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一章 役立たず王女、島流しにされる
①⓪
しおりを挟むメイジーはその言われて己の失言に気づく。
ガブリエーレがシールカイズ王国の事情を知るはずがない、そう決めつけてメイジーが話しているように聞こえただろうからだ。
それにシールカイズ王国では、メイジーが病弱だと言われていたことまで知っている。
メイジーは虐げられて部屋に引きこもっていたのだが、醜聞を隠すために病弱ということにされていた。
抗う術を持たずに王妃とジャシンスに好き放題されていたのだ。
そのことを知る人はいない。役立たず王女なのだから。
シールカイズ王国の人間ではないのにそのことを知っているとなると、ますますガブリエーレがどんな人物なのかわからない。
メイジーは弁明しようと口を開く。
「そういう意味じゃ……っ!」
『小賢しい女だ。それほどまでに生に執着する姿勢は評価するが……俺は嘘は嫌いだ』
「嘘はついていないわ! わたしは本当は病弱ではなくて……!」
『はっ……証拠は?』
「あなたはわたしに会ったことはないわ。だから知らないのも当然よ。それに今はわたしが王女だと証明する術はないわ」
その言葉を聞いてガブリエーレの唇が歪む。
メイジーの話をまったく信じていないからだろう。
「長年、虐げられてあらぬ罪を被せられて島流しされたわたしの言葉を信じてとは言えないわ」
『…………』
「あの国にわたしの居場所はない。もう……王女ではないから」
メイジーは今までのつらい記憶を思い出して瞼を閉じた。
母親と共に虐げられたのは前世の記憶と重なっていく。
最後まで彼らに搾取されてしまったことが悔しくて仕方ない。
メイジーは手のひらをギュッと握り込んだ。
「あなたに信じてもらおうなんて思わない。わたしを食べるつもりなら全力で抵抗するわ!」
『……!』
とは言っても、これだけの人数をどうにかする術はない。
けれどやっとの思いで海を超えて島に辿り着いたのだ。
こんなところで死ぬつもりはない。
「わたしは……何がなんでも生き残ってみせるから!」
追い詰められた時こそ、強くいなければならないと思う。
それは今まで積み上げてきた杏珠の記憶があるからだ。
『わたしは何がなんでも登り詰めてみせるから!』
そう言ったことを思い出す。
どんな時でも弱気になったり動揺を見せたら負け。
宝石やアクセサリーは決して安い買い物ではない。
誰にも負けない知識をつけて、自信を持って自分の選び抜いた商品を勧めなければならない。
でなければ見透かされてしまう。
商売相手が会社経営者や大富豪、よく人を見て登り詰めていた人たちだからこそだ。
それこそ嘘など簡単に見破られてしまう。
(わたくしは嘘はついてないない。メイジーはシールカイズ王国の王女だった。その事実は揺るがないもの!)
そのことを思い出したメイジーはまっすぐにガブリエーレと目を合わせた。
「それに……わたしも嘘は大っ嫌いよ」
海のような青い瞳をまっすぐに見つめてそう言った。
今までどれだけ苦労したと思っているのか。
メイジーのように人間不信とまではいかないが、杏珠の父親だって都合が悪くなれば母を捨てた。
『絶対、お前たちを幸せにするから』と言いながら簡単に裏切った。
職場でも嫉妬からか足を引っ張られることなんて常だ。
お客さんの中にも約束を平気で破り、嘘をついて騙そうとする人だっていた。
メイジーだって同じようなものだろう。
(こっちは生まれた時からずっと荒波に揉まれてきたのよ……!)
また命の危機に直面するかもしれないが、最後まで抵抗してやると形だけでもとファイティングポーズを取る。
島民たちは警戒しているのか、武器を構えながらガブリエーレの指示を待っているようだ。
するとガブリエーレは頭をかいた後にため息を吐いた。
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