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"全く興味がない"それだけだった
⑨
しおりを挟む想像していた通り、今まで可愛がられてきたミケーレはソフィーアの冷めた態度や地味な容姿、家族からの圧力に耐えられずに他の令嬢に目を向けるようになった。
それをソフィーアが煽ったとも知らずに、餌に食らいついた。
餌といっても「ミケーレ・ランドリゲスはどんな令嬢でも受け入れる」「今の婚約者に飽きて、他の婚約者を探している」と噂を流しただけである。
そうすれば常にアンテナを張っている貪欲な令嬢達はミケーレに群がると思っていた。
令嬢達の媚を売る言葉に、どんどん自信過剰になっていくミケーレを見ながら計画通りに進んでいる事を喜んだ。
兄達に劣等感を抱えていたミケーレは、自らが必要とされたことに歓喜して簡単に陥落。
タイミングを見計らってミケーレを焚き付ければ、勝手に婚約破棄を宣言してくれたのだ。
それにミケーレは 自分がソフィーアを振ったのだと宣言している。
ソフィーアにとって都合の良い条件ばかりを盛り込んだ誓約書にサラサラとサインしたミケーレは、ソフィーアの思惑通りに動いてくれた。
「わたくし、もうミケーレ様とは関係ありません」
「ソフィーア、だが‥!」
「婚約破棄はわたくしの元婚約者でもあるミケーレ様から申し出た事です。それにこの誓約書にも書いてあるではありませんか‥‥2度とソフィーア・レンドルターとは婚約しないと」
「!!」
「‥‥ソフィーア」
「これは正式な誓約書‥‥破れば公爵家とミケーレ様の評判は下がりますわよ?」
「けれど、それは‥!」
「わたくしは譲りません。この誓約書に従って、互いの家が本人達の意思を尊重すればそれで終わり。簡単な話です」
「誓約書は無効だ」
「いいえ‥もうわたくし達は成人しております。御自分のした事にはミケーレ様自身で責任を持つべきですわ」
「‥っ」
「それとキチンと書類は最後まで読むようにミケーレ様に教えて差し上げたほうがよいかと」
そもそも何も確認せずにサインしたミケーレもミケーレである。
「母印までホイホイと押していたら危険ですわよ?」
「ソフィーア、考え直してはくれまいか?」
「何をでしょう?」
「我々は君を苦しめたくない」
「散々、わたくしを苦しめておいて何を仰るのやら」
「‥‥」
「それともソリッド様かマルフォ様が私のお相手になりますか?」
「「‥‥」」
「無理ですわよねぇ?ソリッド様のお相手は王女殿下、マルフォ様のお相手も公爵家‥‥うちのように勝手に婚約破棄して、再び婚約を結んでなど傍若無人には振る舞えませんもの」
「‥‥」
「ウフフ‥‥家同士の繋がりでしたっけ?」
レンドルター伯爵家はランドリゲス公爵家の事情に振り回されたとしても逆らう事はできない。
けれどこの国の王女と同じ公爵家となれば、そんな身勝手なことを出来るわけがないのだ。
「ソフィーア、あの時の事を怒っているのなら‥」
「勘違いしないで下さいませ、ソリッド様」
「‥‥」
「わたくし、ソリッド様に全く未練はございません。マリアンナ王女殿下との幸せを心から願っております」
「‥ソフィーア、私は」
「ソリッド様もわたくしのことは綺麗サッパリと忘れて、王女殿下を愛し抜いて下さいね‥‥一生を掛けて」
いつも笑顔のソリッドの顔が珍しく曇る。
完璧な仮面の裏側、どこか歪な愛を向けるソリッドと婚約破棄出来たことはソフィーアにとっては嬉しい限りである。
ソフィーアは第3王女のマリアンナに心から感謝していた。
そうでなければ今頃、屋敷の外には出してもらえず誰にも会うことは叶わなかっただろう。
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