なんでもできるスキル〈ゲームマスター〉を手に入れたけど速攻飽きたので、ヒロインを「俺の考えた最強の主人公」に仕立て上げます

八白 嘘

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053 / グラナダ探窟隊

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「ああ、太陽だ……」

 ダンジョンを出ると、太陽が中天へと差し掛かるところだった。
 人工精霊の光に目が慣れていたため、陽光があまりにも眩しく感じる。

「ふー、お日さま気持ちいいね!」

 三十キロの戦斧と十個のミスリル鉱石を背負って平気な顔をしているフェリテが、笑顔でそう言った。

「それには同意だけど、はよ荷物下ろしたい。竜とパイプ亭がダンジョンの傍にあって、ほんとよかったよ……」

「そうだね。でも、これでようやく宝箱が一つ空になった。あと三つ、だね!」

「──…………」

 つらい。
 溜め息をつき、空を見上げる。
 底抜けの青さが憎らしかった。

「六層もマッピング進んできたけど、ほんと広いね。五層の比じゃないかも……」

「ああ。これ見てくれよ」

 六層の地図を意識野から呼び出す。
 腕の中に、どさりと、百枚を超える羊皮紙が現れた。

「わ」

「これで半分にすらまったく届いてないんだから、恐れ入るよ。今回の探索でだいぶ進んだとは言え、先は長いぞ。階段とかちっとも見つからないし」

 地図を収納すると、腕の中の重みが一瞬で掻き消えた。

「でも、あたし、六層好きかも! 魔物も宝箱も少ないけど、幻想的でとっても綺麗だし、のんびり散策してる気分になるもん」

「わかる」

 夢の世界を歩いているような高揚感が常にあり、飽きないのだ。

「拠点の宝箱にいろいろ詰めておいたから、休息も快適だしね」

「毛布、運べるだけ運んでおいてよかったな。重ねて敷くとぐっすり眠れる」

「二泊もしちゃったもんね。アーネ、寂しがってないかな……」

「たしかに」

 もしかすると、セッションに飢えているかもしれない。
 今夜はさすがに無理だとしても、明日には回せるように準備しておかなくては。
 竜とパイプ亭に着き、フェリテが勢いよく玄関扉を開く。

「──ただいま、アーネ!」

 酒場にフェリテの声が響き渡る。
 次の瞬間、ホールの真ん中に陣取っていた数名の視線がフェリテを射抜いた。
 常連ではない。
 見たことのない顔ぶれだ。

「──…………」

 す。
 不躾《ぶしつけ》な視線を向けられて、フェリテが俺の背中に隠れる。
 恥ずかしかったらしい。

「お疲れさまです、フェリテ。リュータ」

 カウンターで書き物をしていたアーネが、こちらへ近寄り、ねぎらいの言葉を掛けてくれる。
 俺は、小声でアーネに尋ねた。

「……もしかして、新しい冒険者?」

「ええ。昨夜到着されまして。隠し通路の噂がすこしずつ広まっているようです」

「そっか、よかった」

 見たところ、既にパーティを組んでいる面々のようだ。
 勧誘は難しいだろう。
 だが、これから人が増えていくならば、機会はいくらだってあるはずだ。
 五人に会釈をし、いつものテーブルへと向かう。

「──待ちたまえ」

 少年か、あるいは童顔なのかは判別できないが、後頭部で長髪をくくった一人の男が俺たちに声を掛けた。

「君たちを待っていたんだ」

 俺の背中から、フェリテがひょいと顔を出す。

「あたしたちを?」

「君たちが、このダンジョンの未踏領域を発見したパーティだね?」

「そうだけど、それが何か?」

「まず、自己紹介を」

 男性が、自分の胸元に手を当てる。

「僕の名は、グラナダ=ハーネスト。我ら"グラナダ探窟隊《たんくつたい》"における、空前絶後、史上最高のリーダーさ」

「──…………」

 パーティ名に自分の名前をつけて、さらにはこの自己紹介と来たものだ。
 濃いな。

「これはご丁寧に。俺は、工藤──いや、リュータ=クドウだ。吟遊詩人」

 こう名乗ったほうが、通りがいいだろう。

「えっと、あたしはフェリテ=アイアンアクス。見てわかると思うけど、斧使いだよ」

 グラナダが、俺とフェリテを見比べて言った。

「ふむ。恋人同士二人きりでダンジョン攻略とは珍しいね」

「こ!」

「い……」

 何を言い出すんだこいつは。
 いや、でも、男女二人で潜っていれば、そうも見えるのか?

「違うのかい?」

「違う違う! もともとは完全攻略されたダンジョンだから、組める冒険者がいなかったんだよ。機会があれば新たなメンバーを募るつもり」

 フェリテがこくこくと頷く。

「なるほど、それは失礼した。仲睦まじく見えたものだから」

 話題を変えよう。

「……それで、用事って?」

「ああ、それなのだがね」

 グラナダが、愛想よく微笑んでみせる。

「地図を、売ってもらえないだろうか」

「あー……」

 なるほど、賢明だ。
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