15 / 84
ヤンデレ令嬢、大好きだった婚約者とサヨナラします!
⑥
しおりを挟む確かに理由もなくマーヴィンと婚約破棄をしてしまえば、ベアトリスはこの先、嫁ぎ先が無くなり選択肢が狭まってしまう可能性もあるだろう。
今までベアトリスに尽くしてくれた両親には申し訳ない気持ちで一杯ではあるが、マーヴィンとハンナにナイフを向けて牢屋に入り、シセーラ侯爵家の名に泥を塗ると共に、ベアトリスが処刑されるよりはずっとずっとマシだろう。
けれどそれは婚約破棄をする際に何も理由がなかった場合だ。
しかしベアトリスには婚約破棄するだけの理由がある。
(不貞行為、万歳ッ‥!)
この時ばかりはマーヴィンのチャラチャラとした女遊びが激しい性格に感謝するばかりである。
マーヴィンを愛する気持ちが無くなりさえすれば、ベアトリスが我慢する必要は一切ないのだ。
マーヴィンは「嫌なら婚約破棄すればいい」とベアトリスに言った。
だったら今のベアトリスの答えは「嫌だから婚約破棄して欲しい」である。
ベアトリスと別れた後、どれだけ他の女性と関係を作って遊んでも構わない。
"他の人のものにならないで欲しい"なんて全く思っていない。
ベアトリスの言葉を鵜呑みにして、調子に乗っている今が最大のチャンス。
ベアトリスと婚約破棄してシセーラ侯爵家に手を離されてしまえば、セレクト公爵家は一時的にでも金銭面が苦しくなることは間違いなしだ。
「金目的」の婚約に、マーヴィンを狙っている御令嬢達はどんな反応を示すのか。
しかも、今のマーヴィンと王女との関係は半分進んでいるかいないか。
ベアトリスの高熱はマーヴィン攻略にも出てきたイベントである。
結局マーヴィンはブランドの呼び掛けに応じたのではなく、ハンナに諭されるような形でベアトリスの元にやってきたのを思い出して、更に腹が立ったのだ。
ベアトリスが熱に浮かされている時に、マーヴィンが吐いた言葉にムカムカとした気持ちが蘇る。
『世界で一番お前が嫌いだ』
(私も世界で一番嫌いな人になったわ)
『例えお前と結婚したとしても、俺は一生お前を愛さない』
(愛してもらわなくて結構よ!私は貴方が居ない人生を歩むつもりです)
『このまま目が覚めなければいいのに‥』
(目が覚めて本当に良かった‥‥これからマーヴィンは自分がベアトリスにしてきた行いを存分に後悔することになるのよ)
マーヴィンがベアトリスを選んだ理由はセレクト公爵に言われたからだろう。
恐らくセレクト公爵が一番羽振りが良くて、身分も申し分ないシセーラ侯爵家を選んだに違いない。
マーヴィンは始めからベアトリスの愛に応える気は無かったのではないだろうか。
ベアトリスと婚約して大切にするつもりなんてなかったのだとしたら‥‥ベアトリスは自分達を満たす為の駒でしかないのだ。
(‥‥そんなの悲しすぎるわ)
例えこれで"ベアトリス"に何があったとしても、生き残り、幸せを掴む為に努力してみせる。
(健康な身体があれば、どんな困難だって乗り越えられる!!何だって出来るわ‥!)
「マーヴィン様と結婚したら、わたくしは幸せになれません!!」
「だ、だが‥」
「今のままでは破滅してしまいます!!」
「くっ‥!しかし」
「ブランドお兄様、お願いします‥」
「ベアトリスには幸せになって欲しいんだ‥っ!」
「‥‥‥お願い、お兄様」
「―――分かった、ベアトリス!俺に任せろ」
ベアトリスの願いが届いたのか、風のように走り出したブランド。
振り落とされないようにベアトリスはブランドの首元に思いきりしがみ付く。
(こんなに愛されて育ったベアトリスは幸せね)
ブランドの愛は重過ぎるが、今のベアトリスにとっては心地よいものだった。
こんなに頼もしい味方が側に居てくれる。
それだけで強くなれる気がした。
なんとなくベアトリスの異常な愛情表現の理由が分かったところで、ベアトリスの父であるシセーラ侯爵が見つかったのだった。
408
あなたにおすすめの小説
「地味ブス」と捨てられた私、文化祭の大型スクリーンで王子様の裏の顔を全校生に配信します
スカッと文庫
恋愛
「お前みたいな地味女、引き立て役にもならないんだよ」
眼鏡にボサボサ頭の特待生・澪(みお)は、全校生徒が見守る中、恋人だった学園の王子・ハルトから冷酷に捨てられた。
隣には、可憐な微笑みを浮かべる転校生・エマ。
エマの自作自演により「いじめの犯人」という濡れ衣まで着せられ、学園中から蔑まれる澪。
しかし、彼女を嘲笑う者たちはまだ知らない。
彼女が眼鏡の奥に、誰もが平伏す「真実の美貌」と、学園さえも支配できる「最強の背景」を隠していることを――。
「……ねぇ、文化祭、最高のステージにしてあげる」
裏切りへのカウントダウンが今、始まる。
スクリーンの裏側を暴き、傲慢な王子と偽りのヒロインを奈落へ突き落とす、痛快・学園下剋上ファンタジー!
売られたケンカは高く買いましょう《完結》
アーエル
恋愛
オーラシア・ルーブンバッハ。
それが今の私の名前です。
半年後には結婚して、オーラシア・リッツンとなる予定……はありません。
ケンカを売ってきたあなたがたには徹底的に仕返しさせていただくだけです。
他社でも公開中
結構グロいであろう内容があります。
ご注意ください。
☆構成
本章:9話
(うん、性格と口が悪い。けど理由あり)
番外編1:4話
(まあまあ残酷。一部救いあり)
番外編2:5話
(めっちゃ残酷。めっちゃ胸くそ悪い。作者救う気一切なし)
【完結】私が愛されるのを見ていなさい
芹澤紗凪
恋愛
虐げられた少女の、最も残酷で最も華麗な復讐劇。(全6話の予定)
公爵家で、天使の仮面を被った義理の妹、ララフィーナに全てを奪われたディディアラ。
絶望の淵で、彼女は一族に伝わる「血縁者の姿と入れ替わる」という特殊能力に目覚める。
ディディアラは、憎き義妹と入れ替わることを決意。
完璧な令嬢として振る舞いながら、自分を陥れた者たちを内側から崩壊させていく。
立場と顔が入れ替わった二人の少女が織りなす、壮絶なダークファンタジー。
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
許すかどうかは、あなたたちが決めることじゃない。ましてや、わざとやったことをそう簡単に許すわけがないでしょう?
珠宮さくら
恋愛
婚約者を我がものにしようとした義妹と義母の策略によって、薬品で顔の半分が酷く爛れてしまったスクレピア。
それを知って見舞いに来るどころか、婚約を白紙にして義妹と婚約をかわした元婚約者と何もしてくれなかった父親、全員に復讐しようと心に誓う。
※全3話。
幼馴染みの婚約者が「学生時代は愛する恋人と過ごさせてくれ」と言ってきたので、秒で婚約解消を宣言した令嬢の前世が、社畜のおっさんだった件。
灯乃
ファンタジー
子爵家の総領娘である令嬢の前に、巨乳美少女と腕を組んだ婚約者がやってきた。
曰く、「学生時代くらいは、心から愛する恋人と自由に過ごしたい。それくらい、黙って許容しろ」と。
婚約者を甘やかし過ぎていたことに気付いた彼女は、その場で婚約解消を宣言する。
前半はたぶん普通の令嬢もの、後半はおっさんコメディーです。
公爵令嬢アナスタシアの華麗なる鉄槌
招杜羅147
ファンタジー
「婚約は破棄だ!」
毒殺容疑の冤罪で、婚約者の手によって投獄された公爵令嬢・アナスタシア。
彼女は獄中死し、それによって3年前に巻き戻る。
そして…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる