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8章
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しおりを挟むライルの言葉にも一切気にした様子を見せないククス。
図太いな…
「ライル、控えなさい。
ククスも、不用意な発言は控えてください。
それにティナさんを巻き込むことは私が許しません。」
キッパリと言い切るアリサ。
昔は人の顔色を伺って上手く話せなかったのに、今ははっきりと意見を言えるようになって…お父さんは嬉しいよ。
プライベートではのほほんとしているアリサも仕事となれば別人だ。
この切り替えも凄いよな。
「へいへい。
アリサも立派なティナちゃん信者だからな。」
「ククス、ここが何をする場かお忘れですか?」
「はいはい、控える控える。
でもさ、ティナが1番適役だと思わないか?」
なおも続けようとするククスにアリサがどこから出したのかわからない小さな隠しナイフを投げる。
アリサの手を離れたナイフはククスの頬を掠め後ろの壁に突き刺さる。
「っ……わかった、もう言わない。」
さすがにククスもここまでされれば引くようだ。
話題の中心であるはずのティナは何事もなかったかのようにいつの間にか用意された紅茶に口を付けていた。
ティナ…ちょっとはこの状況、気にしてほしいなってお兄ちゃんは思うぞ。
「さて、話を戻しましょう。
ここ4、5日動きがないのも気になります。
張り込みがバレているのか、それともそろそろ動き出すのか…
犯行の間隔からすると昨日、今日辺りに行われるかと予測していたのですが…」
「そうだな…
バレている可能性がないわけではないが…」
「バレていない可能性もある。
でもなぁ…そんなこと考えたって仕方ないよな。
今はまだ情報が足りなさすぎる。」
「偶然にも3日後、夜会が開かれます。
そこで情報を集めるのもありかもしれません。
僕とアリサは外交関係で出席、騎士団は警備で出払います。
ティナさんはまだ夜会には早いですし…
ギル、出席していただけませんか?」
「それは構わないが…」
「私も出席するわ。」
「ティナ…」
「社交界デビューか?
ならオレがエスコートするぜ!」
「ダメだ。」
「それはどっちに対してだよ?」
「両方に決まってるだろ。」
「ギル兄様、なぜ出席してはいけないの?
私だって公爵令嬢よ?
いずれは出席することになるのよ?」
「例えそうでも今じゃない。」
「ギル兄様、私はもう大人よ?
縁談だっていくつも頂いてるんだから。」
「ティナちゃーん、それは今言わない方がいいぜ。
火に油を注いじゃ、めっ!」
「ククスは黙ってて。」
一切引こうとしないティナにため息が出てしまう。
縁談の話を聞きピクピクと眉が動いていたのだろう。
やばっとククスがティナを止めるがティナは聞く耳を持たないようだ。
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