全て平凡な僕。え?僕が主人公ですか?お断りします。

46ねこ

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プロローグ

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 さすがの僕でもわかります。
 これが、芸術的でしょう?で済まないことくらい…
 後日、庭の惨状を目にして倒れる庭師が目に浮かぶようです。
 庭師さんの心労を考えるとこのままにはしておけません。
 なので仕方なくレティにお願いし、復元魔法で元の庭へと戻してもらう。
 さすがレティです。
 僕ではこうも完璧にはいかないでしょう。
 お礼を言い頭を撫でるとレティは最高の笑顔を浮かべ上機嫌で部屋へと戻っていった。
 それとは逆にロットは凄く落ち込んだ様子でレティの後を追う。
 あとでフォローを入れておいた方が良さそうですね。

 それにしても明日の依頼、野営も含まれるようですし少し準備しておいた方が良さそうですね。

 僕が平凡にも関わらず勇者様御一行にクエストに誘われる理由は三つ。

 一つ、ただ単に僕がシオン兄さんの弟で、尚且つシルキー姉さんの弟だから。
 シオン兄さんよりもシルキー姉さんの弟だということの方が大きい気がしますが…
 僕といることでシルキー姉さんとの接点が増えるからでしょう。

 二つ、僕が持つ鞄が万能だから。
 この鞄は僕が冒険者登録をしたその日に兄さんからお祝いに、とプレゼントしていただいたものです。
 亜空間に繋がっており、ほぼ無限に荷物を詰め込むことが可能です。
 これほどの容量があるものならば物凄く高価なはずなのに兄さんはこれを手に入れた時、僕に譲ると心に決めたそうです。
 兄さんが使えば良いのに「自分にはコレがあるから。」と僕が兄さんの冒険者登録のお祝いに贈った鞄を後生大事に使っているのです。
 そんな大したものではないのに…なんだか申し訳ない気持ちになります…

 三つ、僕が何でも平凡にこなすから、だそうです。
 特に苦手分野もなく得意分野もない。
 そんな僕ですが一応一通り何でも出来ます。
 そして勇者様御一行には主に料理の腕が買われているそうです。
 勇者様御一行は料理が出来る方が一人もいないそうで…僕が初めてご一緒した時の夕食はそれはもう酷い有様でした。
 失礼ですがあれは人が食べるものではない、そう思うほどです。
 僕は身の危険を感じ、自分の身を守るためにクエストに出た時は食事は自分で作ろうと心に決めた出来事でした。
 こうして僕が作った料理を食べて何故か気に入った勇者様御一行は日数がかかるクエストには必ず僕を強制連行するように…
 僕、何か間違えましたかね…?

 まぁ、そういうことですので調理道具の手入れと調味料の調達、あと日持ちする食材もあれば完璧ですね。
 今から買い出しに行くべきか…
 いえ、ここはあの方にお願いしましょう。
 うちの執事長、通称セバスチャンにお願いすれば調味料や日持ちする食材は全て揃います。
 いえ、揃えてくれます。
 なのでいつも頼りにしてしまう、僕もいい加減自立しなくては…と思いつつも先延ばしにしてしまう…
 本当、ダメですね。





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