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第四章 青紫色のアジサイ(後半)
②② 苦手なこと
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今日もどんよりと曇り空。
だけど雨は降らないみたいで、夕方からは少しだけ晴れるみたい。
わたしは学校に登校する途中、夏希ちゃんに昨日あったことを簡単に説明する。
「たしかに冬馬と秋斗って、いつの間にかそうだったかも」
「うん、夏希ちゃんも協力してね」
「協力って、ウチが何すればいいわけ?」
「うーん、久しぶりに四人で遊びたいんだけどどうかな」
「いいねー! でもウチが秋斗を誘うってこと?」
夏希ちゃんは、嫌なのか険しい顔をしている。
でも秋斗くんを誘ってくれるようだ。
わたしは冬馬くんに学校が終わった後、公園に集まることを伝えた。
秋斗くんは今日はサッカーの練習はないみたい。
「冬馬くん、大丈夫? なんだか顔色が悪いけど」
「大丈夫だ。だが、人に話しかけるのは緊張するな」
冬馬くんはそう言って胸を押さえた。
だけどまったく緊張しているようには見えない。
いつもと同じ表情だけど、秋斗くんは冬馬くんの表情からすべて気持ちを読み取っていた。
「僕は……ずっと秋斗に甘えていたのかもしれない」
「え……?」
「秋斗がいたからこのままでいられた。けれど、いなくても大丈夫なようにしていかなくては」
そう言った冬馬くんは「おはよう」と、自分から声をかけるために立ち上がった。
いきなりは無理だからと、挨拶をして少しずつ声をかけてみようと思ったみたい。
冬馬くんに声をかけられた男の子たちは驚いていたけど、挨拶を返す。
席に戻ってきた冬馬くんはホッと息を吐き出した。
やっぱり緊張していたみたい。
「冬馬くんはすごいね。苦手なことに向き合おうとしてるんだもん」
「そうか?」
「わたしはすぐに冬馬くんみたいに行動に移せるか、わからないし……」
わたしがそう言うと、冬馬くんは首を横に振った。
「いいや……きっかけをくれたのは小春と花子さんだ」
「……え? わたし?」
「ああ、小春がいたから自分の気持ちを表に出せた」
冬馬くんはそう言って、珍しく笑っている。
「冬馬くんが、そう思ってくれてよかった」
「願いを叶えるためには、自分で動かないとダメだ」
冬馬くんの力強い言葉が耳に残っていた。
学校が終わってから、夏希ちゃんと冬馬くんと商店街の近くの公園に向かった。
ここは小さい頃から、いつも四人で集まっていた公園だ。
冬馬くんはアジサイを持って現れた。
色は昨日のまま真っ二つに別れてしまっている。
夏希ちゃんもアジサイを見て驚いているようだ。
「すごい……綺麗だけど、なんだか少し寂しい感じ」
「ああ、元は色が混ざっていてとても綺麗だった」
「秋斗と仲直りしたら、本当に元に戻るのかな?」
「そうだと嬉しい」
冬馬くんは寂しそうにアジサイを見ている。
あまり口数が多くなくない冬馬くんだけど、秋斗くんならもっとちゃんと感情を読み取ることができたのかもしれない。
三人で待っていると、約束の時間になっても秋斗くんは現れない。
約束の時間から十五分、経った時だった。
「秋斗の奴……絶対に来てねって言ったのに!」
「冬馬くん、どうする?」
冬馬くんはベンチに座りながら、公園の入り口を見つめている。
商店街がここからはよく見える。
「僕は秋斗を待つよ」
「冬馬くん……」
そんな時だった。
「おーい! 遅れてすまないっ」
秋斗くんが汗だくでこちらに走ってくるのが見えた。
片手には白い袋を持っている。
夏希ちゃんが秋斗くんが遅れてきたことでワナワナと怒っているようだ。
しかし冬馬くんが前に出る。
「秋斗、店の手伝いか?」
「……あ、ああ」
「そっか。店の手伝いだったんだ。なら、仕方ないね」
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