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"全く興味がない"それだけだった
⑦
しおりを挟む「レンドルター伯爵、連絡もなしに申し訳ない」
「‥‥‥ようこそお越し下さいました。ランドリゲス公爵様、ソリッド様、ミケーレ様」
レンドルター伯爵と夫人は急いでおもてなしの準備をするように指示を出す。
とはいってもランドリゲス公爵が近々来る事が分かっていた為、大きな混乱はない。
ソフィーアの指示通りにサロンへと向かった。
慣れた様子でランドリゲス公爵がソファーに腰を掛ける。
ソリッドは心なしか申し訳なさそうにしている
そして問題のミケーレは不機嫌そうである。
「この度は愚息がソフィーアに大変な失礼をしたと伺って急いで謝罪に来たのだ」
「ああ‥あの件ですか」
「ソフィーアから詳しく伺っておりますわ」
レンドルター夫人がチラリとミケーレを見る。
笑顔を浮かべているものの、その目には怒りが滲む。
ミケーレは流石にまずいと思ったのか、サッと視線を逸らした。
ランドリゲス公爵の前に紅茶が置かれた。
部屋に響くのはカチャカチャと僅かに食器が擦れる音だけだ。
口元に手を置いたレンドルター伯爵は柔かに、けれど訴えかけるように言った。
「ですが‥‥その件は決着がついたのでは?」
勿論、納得していないからこそランドリゲス公爵がここに居る事など伯爵には分かっている。
チクリと失礼のない程度に攻撃をしなければ気が済まない。
ランドリゲス公爵は思わぬ反撃に目を細めながらも喉を鳴らす。
「ははっ‥まさか」
「‥‥」
「婚約者同士の"喧嘩"に親が口を出すべきか迷ったが、些かうちのミケーレがソフィーアを傷つけ過ぎたと聞いてね」
「婚約者同士の喧嘩ですか‥‥いい機会だから言わせていただきますが、うちの娘は随分とミケーレ様に苦しめられてきたようでして」
「‥‥なんだと!?俺は別にっ」
「ミケーレッ!!」
「っ」
反論しようとしたミケーレにすかさずソリッドが押さえる。
「今回の件では愛想がつきました。娘が不憫でなりませんわ」
「まぁまぁ、そう言わずに‥‥私とソリッドの顔に免じて許して頂けませんか?」
ランドリゲス公爵の圧力の掛かった言葉に、レンドルター伯爵と夫人の頬がピクリと動く。
「ランドリゲス公爵がそう仰ったとしても、ミケーレ様、御本人からのサインはもう頂いていますから」
そして早々に切り札ともいえる書類を出す。
ソフィーアがミケーレにサインさせたものだ。
「なに‥?見せてくれ」
ソリッドとランドリゲス公爵は書類を見て、目を見開いた。
ミケーレは書類の事などすっかり忘れていたのだろう。
「げっ‥」と言葉を漏らす。
そこにはミケーレの意思で婚約破棄をすると書き込まれている。
「しかしこれは正式な手続きではないだろう‥?」
「手続きではありませんが、ミケーレ様の意思が書かれた誓約書‥‥あとは我々がサインすれば済む話です」
「けれど些か強引ではありませんか?婚約は家同士の繋がりでもあるのですからなんの相談もなしに」
「こんなものは無効だろう?我々はサインする気はない。誓約書の破棄を要求しよう」
「「‥‥」」
すかさずソリッドとランドリゲス公爵からのフォローが入る。
"家同士"そう言われてしまえば、伯爵家としては何も言えなくなってしまう。
それこそ決定的な事がなければ‥。
しかしミケーレ本人の同意は得ている。
それによく読みもせずに決めつけるのは早計だ。
レンドルター伯爵は負けじと「紙をよく読んでください」そう言おうとした時だった。
「‥‥あまり、父や母を虐めないで下さいませ」
「「「!!」」」
サロンへの階段を降りてくるソフィーアは、固くまとめられていたミントグリーンの髪は緩く結われており、眼鏡を外されたソフィーアの金色の瞳が月のように細められる。
「ソ、フィーア‥?」
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