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プロローグ
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しおりを挟むこうなることは予想していましたが…
今の兄さんなら本気で着いて来そうですね…
「はぁー…兄さん、ノルムが困ってるわ。
これ以上しつこくするとノルムに嫌われちゃうわよ。
それに仕方ないじゃない、ノルムが彼に気に入られたキッカケを作ったのは私たちなのよ?
ノルムは何も悪くないわ。」
「嫌っ…
た、確にそうだが…何もこんなに何度も何度も、それにギルドを使って強制指名してまで誘わなくたっていいじゃないか!」
「あら、それもそうだけど兄さんがもう少し精力的にお仕事をこなしてくださればノルムに危険なお仕事がくることもなくなると思うの。」
僕に嫌われるという単語に大きく動揺を見せる兄さんに、右手を頬に当て小首を傾げながら兄さんを見つめ、眉をハの字にしながら真剣な表情で言う姉さん。
姉さんは兄さんを惑わす気満々なようですね…
「ゔっ…で、でもそれだと家族との時間が取れなくなるだろう?」
「家族のためなら頑張れるでしょう?」
ここだけ聞いているとなんだか夫婦の会話のようですね…
姉さんは僕のために兄さんに意見してくれていますが…
これは半分、苛めて楽しんでそうですね…
「頑張れる…っけどそれとこれとは別だ!
と、とにかく!
これ以上職権を乱用しないようにヴァイスには兄さんから言っておくよ。」
「あら、ここは私が彼に言った方が効果的じゃないかしら?」
おっと、今回は流されなかったようです。
今までの頼りなさげな表情と打って変わってキリッと顔を引き締めて言う兄さんに直ぐさま打って返す姉さん。
確に、兄さんが言うより姉さんが言ってくれた方が効果覿面だと僕も思う。
レティやロットもそう思ったらしくうんうん、と頷いている。
兄さんはそれに少し寂しそうな顔をするが何も反論しない。
兄さんも認めたくはないがそう思っているのでしょう。
「ということで私が今度、彼には言っておくから。
ノルム、もう少しだけ我慢してね。」
「はぁ…」
ウィンクをする姉さんに生返事を返す僕。
それでいいのでしょうか?
兄さんや姉さんに守られていてばかりでは僕は何も変わらないし、成長もしない気がします。
実力では敵わなくても心だけはレティやロットの見本となるような兄でいたい。
そう思うのは勝手過ぎるのでしょうか?
「兄さん、姉さん、やっぱりヴァイスさんとは僕がきちんとお話します。
これは僕の問題です。
たとえ原因が兄さんや姉さんにあったとしても僕自身に来たお話を兄さんや姉さんにお断りしていただくのは間違ってると思います。」
「「ノルム…」」
「流石兄さまですわっ!
たとえ原因が兄さんや姉さんでもご自分で何とかしようとするなんて…レティはそんな兄さまを尊敬しますわっ!」
「ロットも!
そんな兄さまを尊敬します!」
何だかよくわかりませんが…レティやロットに失望されなくて済んだようです。
それにしてもレティ…少しトゲのある言い方をしていますね…
地味にレティとロットの言葉の攻撃を受けた兄さんと姉さんが胸を押さえているのが目に入るが、ここで何かフォローを入れたとしても傷口に塩を塗り込むことになりそうなので気付かぬふりをして夕食に集中することにする。
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