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プロローグ
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しおりを挟む僕の目の前で紅茶を飲んでいるこの方はシオン・グウェンハイム、僕の兄です。
世間では絶世の美男子と言われているようですが…
確かに、顔は整っていると思います。
この顔で何人の女性を泣かせできたのやら…
今日も取り巻きのお嬢様方がお迎えに来ているようです。
「兄さん、お迎えが来ているようですよ…」
「ん~何でだろう?
今日も誰とも約束してなかったはずなのにな~
今日はノルム達と過ごしたかったのにな~」
こう見えて兄はシスコンでありブラコンです。
いえ、僕以外全員シスコンでありブラコンなのです。
特にみんななぜか僕にベッタリです。
僕の何がいいのかわかりませんが毛色の違う僕が珍しいのでしょう。
「そうですか。
でも僕には用事があるのでお付き合い出来ません。
待たせるのも悪いですし、彼女達と早く行ってください。」
兄がなにやら分からぬ駄々をこね始めグダグダしているので僕はバッサリと切ることにしました。
巻き込まれるのはごめんです。
僕は平穏に過ごしたいのです。
兄と一緒にいると平穏という言葉とは程遠い現状になることは目に見えているので出来るだけ避けたいのです。
兄のギフトは ”世界を導く者 先導者” だそうです。
上位ランク、いえ、最高ランクの兄には丁度いいギフトだと僕は思います。
「え~行くの~?
やっぱり兄さん、ノルムと一緒にいたいな~」
「邪魔なので早く行ってください。」
なおも駄々をこねる兄に僕は包み隠さず本音を言う。
兄は少し落ち込んだ様子でしたが、夜には元に戻っているでしょう。
渋々といった感じで屋敷から出て行く兄を見送り静かになった部屋で少し冷めた紅茶を啜る。
「兄さん、行ったの?」
「えぇ、ようやく。」
「そ。
今日は早かったのね。」
「そうですね。」
そう、今日は早かったのです。
いつもならこのやり取りを何度も繰り返し、時間をかけて追い払っ…失礼。家を出るのです。
それに比べると今日はすんなりと出て行ってくれました。
そして今入って来た女性は僕の姉、シルキー・グウェンハイムです。
この方もやはり世間では絶世の美女などと言われています。
皆さんには先にお伝えしておきますが、僕の家族には絶世の~とつく方がもう2人…
1人は妹のレティ・グウェンハイム、絶世の美少女と言われ、もう1人は弟のロット・グウェンハイム、絶世の美少年と言われています。
皆さんはお気付きでしょうか?
絶世の~がそんなに存在して良いのでしょうか?
少なくとも4人、しかもこんなに近場に存在するのはどうかと僕は思います。
言われている本人達は何とも思っていないようですが、一般常識のある僕としては不思議でたまらないのです。
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