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五章 復讐の結末は
⑦②
しおりを挟むそして指輪の方も早く出せと言わんばかりの視線を向けられてしまう。
メイジーが箱を開けると、銀の台座に乗った真珠の指輪があった。
美しい球体を支えているツメ。
立体的でどこから見ても美しい指輪、コロンとしたフォルムにメイジーは惚れ惚れとしていた。
(やっぱり真珠は美しいわ……! なんて素晴らしいの)
短時間でこんなに美しい指輪に仕上げてくれたアクセサリー屋の店主に感謝の気持ちでいっぱいだった。
真珠の指輪に見惚れていたメイジーだったが、ガブリエーレの問いかけに顔を上げる。
『これは両方ともお前のものか?』
「一つは普段のお礼にと思ったけど……」
ガブリエーレはメイジーがまだ話をしている最中だが、ヘーゼルの真珠を手に取ってしまう。
そして人差し指につけようとするが、小さかったのか左手の薬指につけた。
「あっ……! それはわたしのっ」
『俺はこの色がいい』
「あなたのはこっち! イヤリングともお揃いでしょう?」
メイジーはイヤリングと色がお揃いの方がいいと説得するが、ガブリエーレは何を言ってもヘーゼルの真珠を手放そうとしない。
メイジーは思いきり頬を膨らませて不満をアピールしていた。
けれどガブリエーレがこう言った時は何があっても譲らないことは知っている。
仕方なくメイジーはガブリエーレの瞳や海を連想させるブルーの真珠を手にする。
メイジーはブルーの真珠の指輪を指に順にはめていく。
左手の薬指にピッタリとはまる指輪。
元々、ヘーゼルの真珠は少し大きめで作っていた。
理由はヘーゼルの真珠の方がブルーの真珠よりも大きかったからだ。
それにブルーの真珠の指輪が『いらない』と言われた時に、メイジーが使おうと思った。
(それなのに別色を取られるなんて……!)
メイジーは左手の薬指に指輪をはめる意味などまったく考えないまま、真珠の美しさにうっとりしていた。
(なんて美しい光沢なのかしら。これは努力の結晶だわ)
ガブリエーレも入る指に指輪をはめただけなので、何も考えていない。
それには周囲の人たちの方が驚いていて、その意味を教えた方がいいのか迷っていた時だ。
『メイジー、そろそろ行くぞ』
「えぇ、わかったわ」
ガブリエーレとメイジーは上機嫌で扉がある場所まで歩いていく。
その後ろからベルーガ、マオ、イディネスが続く。
三人は余計なことは言ってはいけないと意思を確かめ合った後に目を合わせて頷いた。
移動するためにいつもの部屋へ。
周りの扉よりも少し小さめな扉を潜ると、周りは森で囲まれている綺麗な屋敷があった。
その横、手入れされた広い庭には見たことないような豪華な馬車が二台停まっている。
御者たちが待っていたかのように頭を下げた。
「ここは……?」
『シールカイズ王国の王都まで一時間ほどのところだ』
「……どうしてそんなところに?」
『まぁ……色々と事情がある』
これ以上、深入りしていもいいことはなさそうだとメイジーは押し黙る。
ガブリエーレのエスコートで馬車に乗り込んだ。
なんだか婚約者っぽいと感動しつつ、馬車が出発して腕を組みながら窓をみている姿を見ていると……。
『なんだ……その目は?』
「こうしていると皇帝に見えるなぁ……って」
つい二カ月前は島にいて神と崇められていたのに、今度は皇帝としてメイジーの前にいる。
どちらの状態も美しかったのだが、頂点に立っているのは変わらない。
メイジーはガブリエーレの手に嵌められた真珠の指輪と耳について揺れている雫型の真珠のイヤリングを見てうっとりとしていた。
『そんな目でこっちを見るな』
「あなたのことなんて見ていないわ。真珠を見ているの。なんていい輝き……」
『…………』
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