることはできません≫
ホームに戻ってさっそくメインインベントリーに触れ、コマンドを出した状態でキャラクターチェンジ「ぺぺぺ」と心の中で念じてみたら、キャラクターチェンジが発動した。
隠しコマンド的になってるんだな、これ。
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※本作は他サイトでも掲載しています
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