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元婚約者がよりを戻そうと押しかけて来ましたが……わたくし、もう結婚してますけど
②
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エイヴリーのお気に入りの場所でもある、花が咲き誇る中庭のベンチ。
カサンドラとエイヴリーもよく一緒に過ごした場所だ。
そのベンチに座り、親密そうに肩を寄せ合いながら愛を囁き合っている二人の姿。
カサンドラは余りの衝撃に、その場から動けずにいた。
すると二人の距離はどんどんと縮まっていき……。
――カサンドラの前で口づけを交わしたのだ。
ふと、エイヴリーとキスをしている女性と目が合った。
驚きに少しだけ目を見開いた後、真っ赤な唇を歪めた女性は、次の瞬間……カサンドラに見せつけるように再びエイヴリーの背に手を回してから、何の悪びれもなく口づけを再開した。
そのアイスブルーの髪とベリーのような瞳には見覚えがあった。
侯爵令嬢のヘイリー・スディレンだった。
ヘイリーは"氷の華"と呼ばれ、その美貌は社交界で輝きを放っていた。
いつも男性に囲まれているヘイリーは婚約者がおらず、沢山の縁談が舞い込んでいると聞いた事があった。
確かに同性のカサンドラから見ても、ヘイリーは美しかった。
エイヴリーはヘイリーの腰に手を回して嬉しそうに微笑んでいる。
カサンドラは震える足で二人の元へ向かった。
「これは、どういう事ですか……?」
瞳に涙を溜めたカサンドラは声を絞り出しながら問いかけた後、縋るようにエイヴリーを見た。
そんなカサンドラの姿を見て、何を思ったのかエイヴリーは重たい溜息を吐いた。
「何故、連絡もなしに来たんだ……?」
「………え?」
エイヴリーの苛立ちを含んだ声にカサンドラは息を止めた。
どう見たって悪いのはエイヴリーな筈なのに……。
エイヴリーは焦りも謝りもせずにカサンドラを不機嫌そうに睨みつけている。
「ヘイリーとの折角の時間を邪魔されて最悪な気分だ」
カサンドラはエイヴリーの言葉に愕然としていた。
「どういう、事……?」
「ははっ、見ての通りさ!俺は運命の相手を見つけたんだ」
「……!!」
「ヘイリーこそ、俺の婚約者になるべき女性だったんだ」
「まぁ、嬉しい」
「カサンドラなら、分かってくれるだろう?」
カサンドラはエイヴリーの裏切りを目の当たりにして、瞳から涙が零れ落ちた。
何を分かればいいというのだろうか。
エイヴリーはカサンドラに手を貸す訳でもなく、ハンカチを差し出す事もなかった。
只、面倒くさそうに溜息を吐いてから、冷めた声でカサンドラに言い放った。
「カサンドラ……お前は少しガサツで、美しさに欠けるんだよ」
「……!」
「それに比べてヘイリーは美しく繊細で、会話も上手い」
「…っ」
「どっちを選ぶか、明白だろう?」
頭が真っ白になって、何も言葉が出てこなかった。
カサンドラは拳を握りしめていた。
喉の奥が痛くなるほどに怒りが込み上げてくる。
そもそもエイヴリーの婚約者はカサンドラの筈だ。
エイヴリーは、まるで古い服を捨てるかのように、カサンドラと婚約破棄をしようとしているのだろうか。
そんなカサンドラを見て、クスクス笑うヘイリー。
カサンドラはヘイリーを思いきり睨みつけた。
へイリーの余裕たっぷりの笑顔が、悔しくて悔しくて堪らなかった。
まるで私の方が上なのよ……そう言われているような気がした。
「わたくしを、愛していると……言ったではありませんか!」
「……ああ、確かにな」
「何故ッ!何故裏切ったのですか!!」
震える声で言ったカサンドラにエイヴリーは溜息を吐く。
「……もう終わりなんだよ。分からないのか?」
「!?」
「お前と婚約破棄をして、俺はヘイリーと結婚する事にする」
「うふふ、嬉しいわ」
「書類はすぐに送る……必ずサインしろよ?」
「……」
カサンドラの手から力が抜ける。
カサンドラとエイヴリーもよく一緒に過ごした場所だ。
そのベンチに座り、親密そうに肩を寄せ合いながら愛を囁き合っている二人の姿。
カサンドラは余りの衝撃に、その場から動けずにいた。
すると二人の距離はどんどんと縮まっていき……。
――カサンドラの前で口づけを交わしたのだ。
ふと、エイヴリーとキスをしている女性と目が合った。
驚きに少しだけ目を見開いた後、真っ赤な唇を歪めた女性は、次の瞬間……カサンドラに見せつけるように再びエイヴリーの背に手を回してから、何の悪びれもなく口づけを再開した。
そのアイスブルーの髪とベリーのような瞳には見覚えがあった。
侯爵令嬢のヘイリー・スディレンだった。
ヘイリーは"氷の華"と呼ばれ、その美貌は社交界で輝きを放っていた。
いつも男性に囲まれているヘイリーは婚約者がおらず、沢山の縁談が舞い込んでいると聞いた事があった。
確かに同性のカサンドラから見ても、ヘイリーは美しかった。
エイヴリーはヘイリーの腰に手を回して嬉しそうに微笑んでいる。
カサンドラは震える足で二人の元へ向かった。
「これは、どういう事ですか……?」
瞳に涙を溜めたカサンドラは声を絞り出しながら問いかけた後、縋るようにエイヴリーを見た。
そんなカサンドラの姿を見て、何を思ったのかエイヴリーは重たい溜息を吐いた。
「何故、連絡もなしに来たんだ……?」
「………え?」
エイヴリーの苛立ちを含んだ声にカサンドラは息を止めた。
どう見たって悪いのはエイヴリーな筈なのに……。
エイヴリーは焦りも謝りもせずにカサンドラを不機嫌そうに睨みつけている。
「ヘイリーとの折角の時間を邪魔されて最悪な気分だ」
カサンドラはエイヴリーの言葉に愕然としていた。
「どういう、事……?」
「ははっ、見ての通りさ!俺は運命の相手を見つけたんだ」
「……!!」
「ヘイリーこそ、俺の婚約者になるべき女性だったんだ」
「まぁ、嬉しい」
「カサンドラなら、分かってくれるだろう?」
カサンドラはエイヴリーの裏切りを目の当たりにして、瞳から涙が零れ落ちた。
何を分かればいいというのだろうか。
エイヴリーはカサンドラに手を貸す訳でもなく、ハンカチを差し出す事もなかった。
只、面倒くさそうに溜息を吐いてから、冷めた声でカサンドラに言い放った。
「カサンドラ……お前は少しガサツで、美しさに欠けるんだよ」
「……!」
「それに比べてヘイリーは美しく繊細で、会話も上手い」
「…っ」
「どっちを選ぶか、明白だろう?」
頭が真っ白になって、何も言葉が出てこなかった。
カサンドラは拳を握りしめていた。
喉の奥が痛くなるほどに怒りが込み上げてくる。
そもそもエイヴリーの婚約者はカサンドラの筈だ。
エイヴリーは、まるで古い服を捨てるかのように、カサンドラと婚約破棄をしようとしているのだろうか。
そんなカサンドラを見て、クスクス笑うヘイリー。
カサンドラはヘイリーを思いきり睨みつけた。
へイリーの余裕たっぷりの笑顔が、悔しくて悔しくて堪らなかった。
まるで私の方が上なのよ……そう言われているような気がした。
「わたくしを、愛していると……言ったではありませんか!」
「……ああ、確かにな」
「何故ッ!何故裏切ったのですか!!」
震える声で言ったカサンドラにエイヴリーは溜息を吐く。
「……もう終わりなんだよ。分からないのか?」
「!?」
「お前と婚約破棄をして、俺はヘイリーと結婚する事にする」
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「書類はすぐに送る……必ずサインしろよ?」
「……」
カサンドラの手から力が抜ける。
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