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037 / 擬態スライムとの戦い(2/2)
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「おッ、らあああ──ッ!」
大振りなフェリテの一撃が、スライムの一部を削り取る。
狙いが定まらなかったのではなく、回避行動を取られたのだ。
フェリテの戦斧は一撃必殺。
しかし、それは、当たらなければ大きな隙が生まれるということでもある。
不味い。
もう一体のスライムが、地面に叩き付けたスーパーボールの如き勢いで、フェリテの鳩尾へと体当たりを行った。
「──ぐ、……ぼッ」
「フェリテ!」
その場に膝をついたフェリテに加勢しようとするが、こちらもまだ二体残っている。
不用意に向かえば、フェリテを狙うスライムの数をいたずらに増やすだけだろう。
だが、心配はいらなかった。
「ま──……、だ、まだあッ!」
フェリテが、強靱な意志でもって苦痛をねじ伏せ、立ち上がる。
ああ、そうか。
彼女は、この程度の痛みに屈したりはしない。
ならば、俺は、自分にできることをしよう。
「フェリテ、戦斧を掲げて!」
「こ、こう……?」
試してみたいことがあった。
長剣の切っ先で二体目のスライムの核を貫きながら、左手で火炎呪を放つ。
対象はフェリテの戦斧。
高々と掲げられた刃を火炎呪の炎が包み込み、赤々と燃える炎の斧と化す。
「炎属性付与《エンチャント・ファイア》ってやつだ」
「ナニコレナニコレ! すっごい!」
「さ、反撃の時間だぞ」
「おー!」
フェリテが炎斧をを振り回し、様子を見ていたスライムへと斬り掛かる。
先程と同じように回避を試みるスライムだったが、その身を炎斧が僅かに削る。
その瞬間、
──ボッ!
スライムの全身が燃え上がり、ごぽごぽと悲鳴を上げながら蒸発していった。
「つよ……」
「わりと使えるな、これ」
「わりと、どころじゃないと思う」
残り一体ともなれば、フェリテがスライムに負ける道理はない。
幾度かの空振りを経て、炎斧の刃がスライムの真芯を捉えた。
スライムは一瞬で業火に包まれ、消え失せる。
大ネズミを殺すのを躊躇していたフェリテだが、あまり生き物に見えないスライムは平気らしい。
「やった! リュータ、倒せた! 倒せたよ! 今から加勢──」
そう言って、フェリテがこちらを振り向く。
細切れになった三体分の粘液が岩場の隙間に染み込んでいくところだった。
「はやい……」
「まあ、何度か倒してるし」
最初に遭遇したときは、思いきり踏みつけてしまって驚いたものだけど。
「ひとまず戦闘終了、だね」
「ああ。文句なしの大勝利だ」
「やったー!」
フェリテが戦斧を天井に向けて掲げると同時、刃を包んでいた炎が消える。
効果が切れたらしい。
「すごいね、今の! 炎属性付与《エンチャント・ファイア》──だっけ。こんな魔法、初めて見たかも」
「……あ。ないんだ、これ」
余計な真似をしてしまったかもしれない。
一瞬そう思ったが、
「ありがと、リュータ! 勝てたのはリュータのおかげだよ」
フェリテが人懐こい笑顔で礼を言うものだから、これはこれでよかったのかなと思ってしまうのだった。
「そうだ、フェリテ。お腹は大丈夫か?」
「大丈夫──……だと、思うけど」
「内臓までダメージが通ってるかもしれないし、位置がすこし高ければ肋骨が砕けてる可能性だってあるんだ。痛みを感じたらすぐに言ってくれ」
「……えへへ」
フェリテが笑う。
「どした」
「なんかね、嬉しいなって。心配してくれる人がいるの」
「……そっか」
寂しい言葉だ。
だが、俺に対する信頼で満ちている。
「その調子で大怪我してみろ。ログでバレるから、アーネがすごく心配するぞ」
「あ、それはだめだ。アーネには心配かけたくないもん……」
「だろ」
身寄りのない俺たちにとって、竜とパイプ亭、そしてアーネは、帰るべき場所の象徴だ。
物語の完成度より俺たちの命を考えてくれる彼女だから、いたわってあげたいと思うのは当然である。
ログの一部を意図的に隠すこともできるけど、それはそれで誠意がないしな。
大振りなフェリテの一撃が、スライムの一部を削り取る。
狙いが定まらなかったのではなく、回避行動を取られたのだ。
フェリテの戦斧は一撃必殺。
しかし、それは、当たらなければ大きな隙が生まれるということでもある。
不味い。
もう一体のスライムが、地面に叩き付けたスーパーボールの如き勢いで、フェリテの鳩尾へと体当たりを行った。
「──ぐ、……ぼッ」
「フェリテ!」
その場に膝をついたフェリテに加勢しようとするが、こちらもまだ二体残っている。
不用意に向かえば、フェリテを狙うスライムの数をいたずらに増やすだけだろう。
だが、心配はいらなかった。
「ま──……、だ、まだあッ!」
フェリテが、強靱な意志でもって苦痛をねじ伏せ、立ち上がる。
ああ、そうか。
彼女は、この程度の痛みに屈したりはしない。
ならば、俺は、自分にできることをしよう。
「フェリテ、戦斧を掲げて!」
「こ、こう……?」
試してみたいことがあった。
長剣の切っ先で二体目のスライムの核を貫きながら、左手で火炎呪を放つ。
対象はフェリテの戦斧。
高々と掲げられた刃を火炎呪の炎が包み込み、赤々と燃える炎の斧と化す。
「炎属性付与《エンチャント・ファイア》ってやつだ」
「ナニコレナニコレ! すっごい!」
「さ、反撃の時間だぞ」
「おー!」
フェリテが炎斧をを振り回し、様子を見ていたスライムへと斬り掛かる。
先程と同じように回避を試みるスライムだったが、その身を炎斧が僅かに削る。
その瞬間、
──ボッ!
スライムの全身が燃え上がり、ごぽごぽと悲鳴を上げながら蒸発していった。
「つよ……」
「わりと使えるな、これ」
「わりと、どころじゃないと思う」
残り一体ともなれば、フェリテがスライムに負ける道理はない。
幾度かの空振りを経て、炎斧の刃がスライムの真芯を捉えた。
スライムは一瞬で業火に包まれ、消え失せる。
大ネズミを殺すのを躊躇していたフェリテだが、あまり生き物に見えないスライムは平気らしい。
「やった! リュータ、倒せた! 倒せたよ! 今から加勢──」
そう言って、フェリテがこちらを振り向く。
細切れになった三体分の粘液が岩場の隙間に染み込んでいくところだった。
「はやい……」
「まあ、何度か倒してるし」
最初に遭遇したときは、思いきり踏みつけてしまって驚いたものだけど。
「ひとまず戦闘終了、だね」
「ああ。文句なしの大勝利だ」
「やったー!」
フェリテが戦斧を天井に向けて掲げると同時、刃を包んでいた炎が消える。
効果が切れたらしい。
「すごいね、今の! 炎属性付与《エンチャント・ファイア》──だっけ。こんな魔法、初めて見たかも」
「……あ。ないんだ、これ」
余計な真似をしてしまったかもしれない。
一瞬そう思ったが、
「ありがと、リュータ! 勝てたのはリュータのおかげだよ」
フェリテが人懐こい笑顔で礼を言うものだから、これはこれでよかったのかなと思ってしまうのだった。
「そうだ、フェリテ。お腹は大丈夫か?」
「大丈夫──……だと、思うけど」
「内臓までダメージが通ってるかもしれないし、位置がすこし高ければ肋骨が砕けてる可能性だってあるんだ。痛みを感じたらすぐに言ってくれ」
「……えへへ」
フェリテが笑う。
「どした」
「なんかね、嬉しいなって。心配してくれる人がいるの」
「……そっか」
寂しい言葉だ。
だが、俺に対する信頼で満ちている。
「その調子で大怪我してみろ。ログでバレるから、アーネがすごく心配するぞ」
「あ、それはだめだ。アーネには心配かけたくないもん……」
「だろ」
身寄りのない俺たちにとって、竜とパイプ亭、そしてアーネは、帰るべき場所の象徴だ。
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