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プロローグ
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しおりを挟む「で?
ノルムは今日はどうする予定なの?」
「書庫の本でも読もうかと…」
「あら?
それが今日の予定?」
「えぇ。
読みたい本がありまして…」
今日は外に出たくない気分なのです。
何かに巻き込まれそうな、そんな嫌な気がするので…。
「じゃあ今日は買い物に付き合ってくれない?」
「いえ、御断りします。」
「ノルム、姉さんを1人で買い物に行かせる気?」
「姉さんなら取り巻きの1人や2人、いますよね?
それに僕、姉さんより弱いので荷物持ちにも護衛にもなりませんよ?」
これは事実です。
僕はこの家の誰よりも弱い。
もちろん妹や弟よりも、です。
執事やメイドと同等…もしくはそれ以下かもしれません。
「そんなこと期待してないわっ!
私はノルムと買い物に行きたいのっ!」
「はぁ…
でもやはり僕は家で大人しく本を読んでいます。」
「そんなっ…
ノルムは姉さんを見捨てるのね…」
泣き真似をして同情を誘おうとする姉さん。
一般の方には通用しても僕には通用しません。
「姉さん、泣き真似はやめてください。」
「ちっ…
ノルムったら冷たいんだから…」
「また今度、お付き合いしますよ。
なので今日は姉さんが折れてください。」
「わかったわ…
今度は絶対だからね!」
舌打ちが聞こえましたが聞こえなかったことにしましょう。
平穏な日常のためにはそれが一番です。
今日は諦めてもらうために別条件を出し姉さんの気を逸らす。
別の日は犠牲になりますが、仕方ありません。
背に腹は変えられません。
取り敢えず今日はダメなのです。
姉さんは念を押しながら出かける準備をするために部屋から出て行く。
姉さんが出て行ったことで再びこの部屋に静寂が広がる。
やっと静かになりましたね。
僕はサイドテーブルに置いてあった読みかけの本を広げ紅茶を傾けつつ読み始める。
本や物語に飲み込まれていくこの瞬間、この時間、一番落ち着く気がします。
僕には本気で集中すると周りが見えなくなってしまう、という悪い癖がありますが、こればっかりは止められません。
好きなものに没頭するこの幸福感、わかっていただけますでしょうか?
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