【短編集】

●やきいもほくほく●

文字の大きさ
59 / 84
"全く興味がない"それだけだった

しおりを挟む

ランドリゲス公爵家の都合で婚約は破棄された為、ミケーレとの婚約が持ち上がった際、ソフィーアとレンドルター家はランドリゲス公爵家との繋がりを断ち切れる筈だった。

なのにあの手この手で逃げ道を塞いできたのだ。

勿論、レンドルター伯爵家は仕方なくミケーレをあてがわれる形となり不服である。
そもそも婚約自体に不満があったのだが、受け入れるしかなかった。

ミケーレをカバーする為にランドリゲス公爵、夫人、ソリッドやマルフォでさえ動いていた。

けれどそんなランドリゲス家の努力をたった1人で帳消しにするミケーレの愚かさ。

(馬鹿で助かったわ)

ミケーレの性格に振り回されて散々な思いもしたが、助けられもしたのもまた事実。
ソリッドならばこう簡単にはいかなかっただろう。

ミケーレには今のところ決定的な不貞行為などはないが、待っていて結婚の時期が早まりでもしたらたまらない。

つまり今回が最初で最後のチャンスだ。

宴は今日で終わり。
再びミケーレとは相見えることとなるだろう。
その時までに準備を進めなければならない。


ミケーレはランドリゲス公爵達に、自分がした行いを暫くは隠すことだろう。

何故ならば、怒られるのが嫌だから。

スペックが高すぎる2人の兄と比べられ続けて捻くれる気持ちも分かる気はするが、それはソフィーアには関係のない話である。

けれど顔に出やすいミケーレが隠しておけるのは精々長くて1週間。
忙しいソリッドやランドリゲス公爵がミケーレの違和感に気付く確率は低いが、勘がいいので最短3日‥。

(ギリギリかしら‥)

その前にランドリゲス公爵達が、此方に手が出せないように周囲を固めなければならない。

その為にはと‥ソフィーアはほろ酔い気分で数枚の手紙を認めた後にパチンと指を鳴らす。

何十枚もの紙が金色の光と共に夜空の星のように煌めいて飛んでいった。













予想通り、5日後にランドリゲス公爵とソリッド、そしてミケーレがレンドルター伯爵家に現れた。

(ランドリゲス公爵とソリッド様か‥なかなか本気度が高いわね)

しかし許容範囲と言ったところだろうか。
3日でないだけマシだろう。

(ソリッド様まで連れてきて、あの気性の荒い王女にバレなければいいけど‥)

ソリッドの婚約者である第3王女であるマリアンナは我儘というよりは、ソリッドへの執着心が強い。
今はソリッドには余り関わりたくないというのが本音である。
そもそもソフィーアはミケーレと婚約破棄出来たことを心の底から喜んでいた。


馬車に詰め込まれた花やドレスや宝石の箱が運び出されていく。
ランドリゲス公爵とソリッドの焦っている様子を見る限り、まだ間に合うと思っているのだろう。

ミケーレはたっぷり絞られたのか、いつもより小さく見える。

(ふふっ‥可哀想)

このまま引き下がるとは全く思っていなかったが、此処に来ない方が平和に解決出来たろうに‥。

ソフィーアは自分の部屋の窓から公爵家の馬車を見下ろしていた。
侍女に支度を手伝ってもらいながら、ソフィーアはゆったりと息を吐き出した。


「お嬢様、ミケーレ様の前ですがいつものようになさいますか?」

「いいえ‥今回は貴女に全て任せるわ。とびっきり美しくして頂戴」

「ふふ、それは私の腕の見せ所ですね。やっとあのクソ野郎の鼻をあかせると思うとスッキリです」

「あらあら、口が過ぎるわよ?」

「当たり前のことを言っただけです」


屈辱的な言葉の数々を忘れたりはしない。
全てはこの日の為に耐えてきた。


そしてソフィーアはパチンと指を弾く。


ソフィーアが得意な魔法の1つである光魔法。
複数の画面に映し出された映像‥。

口紅を塗りながら扇情的に言葉を紡いでいく。



「今すぐに、わたくしを―――」




しおりを挟む
感想 17

あなたにおすすめの小説

真実の愛に祝福を

あんど もあ
ファンタジー
王太子が公爵令嬢と婚約破棄をした。その後、真実の愛の相手の男爵令嬢とめでたく婚約できたのだが、その先は……。

「地味ブス」と捨てられた私、文化祭の大型スクリーンで王子様の裏の顔を全校生に配信します

スカッと文庫
恋愛
「お前みたいな地味女、引き立て役にもならないんだよ」 眼鏡にボサボサ頭の特待生・澪(みお)は、全校生徒が見守る中、恋人だった学園の王子・ハルトから冷酷に捨てられた。 隣には、可憐な微笑みを浮かべる転校生・エマ。 エマの自作自演により「いじめの犯人」という濡れ衣まで着せられ、学園中から蔑まれる澪。 しかし、彼女を嘲笑う者たちはまだ知らない。 彼女が眼鏡の奥に、誰もが平伏す「真実の美貌」と、学園さえも支配できる「最強の背景」を隠していることを――。 「……ねぇ、文化祭、最高のステージにしてあげる」 裏切りへのカウントダウンが今、始まる。 スクリーンの裏側を暴き、傲慢な王子と偽りのヒロインを奈落へ突き落とす、痛快・学園下剋上ファンタジー!

売られたケンカは高く買いましょう《完結》

アーエル
恋愛
オーラシア・ルーブンバッハ。 それが今の私の名前です。 半年後には結婚して、オーラシア・リッツンとなる予定……はありません。 ケンカを売ってきたあなたがたには徹底的に仕返しさせていただくだけです。 他社でも公開中 結構グロいであろう内容があります。 ご注意ください。 ☆構成 本章:9話 (うん、性格と口が悪い。けど理由あり) 番外編1:4話 (まあまあ残酷。一部救いあり) 番外編2:5話 (めっちゃ残酷。めっちゃ胸くそ悪い。作者救う気一切なし)

【完結】私が愛されるのを見ていなさい

芹澤紗凪
恋愛
虐げられた少女の、最も残酷で最も華麗な復讐劇。(全6話の予定) 公爵家で、天使の仮面を被った義理の妹、ララフィーナに全てを奪われたディディアラ。 絶望の淵で、彼女は一族に伝わる「血縁者の姿と入れ替わる」という特殊能力に目覚める。 ディディアラは、憎き義妹と入れ替わることを決意。 完璧な令嬢として振る舞いながら、自分を陥れた者たちを内側から崩壊させていく。  立場と顔が入れ替わった二人の少女が織りなす、壮絶なダークファンタジー。

復讐のための五つの方法

炭田おと
恋愛
 皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。  それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。  グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。  72話で完結です。

許すかどうかは、あなたたちが決めることじゃない。ましてや、わざとやったことをそう簡単に許すわけがないでしょう?

珠宮さくら
恋愛
婚約者を我がものにしようとした義妹と義母の策略によって、薬品で顔の半分が酷く爛れてしまったスクレピア。 それを知って見舞いに来るどころか、婚約を白紙にして義妹と婚約をかわした元婚約者と何もしてくれなかった父親、全員に復讐しようと心に誓う。 ※全3話。

幼馴染みの婚約者が「学生時代は愛する恋人と過ごさせてくれ」と言ってきたので、秒で婚約解消を宣言した令嬢の前世が、社畜のおっさんだった件。

灯乃
ファンタジー
子爵家の総領娘である令嬢の前に、巨乳美少女と腕を組んだ婚約者がやってきた。 曰く、「学生時代くらいは、心から愛する恋人と自由に過ごしたい。それくらい、黙って許容しろ」と。 婚約者を甘やかし過ぎていたことに気付いた彼女は、その場で婚約解消を宣言する。 前半はたぶん普通の令嬢もの、後半はおっさんコメディーです。

公爵令嬢アナスタシアの華麗なる鉄槌

招杜羅147
ファンタジー
「婚約は破棄だ!」 毒殺容疑の冤罪で、婚約者の手によって投獄された公爵令嬢・アナスタシア。 彼女は獄中死し、それによって3年前に巻き戻る。 そして…。

処理中です...