全て平凡な僕。え?僕が主人公ですか?お断りします。

46ねこ

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プロローグ

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 彼が僕の言葉を遮ったことで更にピリピリとした空気になってしまう。


「詳しくはここに書いてあるから読んでおいてー」


 そう言いながら差し出された紙を僕が受け取ろうと手を伸ばす前にロットが火をつけて燃やす。


「兄さまは行く必要がないので受け取る必要もありません。」


 ロット…
 これは強制クエストなので行く必要はありますよ……


「もぉー紙の無駄じゃないかー
 仕方ないなぁー」


 彼は仕方ないと言いつつもう一枚出してくる。


「チッ…」


 舌打ちしながらそれをまたロットが燃やす。


「何枚でもあるから燃やしてくれてもいいけど困るのはロットが大事な兄さまのノルムだよー?」

「気安く名前を呼ばないでください!」


 彼はびらっと扇子のように紙を広げて見せ挑撥するように言い、ロットはムキになり火の玉を宙に浮かべ自称勇者の彼と紙を的に火の玉を放つ。

 また振り出しに戻った気分ですね……


「ロット…」


 僕が名前を呼ぶとロットの動きがピタッと止まる。


「どうせ拒否できない強制クエストなら内容はきちんと把握しておきたいので燃やされると困ります。」

「兄さまがそういうなら…」


 僕が止めると宙を舞っていた火の玉が霧散し、無事だった詳細の書かれた紙を彼からもらう。


「凶暴化したトカゲ退治、ですか…?」

「そんなっ兄さま、危険ですわっ!
 兄さまがどうしても行くとおっしゃるならレティも一緒にお供しますわっ!」

「レティ…」

「ぁ、ずるい!
 僕も!
 兄さまとレティが行くなら僕も行きますっ!」


 2人が付いて来ると色々な意味で大変なことになりそうですね。
 本当に色々な意味で、です。


「はいはーい、残念。
 パーティはもう既に登録してありまーす。
 それに君達が来ると正直……」


 彼は言葉を濁す。
 言いたい事は分かります。
 邪魔だと言いたいのでしょう。


「レティ、ロット、これは僕個人への依頼です。
 ギルドに登録した時点で僕は僕、個人で依頼を受けて依頼を達成する必要があります。
 いくら家族でも手出しは無用です。」

「「……わかりました…。」」


 僕の言葉にガクンと肩を落とす2人。
 僕を心配してくれての事なので少し心が痛みます…


「ほんと双子ちゃんたちもノルムも変わらないなー」


 僕たちの様子を見て楽しそうに言う彼。
 彼さえ来なければこんなことにはならなかったでしょう。


「じゃあノルム、そこに詳細は書いてあるし、わからないことがあれば俺たちに連絡してくれ。
 じゃあ明日な。」


 言いたい事だけ言って彼は来た時同様生垣を越えて出て行った。

 彼は台風のような方ですね……

 僕は彼が去った後の庭の有り様を見て愕然とそう思うのでした。





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