全て平凡な僕。え?僕が主人公ですか?お断りします。

46ねこ

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プロローグ

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 夕食の前にはリストにあった物全てを揃え部屋へと届けてくれるセバスチャン。
 流石ですね、仕事が早い。
 届けられた食材や調味料を全て鞄に詰め込み、整備の終わった調理道具も順番に入れていく。
 これで大体の準備は完了ですかね?
 ふぅー、と一息ついた時、ドアがノックされ返事をするとメイドさんが夕食の支度が整ったことを知らせてくれる。
 兄妹はもう席に着いているようだ。
 待たせては申し訳ないと急ぎ足で向かい部屋に入るとすぐに兄さんが駆け寄ってくる。


「ノルム、さっきレティとロットから聞いたよ。
 明日クエストに行くって本当かい?」

「えぇ…事実です。」


 遅かれ早かれ話すつもりだったのでバレても問題はありませんが…せめて席に着いてからこの話題を切り出してほしかったですね…


「兄さん、とりあえず座ったら?
 食事が冷めるわよ。」

「ぁ、あぁ、そうだね…
 とりあえず頂きながら話を聞こう…」


 姉さんにいさめられ兄さんはハッとし席を引いて座るように促してくれる。
 僕はそれに従い席に着く。


「それで?
 一体どう言うことなんだい?」

「どう言うことも何も…いつものヴァイスさんの強制召喚ですよ。
 今日家に来られて概要の書かれた紙を置いていかれました。」

「あいつ…またノルムをっ…」


 ヴァイスさんというのは昼間うちに来た彼、自称っ…じゃなかった、勇者様のお名前です。
 兄さんの手に力が入り一瞬でナイフの形が変わる。
 兄さん、その右手に持ったナイフ、もう使えませんね…
 無惨にも折れ曲がってしまっています…


「僕が行く理由はいつも通り食事のためでしょう。
 なので討伐の先頭に立つこともないでしょうし勇者様御一行です、僕の出番はありませんよ。
 なので僕に危険が及ぶことはほぼありません。
 そんなに心配しなくても大丈夫ですよ。」

「討伐⁉︎
 例えそうだとしてもやっぱり心配は心配だ!
 何なら兄さんが一緒に行こうか?」

「兄さん…」


 なぜうちの家族はこんなに…確に兄さんや姉さん、レティやロットと比べれば僕はかなり非力です。
 そしてうちの屋敷の使用人たちよりも能力が下だという事も自覚していますが…それは水準以上の者を集めているからです。
 みんなのレベルが高すぎるから僕が劣って見えるだけ。
 僕は普通なのです。
 普通に戦えるし、魔法だって使えます。
 斗出したものはありませんが、人並みにはこなせます。
 そこまで心配されるほどのことではないと思うのですが…




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