【完結】島流しされた役立たず王女ですがサバイバルしている間に最強皇帝に溺愛されてました!

●やきいもほくほく●

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三章 転機の訪れ

④①

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ガブリエーレは腕を伸ばして手のひらを握り込むと、彼らはさらに苦痛に顔を歪めた。


『ならどうでもいいだろう?』

「ダメよ! このまま見殺しになんかできないわ」

『お前に危害を加えられて黙ってはいられない』

「え……?」


メイジーはその言葉に目を見開いた。
だが、その意味を考える前にガブリエーレが腕を上げたことで反射的にメイジーの体が動く。


「──ダメッ!」


メイジーはガブリエーレの背に抱きついた。
するとガブリエーレは不意を突かれたのか前のめりに倒れ込む。
それと同時に青年たちを苦しめていた木の枝がへたり、水の塊は弾け飛んでしまう。


『おい……!』


咳き込んでいたが、ガブリエーレが再び何かやるのではないかと思っていたメイジーは、ひたすら彼にしがみつくことで阻止していた。


『離せ……! おいっ』


手のひらで頬を押されて顔が潰れていたが、彼らを助けなければと必死だった。
すると目の前で死にそうになっていた青年二人がガブリエーレの前に膝をついて頭を下げているではないか。


「申し訳ありません」

「……申し訳、ありませんでしたっ」


メイジーが呆気に取られていると、その隙をついてガブリエーレが立ち上がる。
メイジーが起き上がるのを忘れてガブリエーレを目で追っていくと二人の前に立った。
それをハラハラした気持ちで見守っていると……。


『……俺の許可なしに二度とコイツに手を出すな』


青年二人は「はい」と言って頷き、頭を下げたままだ。
何ともいえない空気の中、メイジーは立ち上がり服についた砂を払う。
すると島の子どもたちが泣きながらメイジーの近くに来てくれた。


『メイジー、大丈夫?』

『ありがとう、メイジー』

「ううん、無事でよかったわ」


メイジーは子どもたちを抱きしめて安心していると、ダダナたちやミミがやってくる。
メイジーを心配してくれているようだ。

(……よかった。誰も死ななくて)

ガブリエーレたちが気になって視線を送ると、頭を下げ続けている二人と何か話しているではないか。
そしてガブリエーレがこちらを振り返り、メイジーや島民たちの前へ。


『俺は今日、ここを出る』


その言葉に島民たちは騒然としている。
メイジーも突然のことに驚いていた。


『だが、すぐにここに来れるように道を繋ぐ』

『……道?』

『何かあったら呼べばいい』


大きな不安はあるようだが、今は従うしかないといったところか。
島民たちやダダナは顔を見合わせていたが大きく頷いた。
ガブリエーレは何かをダダナに渡している。
メイジーはガブリエーレの言っていることがまったく理解できなかった。


(島までの道を繋ぐって、橋でも作るのかしら……)

見渡す限り広大な海だ。
こんな場所に橋など作れるのだろうか。
しかもそこからガブリエーレを呼べるとなるとますますわからない。

こうしてガブリエーレと関わってわかったことは、彼はとにかく口数が少ないということだ。
けれど本当のことしか言わないことだけは確かだ。

いまだにガブリエーレは謎が多いが、彼が皇帝だという言葉を聞いてメイジーは自分が彼にしてきたことを思い返していた。

(…………わたくし、間違いなく死ぬわね!)

不敬罪どころの話ではない。
彼の立場を知らなかったにしても喧嘩を売ったり、暴言を吐いたり、のしかかって口の中に手を突っ込んだりもした。

(で、でも大丈夫なはずよ! だって彼は国に帰るんだもの!)

メイジーはガブリエーレにバレないように後ろに下がっていた。
逃げて今までのことをうやむやにするしかない、そう思ったからだ。

しかし何かの力に引っ張られるようにして人混みから抜け出してしまう。
先ほどいた場所まで逆戻りだ。
これもガブリエーレの魔法の力だろうか。
恐る恐るガブリエーレの顔を見上げると、彼はこちらをじっと見つめている。
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